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災害予知犬 パリパリ  作者: 夕陽沈
7/11

機銃掃射vs風

こんばんワン! おらパリパリ!


今えっちらおっちらと例のカンタム看板運んでる。丈咲に頼んで両端に穴開けてもらい、紐通してもらったんだ。おらはその紐を口に加えて引っ張ってる所だ。ちょうど犬ゾリ引っ張ってるみたいな格好だな。


この看板のこと思い出して、これを風避けにしようかと思ったんだ。

他にも食料とか持って来ようかとも思ったんだけど、おら一匹じゃ全部いっぺんに持って来るのは厳しいし、何よりもまず一刻も早く風を防がないと。


まずは看板をそのまま口に加えて、丈咲のいる高齢者施設までうんしょうんしょと、看板口に加えて引っ張って持って行ったんだけど、これが大変だった。


丈咲に報告して、丈咲は4人の親御さんや警察に連絡してもらった。


まずはこの風避け持ってかないと。

えっさえっさ。


あ、何か強烈な嫌〜な感じが襲ってる。

皆ぶるぶる震えだしてる。低体温症の危険性!

子どもは寒さに弱くて低体温症になりやすい。

急げパリパリ号!

「ワンワン! ワンワン!」


おーい! 信二!

皆の体擦るとか何か・・・。

そうだ、お前の好きな特ソンでも歌って!

皆で歌歌ったら暖まるかな?


「ワンワン! ワンワン!」

おーい!


お、信二に通じたかな?

「ガチガチガチ。何か感じたような・・・ガチガチ」

あ〜歯が震えて無理かな。


「でも何か特ソン歌いたくなってきた。ガチガチ」

良いぞ信二。

「ガチガチ。え? マジ?」

何か泉凄い嫌そうだけど。

「ガチガチ。バンバラバンバンバン!」

うわーって、泉、岳士、明季が耳押さえてる。

まさか信二、究極の音痴?

「皆歌おうぜ!」

皆歯をガチガチさせながら首振ってる。

明季はゴホッゴホッって咳してる。

待ってろ、皆!

「ワンワン!」


「バーラバラバンバー!」

お、実際に歌声聞こえてきた。

大分滑らかに歌えるようになってきたな。


やった、到着!

「あ、パリパリ来た!」

お待たせ信二、皆!

「あれ、何でカンタムなんか

・・・」

これを風避けにするんだ。


「ワンワン!」

首を凪ぎ払うように、何回も振って・・・「一旦どいて」って言ってるんだけど、わかるかな?


「どくんだな?」

そうそう、さすが信二。


皆どいたところで・・・看板立て掛けた時の滑り止めのため、細長い溝を掘るんだ。壁の上の部分と、下の地面両方に。


ガッガッと、おらの手の爪で掘るぞ。

よし、この看板を斜めに立て掛けて欲しいんだけど、皆わかるかな?


「分かったぞ! このカンタム立て掛けるんだな」

さすが信二!

「よし皆立て掛けるぞ」

信二と泉でそれぞれ両端持って・・・。

ガシッ!とはめる。

倒れないか確かめるぞ。

ライダーキィック!

斜めに立て掛けられてる看板に向かってジャンプし、足から体当たり!

バン! バン!

特に上と下の方。バン! バン!

よし、これでしっかり食い込んで、多分大丈夫。


「ワンワン!」

「こん中入るんだな」

分かってるじゃないか、信二。風を防ぐんだ。即席テントだな。

これで大分風は防げると思うんだけど、まだ両端から多少入ってくるかも。


でもこれでカンタムの機銃掃射が、風を凪ぎはらってくれるぜ!


皆中に入ったら、また引き返して食料とか持ってくる。

大きくジャンプしてぇ。伏せの体勢で着地。


「分かってるよ。待ってりゃいいんだろ」

信二には完全に通じてるみたいだ。

「ワンワン! ワンワン!」

また皆で歌でも歌って、意識しっかり保ってて欲しい。

「ん? 何だか特ソン歌いたくなってきた」

凄い信二! これも通じた。

「それだけは全力で阻止する!」

って泉。信二はよっぽど音痴だったのかなぁ。


中は狭いけど、皆、中に入って肩寄せ合って固まっててくれ。

「うわ〜中暖かい」

暖かいか? 岳士?

良かった。こうして風防ぐだけでも大分違うからね。


とにかく早く行かないと。

ダッシュ!

「ワンワン!」

泉にも通じてるみたいで安心して行ける。

「なむろあみえちゃんの歌でも歌おう? 明季」

「はぁはぁ」

「明季? 何か息荒い」


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