血も涙もありました
人生は長すぎる、うんざりしていたはずだった。
なのにこのざまだ。
―― 死にたくない。
いざとなるとこれだ。
おまけに女まで泣かせちまって。
人の泣きっ面なんて数え切れないほど見てきた。
でも、こいつがはじめてだった。
「……あったけーな」
人の涙に触れたのは、これがはじめてだった。
笑っちまう。
こんな不細工な面して泣く女は他には知らない。
「っ……許さないっ、私を置いて死ぬなんて絶対に許さないッ!! 」
逃げていく血の音が、全身を駆け這っていく。
皮肉にも胸に突き立つのは、己の愛刀だった。
まさか分身に殺されるなんて。
だけど、裏切られた気はしない。
俺の血肉を啜りながら、腹が立つほど輝いてるんだ。
天を貫く光が、まるで俺に喋りかけているみたいに。
「……アレッタ」
「喋るなっ、傷がひらく」
俺にはもう、魔法は効かない。
喚く声を無視して、言葉を続けていた。
「見上げるとさ……空はいつも、そんなに綺麗じゃないんだよ。曇天だったり、雨降ってたり、雷鳴ってたり……どす黒い色していっつも俺のこと見下ろしてんだよ。でっかいツラして……泣くほど笑ってくるんだよ」
気に入らない。
最後の最後まで、気に入らない。
「嫌われてんのかな、俺…………。なんで今日なんだよ……」
それでもやっぱり、見上げてしまうんだ。
「……こんな綺麗な空、見たことねーよ」
緑のサークルが消え、空がもっと近づいた。
アレッタは魔法を止め、俺を見て泣きながら笑っていた。
さっきと同じ、温かな涙が頬に落ちてくる。
「馬鹿……」
「うっせー……。もう泣くなよ」
「泣いてない」
「嘘つけ……泣いてんじゃねーか」
「……泣いてないっ」
アレッタの手が俺の頬に触れる。
「泣いてんのは、ディランよ……」
「え……? 」
頬にかざした手は濡れていた。
アレッタと同じ温かい涙を、俺は流していた。
「死にたくねーな……死にたくねーよ」
一番最近で泣いたことかぁー……
んーーーー。あっ!
う○こ気張りすぎて
ん゛ーーーーー。てなった今朝かな。