ひょんの思い。
「そうか~。んじゃ冬華とひょんはくっつけないね!」
「なんでそんな嬉しそうなんだよ。」
何故かリリスはニコニコしていた。
「え?だってってことはひょんはいつまでも1人って事でしょ?」
「おい!それは失礼じゃねぇか?」
「ってことはひょんはずっとここのお客さんになってくれるって事でしょ?そこは嬉しいかなって」
なんだろう。喜ぶ所か…これ?
「俺はいつまでも客かもしれないけど、」
「けど?」
そう聞き返してきた顔が若干近い。
「リリスちゃんが黒と一緒になっちゃったらここの店員じゃなくなるんじゃねぇの?」
「ハハハ!なにそれ嫉妬?」
足をバタバタさせて大笑いしている。
けど俺は、
「…そうだな嫉妬だ。」
とわりと真面目に答えた。
正直俺はリリスちゃんが好きだ。と思う。一緒にいるだけで癒されるし、楽しい。この優しさがこの笑顔が、いくら悪魔と言われてもこの悪魔らしくない悪魔の優しさが天使のような悪魔の笑顔が、リリスちゃんが好きだ。と思う。
それを聞いたリリスは下を向いてお箸をクルクル回している。
なんと言うか特に動揺した様子もなく箸をクルクル回して遊んでいる。
「う~ん、」
なんか悩んでいるようだ。
「私と黒が一緒になることはないかな?」
「なんでそんなこと言い切れるんだ?」
「ん~!私と黒は小さいころから一緒だけど、何て言うか~、黒は私の旦那って感じはしないんだよね?」
「どうしてだ?」
「ん~何て言うか理屈じゃないんだけどね、黒って物凄く強いんだ。それは本当に物凄く。だからね黒にはもっと凄い人って言うか悪魔がいいと思うんだよね。なんか、その何て言うかさ、私じゃ力不足、役不足って感じがするんだよね。」
そんな、そんなこと…。
「そんなことねぇと思うぞ!リリスは優しいし、可愛いいし、役不足なんて…」
「何?私を口説いてんの?」
悪戯ぎみに笑ってきた。
「いやそういう訳じゃ、でも」
「ハハハ!ひょんっていつもの冬華にいじめられてるけど、本当は優しいよね!?いつものは演技?それとも私を口説こうと嘘ついてるの?」
「いやそうじゃなくてな、リリスは、リリスはもっと自分に自身持っていいと思う!魅力的なんだし!黒くらい余裕でいやむしろ俺なんか余裕で…」
と隣の席に目をやると、
おっとこれは凄い、まさかの急展開か?
隣の席にリリスはいなかった。
後ろを振り向くと、リリスは別のお客に水を運んで仕事していた。