第4話 必ず探し出してみせる!!
本当に申し訳ありませんでした。
何度もアクセスして下さった方には大変申し訳ないと思っています。
言い訳は後書きにでもさせて下さい。
では!どうぞ!!
「ねっ、ねぇ? ………あなた……一体………」
「へぇ?」
私はさっきまで男をボコボコにして、『気分爽快』とばかりに清々しい笑顔の女の子(未だに男の子とは思えない)に、普段の私からは想像も付かないほど、おっかなびっくりした弱々しい声を掛けた。すると、その子は私の存在を忘れていたのか、ひどくビックリとした表情で私を見てきた。
「……あっ…貴女は……」
見るとその子の顔が段々と真っ赤に成ってくるのが分かった。
「すすすすすすすみません!! あの、その、助けていただき有り難う御座いました!! それで……あの……」
余程慌てているのか、その子は額に冷や汗のようなものを沢山浮かべて、全身をいっぱいに使って、私に助けてもらった礼を述べきた。
「そりゃ、まぁ、どう致しましてだけど………さっき、あなたは一体あの男に何をしたの?」
そう言って、私は遙か彼方で倒れている男を指差した。
「なななななななな何の事ですか!? わ、わぁ!! 大変だ!! 人があんなところで倒れてる!! あああああれをオ、いえ、私がやったというんですか!!」
私は明らかにさっきより一層焦りの色が濃くなっているとハッキリと感じた。
余程、今し方自分があの男にしたことが、私に知られてはならなかったようで、その娘の慌てぶりといったらまるで漫画の登場人物のごとくオーバーリアクションなもんだから、私は思わず噴き出しそうになってしまった。
この娘、面白い………ちょっとからかっちゃお♪
「へぇ〜〜、あなたはどうしてあの男の人が、あんな所で気を失っているのか分からないんだ〜〜」
コクコクコクコク!!
その娘は、私の話しに合わせて何度も勢い良く首を縦に振って、相打ちを打つ。
「そう? ………じゃ、あなたの足下で倒れている、血だらけの男の人もどうしてこうなったか分からないと??」
ブンブンブンブン!!!!
その娘の首を振るスピードが上がって、今にも首と胴体が離れてしまうじゃないかと思うほど、激しく相打ちを打ってくる。
何この娘の反応、可愛い過ぎるんだけど………もうちょっとだけ、いじめちゃえ♪♪
「ふ〜〜ん、そうなんだ………じゃ、さっき私が見た光景は夢で、この人達も私が無意識のうちに倒しちゃったのかな〜??」
「そ、そうですよ!! きっと!! いえ、ぜっ、絶対にそうですよ!! ………あっ! いや、そうでした!!」
ほんと、期待通りの反応ばっかりしてくれるわね。
私は緩みそうになっている頬に気を使いながら、尚も言葉を続ける。
「へぇ〜〜、そうなんだ。ちょっと残念ね」
「ほっ」
私がとぼけて見せると、その娘は小さく安堵の溜め息を漏らし、額に浮かんでいた冷や汗をそっと拭いだした。
ニヤリ♪
「そう。じゃ、さっきの不思議な霧は何だったのかしらね〜〜???」
「ギクッ!!」
その娘が安堵したのも束の間、私は更にその娘を問い詰めた。すると、その娘は安堵のため緊張の抜けていた全身を、また激しく緊張させて、勢い良く背筋を、ピンッ、と伸ばした。その額から新たに大量の冷や汗が浮かんできている。
「あなた、この私がさっき見た光景が全部夢だったと、本気で思ってると思って??」
「ギクギクッ!!」
「それに、あな―――」
「あっ!! あの!! さっきは助けていただき本当に有り難う御座います!!」
私が尚も追求しようと話し出した途端、その娘は強引に私の話しの上にお礼の言葉を被せ、再度深々と頭を下に下げた。
「だっ、だから、それは何でも無いって!! それより今は、あなたがさっ―――」
「あの!! 助けていただいたお礼を是非ともしたいのですが、よろしいでしょうか?!」
私がさっきの話しの続きをしようとすると、またまた強引に遮られてしまった。けど、ここで引き下がるような私ではない。
「そっ、そんなもの要らないわよ!! 別に私は、あなたからお礼を貰うために助けた訳じゃ無いんだから!! それよりも私が聴きたいのは―――」
「ならばせめて、助けていただいた恩人の名前を教えて下さいませんか?!」
「だから、私が聴きたいのは―――」
「名前を教えていただきませんか!!!!」
くっそ〜〜! この私が、こんな可愛らしい女の子に負けていいはすがないのよ!!
しかし、私は彼女の余りにも鬼気迫った表情と空気に―――
「し、白羽真琴だけど……」
―――言っちゃったよ、私!! どうしてよ、私!! 負けを認めてしまうの、私!!
しかし、この時私はこの娘に対して、さっきの出来事について追求しようという、思いは殆どなくなってしまった。それだけではない。私は何というか、目の前の彼女から、いわゆる自分と同じ“ニオイ”をしている気がしてきたのだ。
この娘………ひょっとして、私と―――
「そそそそそそうですか!! しら………え〜と………真琴“くん”」
―――同じ………って!!
「ちょっと待ちなさい!! どうしていきなり名前なのよ!!」
違う!! ツッコミどころはそこではない!!
「すすすすすすみません!! 焦ってたもんで、名字のところを聞き逃しちゃいました」
「名前を呼ぶことは別にいいのよ! それよりもどうして、真琴“くん”、なのよ!! なによ、“くん”って!! 私は女です!! 一体私をどこをどう見たら男に見えるって言うのよ!!」
それだ!! 何故にこの娘は私の事を“くん”付けで呼んだのだ!!
私が思わず怒鳴ってしまうと、彼女は目を目一杯開き、驚愕の表情を浮かべた。
どうしてそんな、驚きの表情になるのよ!!
「えっ?………女性の方ですか?」
カチン!!
「当たり前でしょうが!! もしも、私達ぐらいの男が、こんなヒラヒラな女子高生が履くスカートを履いていたら気色悪いでしょうが!! 想像しただけで、鳥肌がでるじゃない!!」
ガーーーン
「き、気色悪い………」
何やら彼女が小さく呟き、その後ろから見事な擬態語が聞こえてきた気がした。そして、何故か目の前の女が口を半開きの状態で固まっている。
しかし、一度火がついた怒りはそう簡単に止まれる訳がなく―――
「それに、もし、仮に私達と同い年ぐらいの白羽学院男子生徒が、私達、女子の着る制服を着て、それを『コスプレ』と称していたとしましょう。それから、仮に私やあなたみたいな喋り方していたとしましょう。そして、そんな奴が今、あなたの目の前にいると想像してご覧なさい!! どうよ!!」
「どっ、どうよ、って聞かれても………」
私は目の前の彼女の肩を力強く掴んで、彼女の間違いを正すべく最後の言葉を放つ。
「いい? よ〜〜く聞きなさい。私達の学校にはそんな人は絶対に居ないのよ!! 仮にもし、私達の行っている白羽学院にそんな男子生徒がいたら、私はソイツにハッキリと言ってやるわよ!! 変態だって!!」
ガーーーンガーーーンガーーーン………
「へ………変態って………」
「どっ、どうしたの?」
彼女は、私の最後の言葉を聞いた後、なにやら真っ白になって、地面に私から背を向ける形で屈んで『の』の字を書き出してしまった。
「ねっ、ねぇ? 一体どうしたの??」
私が驚いて急いで声を掛けると、彼女からブツブツと何やら呟く声が聞こえてきた。けれど、何を呟いているのかは解らなかった。
「いいんです、いいんです……どうせ私なんか……私なんか………気色悪い、女子高校生の格好した変態ですよ……そう…私は変態……変態……グスン……変態……」
私が、彼女の呟きをもっとよく聞き取れるように、隣に屈んだ。
どうやら、私の説教(?)に落ち込んでいるようだ。
はて? 私、何かこの娘を傷付けるような事、言ったかしら?
ともかく、理由がどうこうよりも、どうやら彼女が落ち込んでいる原因は私にあるようだ。ここは私が謝るべきであろう。けど――
「あの……その……」
――私には、彼女が落ち込んでいる原因がサッパリと分からない。
私は何を言えば良いのか分からず、困り果ててしまった。
その時、突然!! ―――
「やっぱり、変態はイヤだ――――!!」
「キャーーーッ!!」
―――膝を抱えて落ち込んでいた彼女が、突如立ち上がり叫び声をあげた。
私はその声に驚きとっさに悲鳴をあげてしまった。
「も、もぉ〜〜〜!! いきなりビックリするじゃない!! 一体、どう―――」
「真琴さん!!」
私の文句の言葉は彼女の私を呼ぶ声に途中で遮られてしまった。
余りにも力の籠もった言葉に、思わず後ろに引いてしまう。
「もっ、もしもですよ! さっき、真琴さんが言っていた人がやっぱりいたら、あの……その……きっ、気色悪いですか?」
何をそんなに力を込めて言うのかと思えば。
「そうね。もしもそんな人がいればそう思うでしょうね。」
私がそう返すと、彼女は少し俯いてしまった。しかし、すぐさま首を横に振ると、真っ直ぐな目で私を見つめてきた。
「例えそれに、どんな理由が有ろうとも、ですか?」
私は彼女の言葉の意味が分からず、口をつぐんでしまった。
どんな理由が有ろうとも? どういうこと? ………彼女は一体何を私に言っているの?
彼女の真っ直ぐな瞳が私を見つめる。直ぐに私は彼女が冗談で言っているのではないと気付いた。彼女は本気で私に尋ねている。私は返す言葉が見つからず、ますます黙ってしまった。
シャリーン……
突如、鈴の音が辺りに鳴り響く。
その音を聞いた瞬間、私達の間に沈黙が流れた。
そして―――
「ワァーーー!! たっ、大変!!」
さっきまでの真剣な表情と打って変わって、その娘は急に焦りの色を浮かべた。
「こ、今度は何よ!!」
「今日はせっかく母上から稽古をつけてもらう約束だったのに!! 早くしないと遅れちゃうよ〜〜」
そう言うが早いか、彼女は急いで荷物をまとめだした。
私はその様子をただただ呆然と見つめる。
しばらくして、荷物をまとめ終えた彼女が私の元へ来て、もう一度深々と頭を下げた。
「さっきは、危ないところを助けて頂き、有難う御座いました」
そうして、その状態のまま、再度私に礼を述べてきた。
私がその光景を呆気に取られながらいると、彼女は私のそんな状態を知ってか知らずか、私に一歩近付いて来た。
そして、手を伸ばすと、私の額の辺りをそっと触れると、小さな声で呟いた。
『彼の者から、我に関する全ての記憶を消し去り賜え。しばしの間、彼の者に安らかな眠りを与え賜え』
途端に私は物凄い眠気を感じ、立っていることも出来なくなり、前に倒れてしまった。薄れる意識の中、私は彼女にしっかりと抱きかかえられていると感じた。しかし、私はそんな眠気に負けじと踏ん張り、彼女の顔を見ようと、首を動かす。
「……あ…なた……の…名……前……は」
私の口から無意識の内に言葉が零れた。
「私ですか? 私の名前は神寺 光と言います。真琴さん……すみませんが、暫くの間眠っていて下さい。そして、私と出会った事は忘れて下さい。……本当に有難う御座いました」
冗談じゃない!!
私はすぐさまそう言い返そうとした。けれども、眠気は最早限界だった。
ぼやける視界と意識の中、最後に彼女の静かに笑う顔が見えた気がした。
そこで私の意識はプツンと途切れた。
それから、どのくらい経ったのだろう。私は壁にもたれるような形で眠りから、目覚めた。辺りには、私が倒した10人の男どもが未だに倒れている。私はゆっくりと立ち上がると埃を叩いた。何だかさっきまで夢を見ていた気分だ。
どんな夢だったのか、何をしていたのかハッキリと思い出すことが出来ない。ただ、とってもワクワクした夢だった気がする。
私はケータイを取り出すと、ゆっくりとダイヤルを回した。
プルルルル……プルルルル……
暫くの間、呼び出し音が聞こえ、相手が電話に出た音が聞こえた。
『もしも〜〜し。真琴ちゃん、どうしたの〜〜??』
「ごめん、母さん。また喧嘩しちゃって、男の人達をボコボコにしちゃったんだ。それで、直ぐに救急車の手配をしてもらいたいんだけど………」
『えぇ〜〜、もぉ〜〜、真琴ちゃんたら、喧嘩しちゃダメだって言ってるでしょ〜〜』
「……ごめんなさい」
「で! 今度は何人倒したの〜!!」
「えっ、えぇ〜っと、10人」
全く。どこの世界に喧嘩で倒した人数を嬉しそうに聞いてくる親がいるって言うのよ………あれ?……私が一人で10人?
『キャーー!! すごーーい!! 真琴ちゃん、さっすがぁ〜〜』
「何を言ってるのよ。全く、どこの世界に喧嘩で倒した人数聞いて喜ぶ親がいるのよ!」
『あら! それを言ったら、一体どこの世界に10人の男の人をたった一人で倒しちゃう女の子がいるのかしら?』
ほっ、ほっといてよ!! ……でも、本当に私一人で、10人倒したの? 何だろ、この違和感。
『それで、今度はまたどうしてしたの?』
「うっ、うん。それはね、倒した男の人達が無理やり、一人の女の子を羽交い締めにしているところを偶然見つけて……」
えっ!? 女の子!?
私は無意識に出てきた自分自身の言葉に驚いてしまった。
その時だった。突如私の脳裏に一人の女の子と思われる人の静かな笑みと、声が聞こえてきた。女の子の顔は、ぼんやりとしていてハッキリとは解らなかったが、声はハッキリと聞こえた。
『私の名前は、神寺 光と言います。』
………え?………
『なるほど〜〜。捕まった女の子が「キャーー」って成りそうなところを偶然通りかかった正義のスーパーヒーロー真琴ちゃんが、その悪い男の人達をババンッと倒したのね!!』
「………」
私はケータイの向こうで一人騒いでいる母親の声が耳に入っていなかった。
何? 今の………さっきの子は一体だれ? 神寺……光?
『……真琴ちゃん?……』
電話の向こうから、母親の心配そうな声が聞いてきた。
「えっ……まっ、まぁ〜〜、そう言う事になるかもね」
私は母さんの心配そうな声に、ハッ、としてすぐさま返事を返す。
『………まぁ、いいわ。それで、今どこ?』
「え〜と、ここはねぇ〜……」
その後、私は私が今居る位置を母さんに話し、電話を切った。救急車がこっちに到着するまで待機との事だ。私としてもそちらの方がありがたかった。
母さんは、私の様子に気づいたに違いない。見かけは小学生のようだけど、人の様子とか、感情には人一倍鋭いからなぁ〜。なんて、言い訳しようかなぁ〜。でも、今はそんな事よりも……
私はさっき見えた同じ制服を着た『神寺 光』と名乗った少女の事を考え始めた。しかし、どんなに記憶の中を探しても『神寺 光』と言う人は浮かんでは来なかった。ならば―――
「よし!! 明日、学校でその『神寺 光』って子を必ず探し出してやろうじゃない!!」
私は、そう心に決め、救急車が来るのを待った。
◆◆◆◆◆
「もぉ!! ヒカリったら、一体何処まで行ったのよ!!」
あれから私は、ヒカリが走って行ったであろう方向に手当たりしだいに歩いている。
「この私を、ここまで本気で怒らせといて、後でみていなさぁい!!」
バンッ!!
私は目の前にある、ドアを思いっきり開け放ち中に入る。そこはとても大きな通路になっていて、今しがた私が出てきた校舎と他の校舎とを繋ぐ、いわゆる渡り廊下だった。
私はヒカリに対しての怒りが収まらないまま、廊下をドンドンと進んでいく。
半分ほど着た所だろうか。突如、私の背後に何者かの気配を感じ、私はその場に立ち止まった。すると、足音が聞こえてきて、同時に気味の悪い音が聞こえてきた。
ギギギギギ………ドックン…ドックン……
私は直感した。後ろに居るのは人間では無いと。そう、解った瞬間。私の体から嫌な汗が大量に流れ出てきた。体中に悪寒が走る。
どどどどうしよう〜。不味いわよね! 後ろ向いちゃ、絶対不味いわよね! 寧ろ、今動かないとそれこそ不味いわよね! ここは一つ、このまま後ろを振り返らずに全速力で―――
ガシッ!!
突然私の肩を後ろにいる“ナニカ”が掴んだ。掴まれている部分に妙な温かみを感じる。
「ッ!!」
後ろからは相変わらず『ドックン…ドックン』という何とも不気味な音が聞こえる。それに加え、前よりも後ろのナニカが付かずいて来たせいなのだろうか、今度は『グチョ…グシュ…』という音も聞こえる。
私は覚悟を決めた。
どうせこのまま後ろにいる“ナニカ”に何かされるのなら、いっそ、その姿を拝んでやろう。
そして、私はゆっくりと後ろを振り返った。
ここまで読んでいただき有り難う御座いました!!
本当、遅れてスミマセン………
遅れた言い訳としては、作者が通う学校が丁度、期末試験の時期だったからです。
スミマセン………言い訳にも成りませんね………
それに、今回の話を読んで下さった読者の皆様の感想はきっとこうだったのではないでしょうか?
話が一向に進んでないじゃないか!!
それにつきましても、本当に申し訳ありません。
毎回毎回グダグダしてしまって………
感想・評価、お待ちしています。ちょっとしたことで構いません。寧ろ、「早く、次の話書けや!!」でも「この小説のここがダメだ!!」等のお叱りの言葉でも構いません。宜しくお願いします。
それでは改めまして、ここまで読んでいただき有り難う御座いました!
こんなダメ作者ですが、どうか見捨てず、次の話も読んで下さい。