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災害予知犬 パリパリ  作者: 夕陽沈
8/11

再び襲い来る危険

即席テントの中、岳士と明季を真ん中に、信二と泉が挟んで休んでる。

泉に見守られ、隣にいる明季。明季は熱出したのか、息荒くて苦しそう。

「明季、大丈夫? バリバリのヤツ、明季の状況分かってるかなぁ」



こんばんワン! おらパリパリ。


今、丈咲のいる高齢者施設に戻って来たんだ。

自動ドアなんだけど、ご利用者さんが勝手に出ないように、鍵閉まってる。

でもドン、ドンとおらが鼻で叩くと、丈咲が出て来てくれることになってる。


「お、パリパリ。ご苦労さん」

丈咲が鍵開けてくれ、おらは中に入る。丈咲はまた鍵閉める。


厨房に移動した。

「よし、あとは食料だな。コンビニおにぎりくらいしかないけど。インスタントだけどスープ作っといたから、保温できる水筒に入れて。シェラカップ4つ」

「ワンワン!」

丈咲は、ここの所長さんの理解得て、非常食とか防災グッズとか置かせてもらってんだ。


「それとこれだ!」

丈咲がまた何か出した。

「エマージェンシーシート! 毛布やシュラフだと、パリパリが4人分持ってくのは不可能だ 」

確かに。

「そこでこのエマージェンシーシート。これは極薄素材で出来てる。だけど防寒、防風、防水に優れ、毛布3枚分くらいの保温が可能!」

「ワンワン!」

それは凄い!

「薄いから折り畳んでコンパクトにできる。携帯便利で保温効果抜群の、かなりの優れものなんだ!」

「ワンワン!」

「これなら4人分持ってけるな!」

「ワンワン!」

「でもあと下に敷く毛布は1枚持って行こう。毛布は丸めて、その上にさらにビニールシート丸めて持ってけば大丈夫だな。このビニールシート下に敷いて、その上に毛布敷けば良いからな」

「ワンワン!」


あと、これだ!

高ーくジャンプして、おらの鼻を丈咲のおでこにくっつける。

「分かった。熱出した子がいるんだな?」

「ワンワン!」


明季が熱出して苦しんで、皆心配してる様子はなんとなく伝わって来てた。

それに明季は鼻水出したり咳したり、風邪の諸症状あったし。

それと、明季からは何か嫌なものが襲って来る気配はあったんだ。


「解熱鎮痛剤、冷却シート、天然水ペットボトル、あと懐中電灯とかタオルとか」

「ワンワン!」

「毛布以外全部非常用持ち出し袋に入れるから、持ってくんだ。パリパリ!」

「ワンワン!」

非常用持ち出し袋は、最近はオシャレなリュックタイプのもあるみたいだけど、おらが持ってくのは、よくある銀色の、体操着袋みたいなヤツだ。その方が、紐の部分を口で加えて引っ張って、おらが持って行きやすいからね。

毛布を縛った紐に、さらに長い紐結んで口に加えやすいようにして、非常用持ち出し袋と両方口に加えて持ってくんだ。


「それとエマージェンシーシート、これは蒸れやすいって欠点もあるから、特に熱出してる子、汗冷えしないように注意してくれ」

がってんだ!

「ワンワン!」


待ってろ! 皆。パリパリ号再々出動だったか、何回目か忘れたけど、とにかく出動!

「ワンワン!」


皆、即席テントの中で休んでるな。

「パリパリまだかな?」

「信二、少し見直したよ」

「え?」

「リーダーシップ取ってんじゃん」

「なんだ泉、俺に惚れたのか?」

「はぁ? バカかお前? 冗談言ってる状況? 殺すぞ!」

「いやでもバカバカ来てくれたおかげでホッとした」

「だな。岳士」

「信二・・・兄ちゃんと、泉・・・ねえちゃんお似合いだと思う・・・」

「ちょ、明季何言ってんの!冗談言ってると熱上がっちゃうよ」

「明季、悪かったな。皆も悪かった・・・。俺がこんな所に連れて来たばっかりに・・・」

明季、首振って

「こんな冒険出来て良かった」

泉は明季の頭撫でる。

ミシッ。

「ん?」

「どうした信二?」

「泉、何か聞こえなかった?」


あ、あれは!カンタムの上にさっきのツキノワグマ!


何だかおらのことバカって言ってた気したけど、そんなことより急げ!

「ワンワン!」


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