10.竜人族 王太子視点(閉話)
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竜人族 王太子視点
バタンッと勢いよく誰かが入ってきた。
「兄貴!!!また鱗が闇オークションに出ていたぞ。どうなってやがる。」
あぁ〜またか。先程も頭が痛い連絡が来たばかりだと言うのに・・・
「今年で何回目だ?」
「今年で3回目だぞ。ここ近年で1番多い。」
そう叫ぶのはこの国の第3王子 現第3騎士団団長であるルベライトだ。燃えるような赤い髪がトレドマークな弟だが、いつもより1段と燃えているような気がする。
「大声で喋るな。やっと鱗を提供している者の情報を得た。」
「なら兄貴!!!早く取り締まりに行こうぜ!本当に鱗を何だと思ってるんだ。」
なぜ鱗が人気なのか?
それは竜や人魚、リザードマンの鱗は魔道具に利用すると性能が上がると言われ数百年前まで高値で取引されていた。しかし竜人族を筆頭に取締を強化したことで、ここずっと鱗の取引は0だった。だがここ1.2年の間に鱗の取引が再開されていた。
今にも行き出しそうな弟だが、厄介な案件がもう1つ・・・
「あぁそうだな。私も今すぐ行きたいのが、獣人国から厄介な案件が舞い降りてきていて、、、まずはそれを対処してからだ。」
「はあ?どういうことだ?」
弟がそこで吠えているが、私は後ろの従事者に頼み国王陛下、財務大臣の2番目の弟、宰相、第1騎士団団長、第2騎士団団長を呼び出してもらうように伝言を頼んだ。
暫くすると国王陛下から連絡が来て、「お前の判断に委ねる」とのことだった。
またか、、、と心のなかでため息が出る。
竜人族は運命の番と言われる存在がある。
一生に一度会えるか、会えないか・・・
そんな存在に出会えると、その相手しか見えなくなると言われているが、、、国王である父親はそれにしても酷い。
仕事は息子に丸投げで、母と過ごしている。
私達も休みたい・・・
そんな事を考えていると続々と集まってきた。
皆、何故呼ばれたのか不思議そうな顔をしている。
「忙しいところ悪かったな。実は獣人国からある情報が送られてきた。どうしたら良いのか判断に困っていた。だから皆に判断を仰ぎたい。」
「どのような内容なのでしょうか?」
宰相からの声で話の内容に注目が集まった。
「あぁ、、、、、うーんそれなんだが、、、的を得ていないのだ、、、まあ今内容を伝える。」
皆の顔は???である。
ゴホンッでは読むぞ。
題名 私の愛する人 婚約破棄事件
私の愛する人が婚約破棄され、国を追い出されました。
見つけたら保護をお願いします。
私が迎えに行きます。
黒髪、黒目らしいです。
ふふふ早く会いたいです。
地獄に落とすのはセロピアル国です。
婚約破棄された方は、あの国全土を1人で結界を張っていた素晴らしい方です。
でもセロピアル国は彼女を開放してくれた事には感謝ですね。ふふふ。
あの国は長く生かしてあげましょう。
ゆっくりゆっくりじわじわと、、、気付いたときには手遅れに、、ふふふ
あぁ〜はやく私が癒やしてあげたいです。
では見つけたら連絡をください。
獣人国 魔術騎士団団長より
・・・・・・
「「「訳が分からない」」」
国王以外の声が一致した。
「兄様、その手紙は本物でしょうか?」
財務大臣の2番目王子クリスタが質問をした。
「あぁ、、、残念ながら本物だ。」
みんな心のなかで嘘であってくれと思った。
「本物だとして、これをどう対処すればいいのでしょうか?」
1番先に宰相が復活をした。
「あぁそれについて私も困っているところだ。
ただな、セロピアル国の結界者が気になる。
あの国の結界は我々竜ですら打ち破るのが無理だっただろう?それを1人の人間が???信じられない。会ってみたい気がする。」
実は以前竜人族は獣人国からの依頼でセロピアル国へ攻撃を仕掛けようとしたことがあった。
「獣人国の住人がセロピアル国へ誘拐された」という話があり、同盟国として助けに向かったがセロピアル国の結界を見て自分たちでは破れないと分かった。
結局誘拐は違う国の人間の仕業だったからよかったが、その時から気になっていた。
「あぁそうでしたね。あの結界は素晴らしいものでした。確かにその方に会ってみたいですね。」
そう宰相が淡々と答えた。
「兄貴、その結界のやつが居れば弱い種族を守れるよな?」
興奮気味に第3王子ルベライトが質問した。
「そうだな。鱗を奪われる心配もなくなる。」
「あっ」と皆気が付いた。
弱い民を守れるかもしれないと・・・
同じ種族でも魔力が少ない者、力がない者がいる。
それを守りたいと・・・
「見つけたら勧誘しましょう」
第1騎士団団長が言った。
その時窓から伝書鳩が届いた。
従事者が急ぎ危険がないことを確認し、国王に手紙を渡すと獣人国からだったため皆の前で読み始めた。
大変申し訳ない。
うちの魔術騎士団団長が変な手紙を送ってしまった。
私がチェックを怠った。仕事はすると言っていたのにあいつは、、、
申し訳ない。
セロピアル国で結界を張っていた者が婚約破棄されたのは事実だ。
それによってセロピアル国が弱まる恐れがあり、治安悪化する可能性がある。また魔物がセロピアル国に向かっている話もある。
危機感を高めてくれ。
獣人国 王太子より
・・・・・・
王太子に謝らせるとは、、、魔術騎士団団長はヤバい奴だと皆の意見が心の中で一致をした。
「手紙の通りなら早急に対策を立てましょう。治安の悪化で人間が何をするか分からないでしょうから。」
そう宰相が言うと、
「かしこまりました。どれくらいお金を使えるのか計算します。」
と対策に使えるお金を第2王子が算出した。
それから全員で話し合いが行われた。
結果として『見つけた時は保護する』という結論に至った。
また治安への対策などの案も出し、全てが決まったのが2日後の昼間であった。
話し合いが終わってすぐに、今度は鱗騒ぎのある里へ向かったのだが、、、疑惑の者たちには逃げられていた。
ただ犯人と思われる者の部屋の地下室には、鱗や貴重種の羽などが落ちていた。
今日は夜通し犯人を捕まえなければいけない。
竜人族は獲物を見つけたら必ず捕らえる・・・きっと夜には見つかるだろう。
探しに行くのは第3騎士団団長のルベライトに任せて、私は第1騎士団団長と共に里の者への尋問である。
尋問をすると子供たちはとても素直だった。
「飛べないやつを虐めた。」
「出来損ないだった。」
「よく血の匂いがした」
「残飯食べてた」
などなどオンパレードだった。
大人は焦って子供達の口を閉じようと動いたが、子供たちは止まらない。
話す度に騎士団が褒めるてくれるので喜んで話をした。
後ろから王太子殿下と声が聞こえた。
振り返ると、奥で尋問をしていた騎士が慌てて王太子の元へ走ってきた。
「王太子殿下・・・鱗を取られていた子供は、手を縛られた状態で川に落ちたそうです・・・」
それを聞いた騎士や王太子殿下が怒りを表した。
なんて酷いこと・・・
怒りに魔術を乗せたため、里の者たちは恐怖で気絶したようだ・・・
「これからどう致しますか?」と
怒りが漏れながら質問をしてきたのは、
第1騎士団副団長である。
最近念願だった子供が生まれ感情移入をしていた。
「この里の者は子供大人関係なく連行だ。魔術封じをかけろ。あと鱗の子供を探せ。」
その合図を元に団長が部下に指示を出し動いたが、
何日経っても鱗の子供は見つけられなかった。
ただ里の者を尋問することで、
他の事件や獣人国と人間が関わっていることが分かり、報復へ向けて動き出した。
次回は10月13日に本編を投稿予定です。
それまでの間に竜人と獣人の出てきたメンバーの自己紹介を書く予定です。