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第5話 怒れる者

 勇者パーティーとして旅に出たミニッツ、センシャ、マホだったがゴブリンと戦い敗北し近くの村でこれからどうするか話し合っていた。


「それでどうする? 謝りに行くか?」


「こんなチャンス滅多に無いんだ、やっぱり止めますなんて言えるか!」


「そうよね、けど何時もみたいに軽く訓練すればその内力戻るでしょ。」


「そうだな、明日俺達の潜在能力の高さを見せつけてやろうぜ!」


 翌日、三人は部屋へと入って来たサンカに何時もの訓練の風景を見せるがあまりにもお粗末なモノで困惑させてしまう。


「……何やってるの貴方達?」


「どうよ、これが俺達の修行風景だ!」


「修行風景? ただ剣を構えてるだけじゃない。 で、そこのアンタは何してるのよ?」


「盾を構えている。」


「見れば分かるわ、まさかそれ本気で強くなれると思ってるの?」


(やっぱりあの二人は今までやってた事に意味無かったわね、私は目を瞑るだけで一気に魔力の向上が出来るけど今回は調子が出ないわね。 ま、こんな事もあるか。)


「で、あの魔法使いは突っ立って何してるの? 私には寝てる様にしか見えないけど……。」


「あれで魔力が向上するんだと。」


「はぁ……貴方達の頭の悪さに感服するわ、要は国王様に謝る気は一切無く魔王討伐の任を続けるってことね。 良い覚悟ね、私が直々に一から鍛え直してあげる。」


 全く鍛える気の無い三人に呆れ果てるサンカは根性もろとも叩き直す為に簡単な筋トレを提示する。


「まずは腕立て伏せからしなさい、どうしたの速くしなさい!」


 三人は顔を見合わせるとサンカが何を言っているのか分からないといった表情をしている。


「腕立て伏せって何だ?」


「俺も知らん。」


「私は関係無いよね?」


「嘘でしょ!? 身体の鍛え方も知らないのに冒険者やってたの!?」


「たりめえだろ! なんたって俺達は何もしなくとも最強なんだからな!!」


「はぁ、これは骨が折れそうね。 基礎すら出来ないなら私が直々に思い知らせるしかないわね。」


「何をする気だ?」


「貴方達がどれだけ弱いか試してあげるから、表にでな!」


(え、何この人さっきより怖いんだけど)


 村の外に開けた場所があり、そこへ三人を連れ出し戦闘体制をとる。


「貴方達が如何に弱いか理解させるには実戦が手っ取り早いわね、かかって来なさい!」


「舐められたもんだな、鍛え上げられた俺の剣に敵うとでも思っているのか?」


「剣のオマケね、いえ訂正するわマヌケの間違いね。」


「何だとオラァ! 女だからって手加減しねえぞ!!」


「最初から生意気な感じが鼻についてたのよね!」


「たかが女一人に三人で負けるわけ無いな! ミニッツ、マホ、何時もの最強のフォーメーションで行くぞ!!」


 三人は先頭にミニッツ、中央にセンシャ、後方にマホといった陣を取り、それを見たサンカは心底呆れながら手招きすれ。


「隙だらけね。」


「行くぞー!!」


 ミニッツはサンカへと剣を肩の辺りまで上げ突進するが間合いまで入る前に振り抜かれた拳から繰り出される突風に煽られセンシャとマホの後方の壁に激突し気絶する。


「「ミニッツ!?」」


「え、遠距離から攻撃できるのはアンタだけじゃないって事を教えてあげるわ!! サンダーアロー!!」


 マホは無数の雷の矢を出現させサンカへと放つ。


「どうよ、これだけの攻撃避けられないでしょ!」


「無様ね、避けるまでも無いわ。」


 全てのサンダーアローがサンカへと直撃するが全く動じていないどころか放たれた魔力を利用し雷の玉を右手に生成しマホへと向かい走り出す。


「ちょ!? 冗談でしょ!!」


「近付かれるぞ!!」


「分かってるわよ! さっきの倍ならどうサンダーアロー!!」


「馬鹿の一つ覚えね、はいおしまい」


「きゃあああああああああ!!」


「マホ!!」


 サンカはセンシャの後ろに回り込むと雷の玉をマホへと触れさせバリバリと感電させる。


(くっ、盾役の俺だけ残ると戦えない! どうすれば……)


「考えてる事当ててやろうか?」


「え?」


「“自分は盾役だから戦えない”とか考えてるだろ?」


「なっ!?」


「盾役は仲間を守るだけが役目じゃないよ! アンタみたいに動かない奴はただの的だ、少しばかり空の旅をして来な!!」


「ぐわああああああああ!!」


 サンカは最後にセンシャの巨体を軽々と尻を蹴り上げ空高く舞わせると落ちて来たセンシャは白目を剥いて気絶した。


「これの何処がSランクパーティーなんだか、マックスの苦労も分かるわ。 ふわぁ〜。」


 暫くして気絶していた三人が目を覚まし、サンカに対して土下座し謝る。


「「「調子に乗ってすみませんでした!!」」」


「ったく、相手の強さにも気付けないなんてね……マックスが居た頃と比べて弱くなりすぎじゃないかい?」


「それはマックスに力を奪われたからで」


「そうなんです私達本来は最も力も魔力も有った方で」


「だから今からでも取り返しに」


 サンカは三人の態度に堪忍袋の緒が切れ足を高く上げるとそのまま一気に地面を踏みつけダァンッ!と音を鳴らし地震を発生させる。


「「「ひぃっ!!」」」


「それはもう聴き飽きたんだよダボが!! テメーらマックスの何を見て来やがったんだあ!? 説明したよなあ、マックスのユニークスキルは『与える』ことしか出来ねえってよう? 『奪う』ことは出来ねえっつってんだよ、それが本来のテメーらの能力ってこった!! 国王陛下に謝らない、テメーらの失態をマックスのせいにする! 今からその空っぽの頭ん中に冒険者を舐め腐った態度を更生させてやるから覚悟しろ!!」


(((こ、殺される!!)))


 完全にサンカの怒りを買いこれから始まる地獄の様な訓練に恐れ慄く三人は全身を強張らせ震える事しか出来なくなっていた。

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