冒険者の街フリーデンにて
設定変更等に伴いリライトしました
また、加筆予定あり
2022/11/4
加筆修正しました
2023/10/21
数字表記の基準変更に伴い修正しました
また、本文の加筆修正しました
2023/11/04
王都を出発して二週間を移動に使い、休息に一週間、そして寄った町での商売に一週間。
ゆっくりと一月かけて冒険者の街フリーデンへとやってきた。
大きい盗賊団や強い魔物に遭うこともなく、とても平和に初めての旅を終えられたことに神に感謝したいところだ。
「護衛依頼完了の証文です。一月の間ありがとうございました」
冒険者から渡されていた証文にサインを加えて返却した。
冒険者と別れた俺は商人ギルドに推奨された宿をとり、明日からの商売に備えて市場を調査して、最後に冒険者ギルドへと足を運んだ。
王都へ帰る復路の護衛とこの街の案内兼護衛を手配する為だ。
俺は初めて来る場所では護衛と案内を探すようにしている。
万が一にも無差別な何かしらの犯罪に巻き込まれない為、そして何より微妙な文化や風土の違いから相手に粗相をしない為の防衛線を張りたいからだ。
まぁ、昔やらかして命を取られそうになったからビビっているというのが本音でもある。
頑丈そうな大きめの扉が開け放たれたというどこに行っても同じ見た目の冒険者ギルド、この街の受付はどうやら男性もいるようだが、ちょうど空いていた真ん中の撫子色の髪をシニヨンにした女性に声をかけた。
「こんにちは。依頼で護衛を手配したいのだがいいだろうか」
「いらっしゃいませ。冒険者ギルド、ナムレグ王国フリーデン支部へようこそ。護衛の依頼ですね、期間や報酬と行き先をお願いします」
「まず二週間から一月後に一月かけて王都へ向かう護衛を頼みたい。こちらは金貨20枚、20万マルカでお願いします。そしてこの街の案内兼護衛として滞在期間中の護衛を頼みたい。期間は出発まで上限なく、一日2000マルカで1人お願いします」
「かしこまりました。その内容で受注させていただきます。案内に適した冒険者が何名かいますが、先にお声がけ致しましょうか? それともすぐに依頼の張り出しを致しましょうか?」
「適した方をご紹介頂けるならぜひとも」
「かしこましました。では、依頼手数料として、王都への護衛依頼が2万マルカ、フリーデンでの護衛依頼が最低日数の二週間分で2800マルカをお願いします。延長される場合にはさらに手数料をお支払いください」
「わかりました。では、こちらちょうどでお願いします」
「はい、確かに頂きました。こちら受領証と依頼受注完了書2通ずつです。今から街中での護衛を手配するので、少々お待ちください」
そう言って席を立った受付の女性は、奥へと消えていく。
俺はすることもないので併設された酒場で一月ぶりのエールを呷った。
相変わらず美味くもないが、うまいものは高いし酔えば一緒なので節約にはいいだろう。
30分くらいだろうか、腸詰を食べながら3杯目を頼もうか悩んでいると、先ほどの受付の女性と共に1人の冒険者がやってきた。
「おまたせ致しました。ご依頼の街中での護衛を受けて頂く冒険者をお連れしました」
では、と一言おいて女性が去ると、冒険者の方に視線を移す。
「俺はユーゴ、ユーゴ・デュポワだ。とりあえずよろしく」
「本日よりご依頼を受けさせて頂く銀等級のクーニグンデ・アレンスです。みんなにはクーちゃんと呼ばれているのでぜひクーと呼んでください」
美しく輝いて見える銀髪、吸い込まれそうな程に澄んだ水色の瞳、汚れが1つも見当たらない初心者用の魔法使いのローブを着て、見た目からくる印象は15歳ほどだろうか……。
とんでもない美少女が来た、と、俺は思った。