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災害予知犬 パリパリ  作者: 夕陽沈
6/11

パリパリ号到着!

泉は明季をおんぶして、例の銃型ライト点けて歩いてるけど、ほとんど見えてない。

ん? 前方に何か・・・。


「きゃっ」

二つの光る目が出て来て泉驚いてる。

明季はすっかり寝ちゃってる。


あれはネコだ。ネコの目自体は光るわけじゃないけど、光が反射して光るように見えるんだ。

ネコの方が怖がって逃げちゃった。


でもクマにどんどん近づいてる。急がないと!

「ワンワン!」


あ、前方に・・・。

良かった! 泉と明季だ!

「ワンワン!」


泉気付いたか?

「きゃっ! 今度は何?」

お〜い、逃げないでくれ。

「ワンワン!」


泉の目の前で、可愛らしくジャンプだ。

敵意はないよ〜。


気付いたかな?

「あれ、この犬は・・・丈咲が飼ってる・・・バリバリ?」

ガクッ。違うよ違う。パリパリだよパリパリ!


「もしかしたら・・・助けに来てくれた?」

そうそう。助けに来たんだ!

「良かった! さぁ道案内して」

ダメダメ。こんな山の夜道ちょー危険。

引き返して引き返して!

「ワンワン!」


首をクイッって振って、信二たちの方示してるけど、わかるかな?

「えっ? 何? 引き返せって?」

そうそう。

「ワンワン!」

「あぁあいつら?」

「ワンワン!」

あ、明季起きたかな?

「泉ねえちゃん。信二兄ちゃんと岳士兄ちゃんかわいそうだよ。戻ってあげて」

「ふぅ〜。相変わらず明季は優しいね。分かった。戻るか」

良かった良かった。

「ワンワン!」


おらは暗くても見えるけど、泉たちは見えない。おらが先導して、ゆっくりゆっくり歩かないと。

「ワンワン!」

って、時々声も出してあげないと。


あっ! 後ろから何か感じる。

ガサガサッって葉の擦れるような音。

クマだ!

泉と明季は気付いてないみたいだ。

クマはこうして静かにおとなしくしてれば襲ってこない可能性が高い。


泉たちが鉢合わせしてパニクってたら大変だった・・・。

そうそう。そ〜っとそ〜っと。そのままゆっくり進んで、泉。


案の定、クマはぼ〜っと突っ立って見てるだけ。

危ない危ない。


子熊連れでなくて幸いだった。子熊連れだと観念する所だった。

子熊守ろうと、母グマは本能的に襲って来るからね。


あっ、前方に・・・ブルーレンジャーに付いてる臭いと同じ臭い!

信二と岳士の不安、恐怖も感じる。


いた!

良かった良かった。

でもないか。

どうやって防寒するかって問題だ。けっこう標高も高いし、風も吹く。


「あ、お前ら。戻って来たのか」

信二の言葉弱々しい。寒さや暗さによる恐怖にやられまくったな。

「明季が戻ろうって言うから。お前ら明季に感謝しろよ」

むしろ強気の泉の方が心強い。

泉がリーダーになった方が・・・。


「あ、その犬」

お、岳士もかなり弱ってるけど、気付いてくれたか。

「バカバカだっけ?」

違うだろっ。冗談言ってんのか? 冗談ならむしろ頼もしいけど。


「パリパリだろ」

信二、おらの名前知ってたのか!

やっぱりお前がリーダーだ!


ここら辺は実はよく知ってる地形。丈咲と訓練のためによく来てたから。


曲輪(くるわ)が一番良いかな・・・。

城だから、本丸とか二の丸とか、区分があって、山城の場合、それぞれの部分が平らになってる場合が多い。それを曲輪っていうんだ。

そこに行こう。


「ワンワン!」

皆、付いて来てくれ。


ゆっくりゆっくり歩いて。

皆大分寒さで体力消耗して、恐怖で精神も消耗してるだろうな。


ゆっくりゆっくり・・・。


少し時間かかったけど、曲輪に着いた。

曲輪の両端の部分の片方だけ、ちょうど切り立って壁のような形になってる。

その壁を背にして、皆体を寄せあって固まってくれ。

「ワンワン!」

皆で体を寄せ合って欲しい所に向かって吠えたけど、わかるかな?


その場所へ行って・・・高ーくジャンプ。伏せの体勢。

その行動を繰り返す。

何とか分かってくれ。

「ここで待ってろっていうんだな? パリパリ」

分かってくれたか! 信二。

さすがリーダー!


でも地面は冷たい。壁の部分も土だから冷たい。

なるべく柔らかい、細かい木の枝集めてっと。

口に数本ずつ加えて持って来るけど、これじゃ時間かかる。


「木の枝持ってくるのか?」

信二、分かってくれたか!

「木の枝ね」

泉も。


二人が大量に両手で抱えて持って来てくれたから、すぐに集まった。

これら木の枝を皆が腰をおろす部分、寄りかかる部分に敷き詰めるんだ。


「この木の枝、ここに置くんだな?」

お、信二、理解早い!

泉も理解したようで、二人で敷き詰めてくれた。

こうして地面からの冷気を防ぐんだ。


でもこれだと完全には風防げない。

さらに防寒、防風になるもの持って来るから待ってて欲しい。

高ーくジャンプして、伏せの体勢で着地。

「ワンワン!」

「分かった。ここで待ってるよ」

さすがリーダー信二!

信二、岳士、泉、明季をそれぞれ突っついて、中央へ寄せる。

「皆で体を寄せ合ってればいいんだな?」

さすが信二!

「ワンワン!」


一旦下山して、すぐ戻ってくるから!

「ワンワン!」

再びダッシュだ! パリパリ号!


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