第4話 危険な冒険者
マンイーターを衝撃波で倒しツバキ、スミレ、ラベンダの三人が起きるまでの間、俺は何故かマリーゴールドに膝枕をしてもらい耳掃除をされていた。
「なあ、何で耳掃除なんだ?」
「三人ともまだ目を覚まさないから、お礼してるだけですよ。 ねえマックスさんは誰が一番好きですか?」
「何が?」
マリーゴールドの柔らかい太腿を堪能しつつ質問された事の意味が映らず適当に返事する。
「ふふ、惚けて……ほらマックスさん私こんなにドキドキしているんですよ。」
「え、ちょっと?」
マリーは耳掃除を止め俺の手首を掴むとその豊満な胸に触れさせる。
「確かにドキドキしてるな。」
「あー!! マリーそれは無しでしょ!!」
「ワラシ達を差し置いて何マックスとイチャついてんだコラ!!」
「状況判断からしてマックス様に助けて頂いたようですね。」
その光景を目の当たりにした三人はマリーへと怒るが直ぐに自分達の恰好に気付き顔を真っ赤にする。
「……って何よこれ!?」
「何だこれ、バスタオルみてーになってんな。」
「おち、おち、落ちち付きましょう! ま、まま、マックス様に見られただけでですかららら!!」
「これでいいか?」
「きゃあああああ! 何をするんですかマックス様!?」
「いやだって、お乳付いてって言うから。」
「言ってませんよそんな事!!」
混乱するラベンダの言葉を受けて俺は言ってた通りに胸を突くと更に顔を赤くし後退りする。
「いーや、言ってたぜ? ワラシは確かに聴いた“お乳付いて”ってな、さっすが花の乙女団の頭脳にしてムッツリスケベなだけあるぜ。」
「頭脳ではありますがムッツリスケベではありませんから!!」
「ムッツリじゃ無かったらガッツリだな!」
「そんな事はどうでもいいわよ! あ、あ、アンタ見たでしょ!!」
「何を?」
「しらばっくれないでよ! 私達の裸舐め回す様にジロジロ見るだけに飽き足らずベタベタ身体に触れたでしょ! この変態!!」
「何もそこまで言わなくても。」
「ふふ、スミレちゃんはあー言ってるけど実際は愛情の裏返しだから気にしないでくださいねマックスさん。」
「ち、違っ! そんなんじゃないわよ!!」
「ツンデレおつ!」
「誰がツンデレよ!!」
「皆起きたし帰るか。」
「じゃあ、ツバキちゃんとスミレちゃんとラベンダちゃんは先にギルドハウスに帰っててね。 私はマックスさんと冒険者ギルドに報告しないといけないから。」
「なんだよ、結局マリーがマックスとデートかよ。」
「デートな訳無いでしょ、それにこんな恰好で街中彷徨けないし。」
「ええ、妥当な判断ですね。」
何はともあれ、全員無事に帰還し俺はマリーゴールドと冒険者ギルドへ趣きマンイーター討伐の報告する。
「はい、確かにマンイーターの魔石に間違いありませんね。」
魔石とは魔物の心臓部に存在する紫色をした石で魔力を持っている為、生活必需品の魔導具である冷蔵庫や電気など色々な用途に使用されている。
「ですが、マンイーターを討伐したのは私達ではなくマックスさんなので報酬はマックスさんにお願いします。」
「そうなのですね。」
「あーいや、花の乙女団で良いぞ。」
「マックスさん、私達は何も出来なかったので」
「まだ話してなかったな、俺もさっき花の乙女団のメンバーになったし報酬は気にすんな。」
「え、ええええ!?」
「な、何だってええ!?」
「嘘だろ! 花の乙女団は男子禁制のはずじゃ!?」
「あ、あの野郎何栃狂った事言ってやがる!!」
花の乙女団にメンバー入りした事を話すと周囲の冒険者が驚き俺を睨み付けたかと思えば近付いて来る。
「おーおー、言いたいこと言ってくれるじゃねーかマックスさんよ?」
「そうだそうだ! 花の乙女団が男なんて加入させるわけ無いだろ!!」
「百合の間に挟まる害虫は即座に排除せねばならんよなあ?」
「ちょっと止めてください! 喧嘩なら外でしてくださいよ!!」
受付嬢は突然喧嘩腰になった冒険者達を宥めようとするも完全に声が届いておらず俺に殴りかかって来た。
「死ねおらあ!!」
「あ、止めといた方が……」
体格の良い大男が俺の顔面目掛けて思い切り眉間に拳を振り抜くと指先から肩にかけてバキバキボキボキベキキキキと豪快な音が響き渡り複雑骨折をする。
「うっ、ぐわああああああああ!! 俺の腕がああああああああ!! 痛えよおおおお母ちゃあああああああああん!!」
「だから止めといた方が良いって」
「拳が駄目なら足技ならどうだ! 喰らえハイパー飛び膝回し蹴り!!」
「いや、だから止めろって」
腕を骨折した大男に続き上半身が貧弱で下半身が有り得ないくらい鍛え抜かれた冒険者が飛び上がり超高速で俺の首元を狙い直撃させるがポキッ!と何か細い物が割れる様な音がすると腰を痛めたのか床に倒れ背中を押さえながら苦しむ。
「ぐおう、腰が!!」
「だから上半身も鍛えろと言ってるだろ! こういう奴に物理は効かねえんだよ、ならどうするかって? 決まってる全力で魔法ぶつけんのが正攻法だってなあ!!」
最後にローブを身に纏った冒険者が全魔力を杖の先端に集中させ、俺に向かい放とうとする。
「いやああああ! 皆さん逃げてええええ!! 冒険者ギルドが倒壊するうううううううう!!」
「マックスさん!」
「問題ねえ、俺のスキルは誰も死なせないから安心しろ。」
「魔力最大出力! スーパーハイパーウルトラデラックス超ドギガマジックビッグバン!!」
「いやああああ死ぬうううううううう!!」
「マックスさんを信じてください! 死にはしませんから!!」
魔法が放たれる前に俺は冒険者ギルド内の全員と建物に魔力を『与える』ことで魔法を放った馬鹿のみを自滅させる。
眩い光と共に衝撃が響き暫くするとローブを来た冒険者は自分の放った魔法で自滅しプスプスと身体から煙を上げてはいるが生きており、俺の『与える』能力のおかげで他の冒険者と建物も損傷は無く無事だった。
「ふう、とんだ大馬鹿野郎が居たもんだな。」
「本当ですね、あのこの人達は後どうなりますか?」
「決まっているでしょう、こんな奴ら即刻冒険者資格剥奪に!!」
受付嬢は三人の冒険者の横暴にブチギレ、気絶している間に冒険者資格を剥奪するのであった。