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第2話 前パーティー視点

 マックスの居た前パーティーは翌朝国王から呼ばれ城で勇者パーティーとなるべく謁見に臨んでいた。


「よくぞ来てくれた、そなた達を呼んだのは他でもない魔王討伐の任を与えたいからだ。」


「「「はっ!」」」


 国王の隣には見目麗しい姫様が立っており、キョロキョロとパーティーメンバーに一人足りないことを疑問に思っていた。


「お父様、一人足りませんよ?」


「む、確かに一人足りぬな……」


「マックス様はどうなされました?」


「申し訳ありません、マックスは先日パーティーを離脱しました。」


「それは残念です……。」


「離脱したものは仕方あるまい、代わりと言うわけではないが一人連れて行ってもらおうか。 サンカ、彼等と魔王討伐の旅をして来なさい。」


「はーい……ふわぁ〜。」


 サンカと呼ばれた女性は明らかに眠そうな表情をしており、見るからに戦闘職ではないことにミニッツ達は不安になるが国王陛下の前もあり言い出せずに連れて行く事になった。


「おい、ミニッツ……」


「どうすんのよ、あれ絶対足手まといになるだけでしょ。」


「仕方ないだろ国王陛下の命令には背けないし。」


 三人の後をかくんかくんと首を前後させながらサンカは着いて来るのを確認しながらヒソヒソと不満を呟いていた。


「そうだな、まずは近場の魔物でも狩って実力をみるか。」


「大丈夫なの、そんな事して万が一に死んだらどうすんのよ!」


「そうなる前に俺が間に入るから安心しろ」


「なら、良いのだが……」


 前のパーティーは街から離れた洞窟へと足を運び手頃なゴブリンが彷徨いているのを確認する。


「なあ、ミニッツ」


「どうした?」


「ゴブリンて、こんなに怖かったか?」


「は? 何言ってんだよ今まで何匹も狩って来ただろ、何今更怖がってんだよ?」


「私もセンシャと同意見よ、ねえ止めとかない?」


「マホまで何怖気付いてんだよ、勝てねえ相手じゃないのを証明してやっから三人はそこで待ってな。」


 何かを察したのかセンシャとマホはゴブリン相手に怖気付いてしまいミニッツだけは違和感に気付かずゴブリンへと向かって行って。


「んあ、何であの人止めなかったの?」


「あ、起きた?」


「止めはしたが……」


「負けるよ、あの人。」


「「え?」」


「ぎゃあああああああああああ!!」


 その時だった、ミニッツの悲鳴が谺したかと思えば思い切りゴブリンの持つ棍棒が脛へと直撃しており振り上げていた剣から手を離し地面で脛を押さえながらゴロゴロと転がり痛がる様をゴブリンは指差しながら笑っていた。


「うぐぅ、この雑魚モンスターの分際で!! むぐっ!!」


 立ち上がろうとするミニッツの顔にゴブリンは腰掛け考える人のポーズをとり、その様子を見ていた他のゴブリン達もぞろぞろと集まって来た。


「ねえ、あれヤバくない!?」


「確かにマズいが助けようにも」


(はぁ、駄目ね……勇者パーティーにする冒険者がどんな者か興味あったけどとんだ茶番に付き合わされたわ。)


「何しに行く気?」


「助けるのよ、あの程度一人で抜け出せないひよっこをね」


 ゴブリンにある程度サンカが近付くと集まっていたゴブリンは一斉に吹き飛び岩肌や地面に物凄い勢いでぶつかり気絶する。


「は?」


「今……何が起きたんだ?」


「はい、おしまい帰るよ。」


 サンカはミニッツの首根っこを掴むと引き摺りながら二人の元へと戻って来る。


「帰るって国に!?」


「当たり前でしょ、今ならまだ誠心誠意謝れば国王様も許してくれるでしょ?」


「ま、待ってくれ! 俺達はやっとの思いでSランクにまで上り詰めたんだ!! そう簡単に諦めるなんて出来るか!!」


「Sランクねえ、私からすればFランクにも満たない実力しかない様に見えるわよ? ……まあいいわ、そこまで言うなら私が直々に鍛え直してあげる。 そうすれば少しはマシになるでしょ。」


 サンカは三人を連れて近くの村へ宿泊すると気絶から起きたミニッツにも事情を説明する。


「はあ!? オレ達が弱い訳無いだろ!!」


「ミニッツ認めろ、俺らは明らかに弱くなってる。」


「そうよ、私なんて魔力が格段に落ちてるもの気の所為なんかじゃないわ!」


「くそ、何だってんだ! マックスが抜けてから調子がおかしい。」


「あーはいはい、それが原因ね。」


 サンカは何かを察したかの様に頷き三人の弱くなった原因を理解する。


「あ? 原因? マックスが抜けた事がか?」


「ええそうよ、一時期マックスさんのスキルを調べてたから分かるわ。 『与える』、唯一無二のユニークスキルの一つね。」


「「「ユニークスキル?」」」


「『与える』のスキルは本人より強い力を他人に与える事が出来ない制約があるけど与えた後に鍛えることで更に底上げが出来るスキルよ。」


「それが何だってんだよ?」


「そっか、つまり私達はマックスに力を奪われたんだよ!!」


「そう言う事かマックスの野郎!!」


「違うわ、別に彼は貴方達から力なんて奪っていないでしょ? 取り返しただけ、他人の力を自分の力だと過信して来たのなら貴方達のオツムが残念なのも納得が行くしね。」


「なんだと!!」


「やめろミニッツ! サンカの言ってる事は正しい、俺達が馬鹿だったんだ!!」


「で、どうするの? 一から鍛え直し勇者パーティーとして魔王討伐の任務に当たるか、他人の力でイキリ散らしていた事を国王様に報告してFランクから仕切り直すか好きな方を選びなさい。 明日までなら待ってあげる。」


 三人を部屋に残しサンカは部屋を出ると、もう一つ借りていた部屋へと入り睡眠を摂る。


 残された三人はまだ自分の力を奪われたと思っているらしくマックスへの悪態を付いていた。


「どう思う?」


「どうって、絶対私達の元々の能力も無くなってるに決まってるわ!」


「だな、俺達がゴブリンに負ける程弱いはずがねえ! 取り返すぞ、マックスに奪われた力を!!」


「「おお!!」」


 マックスが与えていた力を自分の元へ戻しただけなのだが元々今まで鍛錬を一切してこなかった三人は未だに弱いままだという認識が無いようだ。

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