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むかーしむかし




小さな子供が親から眠る前に聞かせてもらうおとぎ話。

勇者が活躍する昔話。

どこの家でも語り継がれる有名なおはなし。



 むかしむかし大きな国の美しいお姫様が

 悪い魔王に攫われて囚われの身となってしまいました。

 王様やお妃さまは酷く悲しみ

 兵隊さんを魔王城へ向かわせました。

 しかし魔王の手下はとても強く

 兵隊さんでは力及ばず

 大きな国の人々が諦めかけた時のこと。

 小さな村の勇敢な青年が魔法使いや賢者と共に

 魔王を倒し姫を救い出しました。

 魔王が倒された大きな国やその近隣諸国は

 素晴らしい平和を手に入れました。

 そして勇敢なる青年は人々から勇者と呼ばれ

 美しいお姫様と結婚し立派な王になりました。



と、まぁどこの家でもこれに似たり寄ったりなお話が伝わっていることだろう。

勇者の伝説これは大昔本当にあった出来事だ。


小さな村の青年に魔王が倒され青年は勇者と呼ばれお姫様と結婚した。

しかし国は平和になったわけではない。

そんなにも世の中は都合よくできていないものだからだ。

魔王が死ねば新しい魔の者から王がうまれる。

魔王はいなくなったりなどしない。


森に入れば魔物がでるし、海にも大きな怪物がいるらしい。

時折空にはドラゴンが飛ぶし、毒の沼地は迷い込んだものを骨までとかす。


魔の者の住まう大陸には今でも人は立ち入れない。

時折、勇者にあこがれた愚か者が行方不明になっているけれど。




ところで、だ。

なぜ私がこんな話をはじめたと思う?

その答えはもう少しあとで。


私も小さなころには両親からこの話を聞かされて育った。

ちいさかった私は寝る前に考えたものだ。

魔王は美しいお姫様に恋をしてしまったのだろうと。

だから大好きなお姫様を自分の家に連れていってしまったのだろう。

魔王だからといって恋をしただけで殺されてしまうのはかわいそうだ、とも。

今にして思えばうら若き乙女を誘拐した段階で万死だと思うけど。

当時の私は恋に夢見るちいさな女の子だったのだから仕方ない。

恋は人を変える、と近所のお姉さんが熱弁していた影響もあったかもしれない。


山に囲まれた小さな村の娘たちは恋というものにあこがれを抱くものだ。

都会に夢を抱くように、囚われの姫というシチュエーションは楽しい。

私は周りとは少しだけ着眼点が違ったみたいだけど、それでも勇者の伝説は好きだった。


そう、好きだった。

今では過去形だ。


幸せなハッピーエンドが待っていたのはお姫様がお姫様であったから。

しがない村娘が攫われたのであれば”事故”として扱われ捜索なんてされない。

不幸な事故だ。

年間何人の人々が魔物に襲われて死んでいるか。

一人消えたところで気付くのも悲しむのもその周辺の人だけだ。





さぁ、そろそろ答えが見えてきたかな?

今までの語りは全て前置きだ。

本題に行こうか。



森で食料を探していたら、魔物に攫われた。

どうやら私が食料になるらしい。

助けに来る人も攫われたことに気付く人もいない。

私の人生つんだ\(^o^)/




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