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さようなら、また会う日まで  作者: たま


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28/60

ティムのお姫様だから

ジョセフと私の間に沈黙が落ちる。


「それは、具体的に言えば?」


ようやく口にだせた言葉は、それだけだった。


「俺の、ゴシップ自体は把握しているか?」


「…少しは。

恋多き男とか?正直、あまり興味ないから。

というか色々と教えてくれた人もいるけれど、なんていうか…」


「俺自体に興味ないのに、そんな事言われてもって感じで聞いてないだろ?」


そう言ってジョセフは笑い出した。


「やっぱり、お姫様はお姫様だ、最高だよ」


余りにも笑われすぎて、まるっきり褒められている気分がしない。

思わず返事も疑問形になってしまう。


「お褒めに預かり光栄です?」


「なぜ、疑問形なんだよ、本当、俺、自信なくしそう。

ま、冗談だけど。

お姫様は、ティムのお姫様だからな。

俺に興味がないのは当たり前なんだよ、な」


そういうと、ジョセフは足を組み替える。

フワリと香る匂いは、ジョセフの香水の香りで。

家自体は、まるでコピーしたみたいにそっくりなのに、部屋全体の香りはここはジョセフの家だと主張しているようだ。


ジョセフのアッシュブロンドの髪を見て、彼女を思い出す。

ずっと、泣いている、彼女。

謝ってばかりいる、彼女。


「聞いている?お姫様?」


私は随分と一人で考え込んでいたようだ。

いや、ワインのせいでうつらうつらしていたのか。


「ごめんなさい、最近夢見が悪くて、寝ているのに、寝ていない感じなのよ」


話を聞いていなかったのを素直に謝る。


「…大丈夫か?そんなに、心配か…?」


ジョセフが指を組んで私をじっと見る。

その視線の強さに、思わず視線を逸らす。


「…分からないの、正直に言って。

私、本当に今までこんな暮らしもしたことなかったし。

普通の郊外の家で育った、普通の人間だから」


お道化たように笑いながら言う。


「…俺の、せいか…」


小さな呟き。

私は無言で首を振る。

そうかもしれない。

でもそうでないかもしれない。

どちらにせよ、選んだのは私だ。


「私も、貴方の提案に乗った時点で共犯だよ。

最後まで、付き合うわよ」


ジョセフの顔が泣きそうに歪むのを見て、思わず息を飲む。

その組んでいた指が、私のほうに伸ばされようとして、拳をつくると止まる。

思わず戸惑いながらも、拳と拳を合わせた。

私を元気づけようとしている?

目が合うと、ジョセフは今まで見た事ないような優しい笑みを浮かべていた。


「…ありがとう、アシュリー…」


随分と久しぶりに、ジョセフが私の名前だけを言った。

アシュリー、お姫様。

そう、ずっと、彼はそう言っていたから。

何となく、名前だけ呼ばれると気恥ずかしい。

いやいや、冷静に考えると、お姫様呼ばわりのほうが十分恥ずかしいんだけど。

だけど、これは慣れというか、あだ名というか。

逆に恥ずかしさが突破して突き抜けたというか。


「パーティの後は、俺に任せてくれ。

少しは煩くなるかもしれない、が、ある程度は抑えるつもりでいる。

パーティ後は、当分の間だけでも良いからお姫様専用のハイヤーで仕事場に行ってくれ。

安全の為にも、頼む。

ティムの大事なお姫様に、何かあったら困るから」


真剣な表情に、コレは茶化したらいけない。

それにそこまで言われたら、もう嫌とは言えなかった。

私は静かに頷いた。


すみません、ちょっと体調不良でパソコン開くのが難しくて。

次の更新までちょっと時間下さい。すみません


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