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第1話 勧誘

「おいマックス! これ数が違うぞ!!」


「は?」


 とある冒険者ギルドにて、俺“マックス・スフィーゲル”はパーティーから何故か叱責を受けていた。


「こっちの魔法薬も個数が違うわよ!?」


 パーティーの魔法担当の“マホ”が言う。


「はあ、罠の材料も不足しているな」


「何言ってんだ! 俺は毎回メモ取って買って来てるだろ!!」


 パーティーのタンク役を担う“センシャ”も罠の材料が足りない事を理由に他のメンバーと同様に俺に疑いの目を向ける。


「なら何故、罠の材料が足りない?」


「店に並んでいたのがそれで全てだからだ!」


「やれやれ、長年オレ達のパーティーに居ながら買い物一つ出来ないとはな。」


「…………」

(何なんだよ、こいつら!)


「あら、だんまりしちゃった?」


(何が約束は守るだ!!)


「ほっとけ、足りない分は自分らで確保すれば良いだけだ」


(何が、冒険者のトップを目指そうだ巫山戯るな!!)


「まあまあ、マックスも反省してる様だし許してやろうな? 次から気を付ければ良いん……だ………?」


 パーティーのリーダー“ミニッツ”は俺の肩に手を置くが俺はその手を払い除けパーティーからの離脱を宣言する。


「もういい! 今日限りでお前らとはサヨナラだ!!」


「おい、マックス?」


「言いたいほうだい言いやがって!! 今まで誰のおかげでSランクまで上り詰めたのか理解してねえようだな!!」


「ちょ、落ち着いてマックス」


「これが落ち着いていられるか! お前らは俺の『与える』力で強化されているだけのクソ雑魚の癖に調子乗ってんじゃねえ!!」


「何もそこまで怒らんでも……それに明日は王国から直々に勇者パーティーとして魔王討伐の任務が与えられるのだぞ?」


「知るか! 悪いがお前らに与えた力は解除させてもらうからな!!」


「ま、待て!!」


 俺は『与える』力を解除し、パーティー全員の能力を元の状態に戻しその場を後にする。


「おい、これマズイんじゃないか?」


「そうね、今からでも機嫌を直してもらわないと!」


「いや流石に雑魚モンスターに負ける程、オレ達は弱くない筈だ。 それに王国の意向に背く訳にも行かないからな、勇者パーティーとして行動しながら力を付けていこうじゃないか。」


 そんな彼等はマックスの力によって強くなっていただけであったが自分達が他の最下のFランク冒険者にも劣る存在である事を認知していない。


「はぁ……、結局あいつらは力に溺れるバカだった訳だな。」


 子供の頃に幼馴染み四人で冒険者のトップになることを約束した、だが俺の能力が強過ぎたせいか三人は自惚れ自分の力と認識し力を自分自身に『与える』ことが出来ない俺は荷物持ちとしてパーティーに貢献してきた。


「これからどうするか、ソロで冒険者活動なんて出来ないし……引退かな?」


「おーい!」


「ん?」


 冒険者ギルドを飛び出し街中を彷徨いていると背後から女性の声が聴こえてきた。


「何だ、俺に何か用か?」


 振り返るとそこには全員が女性で構成されたAランクパーティーの“花の乙女団”のリーダー“シャクヤク”が居た。


「さっきあのパーティー抜けたんだろ? ならアタシ達のパーティーに加わってくれないかな?」


「俺が花の乙女団にか? 男子禁制と聞いているぞ?」


「それは下心を持った奴は無理だが、マックスなら問題無いとリーダーのアタシが判断したからだな。 それに噂じゃマックスは一人だと力を発揮出来ないとも聞いてるし、このまま冒険者を辞められるとギルドの損失も大きくなるとアタシが判断した結果だな。 直ぐに答えは出さなくて良いよ、考える時間も必要だろう……良い返事を期待しているよ、じゃあね。」


 シャクヤクはそう言い残し踵を翻すと去って行った。


「花の乙女団か……確かギルドハウス持ちだったな訪ねてみるか。」


 俺は誘いに乗る事にし、ギルドハウスへと向かう際に甘味処で数人分の菓子を買い足を運んだ。


 ギルドハウスの近くまで来るとフワッとした女性特有の香りが漂い、周囲が様々な花で彩られた世界が広がっている。


「あ、ねえあれマックスじゃない!?」


「うわっ! まじすか、リーダーまじでスカウトに成功したすか!?」


 庭に居た二人が俺に気付くと驚愕しつつも近付いて来た。


「は、初めまして! 私は“ヒマワリ”と申します、花の乙女団の盾役を担っています! 宜しくお願いします!!」


 ヒマワリは背中に大きな盾を背負っており、華奢な身体をしていて盾役には到底見えないが見た目に反して力持ちなのだろう。


「うっす! 僕は花の乙女団の弓役をしてるボタンっす! 宜しくお願いしまっす!!」


 ボタンは何だか陽気でお調子者といった感じで菓子の入った袋を見てくる。


「それわざわざ僕達の為に買って来たっすか?」


「まあ、そんなところだな。 手ぶらで来るのも失礼かと思って。」


「わぁお! やっぱりマックスは気遣いが美味いっすね〜♪」


 そう言うとボタンは俺の背後に周り耳元に顔を近付け囁く。


「ここだけの話っすけど、花の乙女団は皆マックスに好意持っているっすよ。」


「え?」


「こらボタン! マックスさんから離れなさい!!」


「これは失礼したっす、そんなに怒らなくても良いっすのに。」


「もう! ごめんなさいねマックスさん、何時までもお菓子持たせてしまって。 持ちますね。」


 ヒマワリに袋を持ってもらいギルドハウス内へと案内される。


「お、来たね! 以外と決断も速くて助かるよ。」


「それで、俺が花の乙女団に入って良かったのか?」


「構わないよ、前からスカウトしたかったからね。」


「そういや、メンバーは三人だけなのか?」


「いや今は他のメンバーは冒険者活動してるからその内帰って来るよ、それまで寛いでおくといい。」


「そうさせてもらうか。」


 前パーティーから離脱し花の乙女団へと加入した俺は一先ず他のメンバーが帰還するまで寛ぐことにした。

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