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坊っちゃまは、ドラ息子

作者: 一花八華

照り付ける日差しの中、日傘にサングラス、長袖長ズボンといった出で立ちの青年?(少年?)と、その傍でバトラー衣装に身を包む、見るからに執事といった出で立ちの男が二人。カフェテリアから外を眺める。


「ークソっ。どいつもこいつも穢れてやがる!」


室内だというのに、日傘を刺し外を眺める彼は色んな意味で浮いている。サラサラと流れる美しいハニーブロンド。スラッと伸びた細い手足。瞳は生憎サングラスに隠れて見えないが、逆三角形のFaceLINEに、スッと通った鼻筋。キユっと結ばれた唇から美形である事が推測される。


「坊っちゃま。そのように仰られるから、恋人が一生できないんです。」


傍に佇む長身黒髪の執事が、淡々とした口調で告げる。


「おい。クロード!ボクを坊っちゃまと呼ぶな!ちゃんとブラムス様と呼べ!そして勝手に生涯独身と決めつけるな!!ボクはお前と違う!」


#クロード__執事__#の言葉に、ハニーブロンドの青年?は憤慨する。


「私は特定のお相手を作らないだけです。独身貴族という奴です。坊っちゃまのように、必死で婚活など致しません。」


クイッと眼鏡の縁をあげ、鼻で笑う。なかなかに下衆で失礼極まりない執事である。


「必死で何が悪い!ボクは16だ!立派な大人だ!僕は僕に相応しい花嫁を見つけるのだ!」


16歳というと、立派な大人だ。早い者なら14歳で世帯を持つ。かく言うブラムスは、かれこれ二年前から理想の花嫁探しの旅を続けている。


「坊っちゃまは、理想が高すぎるんですよ。プラチナブロンドに長身。スレンダーボディに色白。少し気の強めな乙女をご所望だとか。しかも処女。」

「穢れていないという事は、大事だろう。」

「いや、このご時世。そんな美女や美少女が未貫通である可能性は少ないでしょう。よっぽどの箱入りか、幼い少女を囲って育てるか・・・・・・」

「ボク好みの令嬢は、ほぼ婚約者がいる。幼い少女を育てるのは、その子が育つまで待つのが嫌だ。」

「なら妥協すべきです。」


呆れたように話クロードに、ブラムスは詰め寄る。


「大体お前が悪いんだぞ!ボクが出会う女性という女性を、片っ端から食い散らかして!!大体男ならちゃんと責任をとれよな!お前不誠実だぞ!」


半泣きになりながら、胸倉に掴みかかるブラムスをクロードはぺいっと受け流し、席につかせる。


「坊っちゃま。私も男ですから・・据え膳は美味しくいただきます。特定の恋人は作らないとちゃんと申しておりますし、彼女達も【想い出作りに】と私を求めてきたのですよ?」


ーそれに皆さん経験済みでしたけど?


っという言葉を、クロードは心の中で呟く。


見目は良いが、ヘタレで思い込みの激しいブラムス。まだ幼さの残る、青年と少年の間のような彼に想いを寄せてくるのは、歳上の女性ばかり。ヘタレDTなブラムスと大人の色気ムンムンなクロードでは、戦力差がありすぎる。


「せめて、処女に拘るのはやめませんか?貴方・・・・・・このままじゃ一生童貞ですよ?」


クロードの声に、哀れみが混じる。


「うるさい。処女を求めるのは、ボクの中に流れる血が故だ。」


ブラムスの中には、うっすらとではあるがドラキュラの血が流れている。何十代か前のウルド卿がソレだったらしい。先祖返りというもので、ブラムスは少し日差しに弱く、その瞳も赤い。日中活動できないわけではないが、陽にあたりすぎると肌がヒリヒリして赤みがかってしまう。早い話、極端な日焼け体質だ。


「せめて、童貞を卒業されては?」

「・・・・・・笑われるのが・・・・嫌だ。」


ー頑なに処女に拘るのは、コレが理由だろう。


プライドの高い彼は、誰かと比べられるのが怖いのだ。



「ドラキュラのDは、童貞のD・・・・・・。」



生暖かな視線を、純朴な主人に向けながら・・・・長身黒髪で色気溢れる執事は、旅の終わりを切に願うのであった。






おわり。





事件をきっかけに美少女や美女と出会い、それの解決に奔走して頑張ったものの、美味しい所を文字通りすべてクロードに持っていかれる。


それが彼等のパターンです。


頑張れブラムス

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