第12話 真琴VSメリーさん?!
はい。と言う訳で久々の更新です。
いやぁ、試験期間中に更新するとかどうとか言いながら結局こんなに遅くなってしまって本当にすみません。
それはそうと、今回、すっごく長くなってしまいました。それも無駄に。
なんか色々とごめんなさい(土下座)
では、どうぞゆっくりと読んでやってください。
あぁ、そう言えば…………皆様は、メリーさん以外のお化け達の正体にもちろん…気付い…ていらっ……しゃいま…すよ…ね?(汗)
今回には前回、名前を出す事が出来なかった二人の名前もちゃんと出てきますよ!!
はぁ? メリーさん? 夜の学校のアイドル? まったく何が何だかさっぱりわからないわ。
私は思わずその場で、バカみたいに固まってしまった。
「お〜い、もっしも〜し。聞こえてますか〜」
メリーさんとか名乗った女の子が、あまりにもリアクションの薄かった私の顔の前で右手をひらひらさせている。
「ねぇ〜、ひかりん。このにぃちゃん、全然反応してくれないよ」
私の顔の前で手をひらひらさせているのに飽きたのか、隣にいるヒカリに話しかけるメリーさん。
「当然ですよ。誰だって普通の人は、この状況にあの微妙な説明をされたらこうなりますよ。……あと、その妙な呼び方、いい加減にやめてくれませんか?」
メリーさんの言葉にため息を付きつつ、ヒカリは答える。
「えぇ〜、なんでぇ〜? ひかりんはひかりんでしょ?」
ヒカリの言葉にメリーさんは直ぐに頬を膨らませてヒカリを見る。
それにヒカリはまたまた呆れるようにため息をつくと、ボソッと言った。
「小学生ですかあなたは」
「ぶぅ〜、小学生じゃないもん。メリーさんだもん」
さながらフグのようにますます頬を膨らませてメリーさんはヒカリを睨み付けている。しかしそれも束の間、直ぐにメリーさんは表情を楽しそうな表情へと一遍させると、ポンッ、と手を叩いた。
て言うか、私は完全に蚊帳の外なのね? 何そこで勝手にそれこそ小学低学年みたいな会話をしているのよ。ねぇ? 今、こうして私がここに立っている事なんて、綺麗さっぱり忘れているんじゃないでしょうね?
「あっ! わかった。つまりひかりんは『ひかりん』て言うあだ名がイヤなんだね!?」
「一体、どこをどうひねくったらそんな答えが導き出されるんですか?」
「うんうん。そうかそうだったんだね、ひかりん。ごめんね。あたしったら全然気が付かなかったよっ!」
「いや、だから―――」
ヒカリの話しなど完全にスルーしながら、メリーさんは一人、うんうん、と頷きながら勝手に納得してしまった。そしてしまいには「よし! じゃあ、新しいあだ名を考えて上げないといけないねっ!」とかまたまた勝手に言い出したてしまった。
「ん〜ん。だったら、どんなのがいいかなぁ〜」
「そんなに悩むなら初めからそんなの考えなくてもいいじゃないですか」
「ねぇ? ジン太くんとガイ子ちゃんはどんなのが良いと思う?」
「また、無視ですか」
横で文句を言うヒカリを華麗に無視すると、メリーさんは後ろで立っていたガイコツ達に話しかけた。
って! え? え? ジン太くんにガイ子ちゃん? 何それ、ひょっとして後ろに居る訳のわからない連中の名前!?
「ねぇ、ねぇ。ジン太くんとガイ子ちゃんはひかりんの新しいあだ名は何が良いと思う?」
混乱し続けている私を一人置き去りにして、メリーさんは相変わらず楽しそうに後ろの二人(?)に話しかけている。その横では、やはりヒカリが頭を抱えていた。もう、呆れてものが言えないみたいだった。
メリーさんの問いかけに人の形をしたグロテスクな方が、カクカクとしたぎこちない感じで口を開いた。
「ソウ デス ネ 『ライト』 トカ?」
その口から、やはりぎこちない声が漏れる。何よりしゃべれた事に驚きを隠せないけど、どうも呂律が回っていなくて片言に聞こえてしまう。
「ヒュー、カッコイイ!!」
そう言ってバカにしたようにメリーさんはヒカリを見る。
「じゃ、ひかりん改め、ライト! うん。かっこいいね! ライト、ライト♪ …………そういえば、あれ? おっかし〜な、ライト。後ろに死神はいないの? あっ! そういえばノートがないと駄目だったね。じゃ、今、あたしが見えないだけで後ろにちゃんといるのかな?」
相変わらずメリーさんはニタニタといやらしい笑みを浮かべている。
「あ〜、もう! 何、世間一般で広く知れ渡った名前出してるんですか! 第一、死神が後ろにいるとか言わないで下さいよ!! それ、結構リアルで、まったく笑えませんから!! 不吉にもほどがあります」
そう言いつつ、ヒカリは色々な意味で焦っている。ちなみに、私はヒカリの意見に大賛成。
さっきは勢いに任せてあんな事言ったけど、本当は恐くてしょうがないのよ! 第一、夜の学校に居ること事態有り得ないってのに!!
「カチカチカチ、カッチカチ、カチ?」
突然、何かを打ち鳴らす音が聞こえたこと思うと、メリーさんの後ろに居たガイコツが、メリーさんの方を向いてアゴを上下に打ち鳴らしていた。なにを言っているのかを理解するなんて、はっきり言って不可能に近い。第一、日本語とか英語とか、そういった言語にすらなっていない。
しかし、私はそんな光景を見て不覚にも少し……ほんの少しだけビビッてしまった。
「ぶ! ぶはははは!! ガイ子ちゃん、おっもしろ〜い。それいいね♪」
ガイコツの打ち鳴らす音(もしくは声?)を聞いた途端、メリーさんは腹を抱えて文字通り笑い転げ始めた。驚いた事にちゃんとガイコツ(ガイ子ちゃんとかだっけ?)の言っていた意味を理解する事が出来ているみたいだった。恐るべし。
しかし、それとは別にまったく予期していなかったヒカリもその意味を理解したらしく、顔を真っ赤にさせてメリーさんとガイ子ちゃん? に言い返した。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!! 幾らなんでも、ぴっかりんはないでしょ!!」
うわぁ……。なんかイヤなあだ名。
「将来、頭もあだ名と一緒に、ぴっかりん♪ ぶはははは」
「なにまた、不吉な事言っちゃってくれてるんですか!! 今もこの先も私は問題ありません!!」
「エッ! ヒカリサン ソンナノ タイシタコト アリマセンヨ! ゲンニ ワタシハ モンダイアリマセンシ」
「それはあなただからです!! 元々、あなたには髪の毛なんてないでしょ!!」
「カッチカチ、カチカチカチ?」
「ガイ子さん! なにが『やっぱり、気にしていたんですか?』ですよ!! そう思うんだったら、わざわざ言わないで下さいよ!! 第一、気になってなんかないし心配もしていません!!」
「あはははは!! ぴっかりん、必死だぁ〜。やっぱり、気にしてたんだぁ〜」
「だから、してませんって!! 何度も言ってますが――」
「ねぇ?」
私は、目の前で繰り広げられる不毛な言い争いにいい加減呆れたのと、これまで一人ほっとかれて、黙っているのに疲れたのとで、ヒカリの言葉を無理やり途中で遮る。ちょっと、不機嫌そうな感じになってしまったけど、それは仕方がないことにしておこう。
「いつまで私を置いて、そっちで勝手に話し込んでるの? て言うか、私の存在を忘れてたでしょ」
私がそう言うと、ヒカリはその場で心底驚いたのか、大きな声を上げた。
これで私の事を忘れていたのは決定っと。さてさて、どうしてくれようかしら……
「わわわわ忘れてなんかないですよっ! 全然、オッケーです!」
なにが『オッケー』なのかは、とりあえず置いておくとして。私は左手を腰にを当てると、向こうに居る三人組を右手で指差す。
「で! あれは一体、何?」
そう言って、ジロッ、と睨むとヒカリはあたふたと話し始めた。
「え〜っと、ですね……」
そう言いながら、ヒカリは私たちから見て左側に居るグロテスクな方を手のひらを上にして示す。
「まずは、こちらから見て左に居るのは、じん――」
「あははは、バッカじゃないの?」
突然、笑い声が聞こえたかと思うと、私たちから見て、三人のちょうど真ん中に居るメリーさんと名乗った女の子が私を見ていた。
「気づくしょ、ふ・つ・う」
そう言って、私を馬鹿にしたようにそのメリーさんは笑った。
それを見て、少々ムカッ、とした私はそのメリーさんに若干怒りを含んだ声で言い返した。
「気づくって、何をよ」
「だから、あたしたちの事よ! さっきあたしはメリーさんって名乗ったし、ジン太君とガイ子ちゃんを見たら、普通わかるでしょ?」
そう生意気な口調で言われ、更にムカッとした。
その時、横に居るヒカリが私に語りかけるように話し始めた。
「ほら、左側に居るのが第三理科室に居る人体模型のジン太君で、右側に居るのが第一理科室に居るガイコツの模型のガイ子さんです。それから、真ん中に居る女の子はメリーさんと言いまして、通称、雪ちゃんです」
わっ、分かってたわよ、本当は!! でも、でも、それだと――
「つ、つまりは……今、私たちの目の前にいるこれは、本物のお、お、お化――」
「お化け、ですね」
わぁーー! そんなにあっさり言わないでよ!! ダメダメダメ、本っ当にダメ!!
本物のと認めた途端、体が自然に震えてきた。更には嫌な汗も噴出す。
どうしよう……本当はお化けとか幽霊とか、そう言った類は全然ダメなのに!! でも、ヒカリと一緒に行くといった手前。勿論、出会わないわけがないと思ってたけど、まさかこんなに早く出てくるなんて…………
いっ、いい、真琴? まずは落ち着くのよ! ほら、吸ってー、吐いてー、吸ってー、吐いてー……」
「ど、どうしたんですか? 真琴さん? 突然深呼吸なんかしだしたりして」
余談だが、真琴がお化けやら幽霊やらがダメになったのは、母親である彩花(理事長)のせいだったりする。ちなみに、真琴は雷もダメだったりする。その理由は、雷が鳴り響く豪雨の晩のときは決まって、彩花が家族全員を暗く狭い部屋に集めて、ろうそくを一本だけ灯して、怖い話をしていたからである。しかも、ども話も氷点下を通り越して、絶対零度の恐怖を誇っていたりする。更に恐ろしい事に、彩花が離している間は泣こうが喚こうが気絶しようが口から白い煙りが出てこようがその他どんな事があろうとも続行される。まさに、この行事は白羽一家最大かつ最凶の悪魔の行事なのである。
「あっ、あの〜、本当に大丈夫ですか?」
ヒカリが心配そうな眼差しで私を見る。
正直、心配してくれるのはかなり嬉しいけど状況が状況であるためか素直に喜べない。
て言うか、この目の前にいるいかにもひ弱そうな、一見しただけだと普通に女の子にしか見えないヒカリが、極々普通に目の前のお化け達と会話しているかつ、顔色一つ変えずにしているのを見ると、何故か無性に腹が立ってくる。一体どうしてなのかしら?
なんて言うか、こう…………男のなのに普段は男らしいところなんてこれっぽっちも見せないくせに、こういう時だけ度胸のある男みたいな反応をするんじゃないわよっ! みたいな? いや、違うか。第一、『男みたい』じゃなくて、そうだし。きっと慣れなんだろうなぁ。
「うっ、うん。なんとか大丈夫よ」
そう言って私は何とか顔に笑顔を貼り付ける。手とか色々なところがプルプルと震えているような気がしてるけど、そこはもちろんスルーする。
「あはっ♪ 大丈夫とか言ってるくせに体が震えてるよぉ〜」
目の前にいる三人のお化けの真ん中にいるメリーさんが、ニタニタと腹立たしい顔で私を見る。悔しいが私は反論出来ない。
「そんな事、言っちゃダメですよ! 真琴さんはお化けなんてきっと始めて見たんだろうし、それに見ていたとしてもやっぱり怖いものは怖いと思いますよ! なにより、ついさっきあなた達が真琴さんを怖がらせたばっかりだと言ってたじゃないですか。だったら、幾ら真琴さんといえど怖いに決まっていますよ」
庇ってくれたのは嬉しいんだけど、最後の一言が余計よっ!!
ヒカリが私をフォローしてくれたかいがあってか、メリーさんはその腹立たしいニヤニヤ笑いを止めると、今度は無邪気な笑みを顔一杯に浮かべ、「それもそっか♪ まっ、あたし達に掛かれば当然よねっ!!」と言った。
その瞬間、軽くプチンときた。さっきまでのわざとらしさが感じられず、心底「そう思ってます♪」みたいな感じで言われて、流石に目の前にいるのがお化けだと分かっていても頭にきた。
ヒカリもヒカリで、私の横でまため息をつく。
「でもさ」
そう言いながらメリーさんは私の方へゆっくりと歩いてきた。なにやら不敵な笑みを浮かべて。
「なっ、なによ……」
そう言って思わず私は後ろに後ずさる。
しかし、そんな私にはお構いなしにメリーさんは私の目の前まで来ると、私の左肩に手を置く。
私の方が背が高いため、メリーさんは爪先立ちだった。その姿が何所となく可愛らしい。例えお化けだとしても!!
その状態のままメリーさんは私に、まるでこれから言う事をしっかりと聞きなさい、みたいな感じで話し出した。
「男のくせに、女の子みたいな悲鳴を上げるのはどうかと思うよ。まぁ、このあたし達に怖がらされたら、仕方ないっちゃ仕方ないけどさ」
………………
「「はぁ?!」」
暫しの沈黙の後、ヒカリと見事シンクロした。
今、ちょっと――いえ、かなりおかしな単語と表現がなかった? それとも私の聞き間違い? いやでも、ヒカリも一緒に言ってたから本当にこのメリーさんとかいう娘が言ったの?
「あっ、あの雪ちゃん? 今、なんて言いました?」
隣で私の心中を代弁してくれたかのようにヒカリがメリーさんに尋ねる。
メリーさんは一瞬、キョトン、とした表情を浮かべたが、再度口を開く。
「もぉ〜、ちゃんと聞いててよ。だから、男の子なのに女の子みたいな悲鳴を上げるのは情けないと思うよって、言ったんだよ。まぁ、でも、あたし達に――」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って。今、私の事をなんて言ったの?」
今度は私がメリーさんの話を強引に遮ると、もう一度聞きなおす。
メリーさんは話を途中で遮られ、ポカン、という表情を浮かべたが、すぐに私の問いに答えてくれた。
「えっ! 何って、にぃちゃん、男の子でしょ?」
ブチッ
「お、男の子ですって……」
さっきとは違う意味で手とか色々なところが震えてきた。
「えっ? 違うの?」
そう言うとメリーさんは可愛らしく首をかしげる。その動作は今の私に火をつけるには十分すぎるくらいの威力だった。
「なんで、私が男の子なのよ!!」
私は目の前に居るのがお化けだという事も忘れ、メリーさんに向かって怒鳴る。
「なんでって、見るからにカッコイイ顔してるし、最初の方だって『にぃちゃん』って呼んでも反応しなかったから」
言われてみれば、そう呼ばれていたような気がしないでもない。
「それは気が動転して聞いてなかったからよ!! 第一、第一人称とこのスカート見れば、私が女だってことに気づくでしょ!!」
私が再びそう怒鳴ると、メリーさんは詫びれた様子もなく、寧ろ、驚愕の表情を浮かべた。
「へぇ〜、そうだったんだ。あたしったらてっきり、ヒカリみたいに女装してしているのかと思ってた♪」
「なっ!!」
思わずその場で固まる。開いた口が塞がらない。
「そんな酷い事思ってたんですか? 第一、好き好んでこんな格好しているわけじゃないですよ」
横でヒカリが言い返している。しかし、メリーさんはヒカリの話を無視すると、
「それにしてもなんか信じらんないなぁ〜。まっさか、この人がにぃちゃんじゃなくて、ねぇちゃんだったなんてなぁ〜。へぇ〜んなのぉ」
心底面白そうな顔で私を見てきた。
ブチブチブチッ
遂に私の中の色々な線が切れた。
「い……いい加減にしなさいよ……」
私は一度顔を下に向ける。そして、直ぐに顔を上げると、メリーさんに向かって怒鳴る。幽霊だとかどうとかはもうどうでもいい。
「なんで私があんなバカな男なんかに間違われなくちゃいけないのよ!!」
「だっさぁ〜、顔がカッコいいんだもん。しょうがないじゃん」
その一言に余計に頭がカッとなる。
「ちょ、真琴さん落ち着いてください!」
ヒカリが横から私に話しかける。
「うっさい!! ヒカリは黙ってて!!」
そう乱暴にヒカリに返事を返し、ヒカリを、ギロッ、睨む。
「まぁまぁ、そんなに怒んないでよ。ね?」
そう言いながら、メリーさんは謝る気など全くない感じで私に話しかけてくる。そして、彼女を見るか限り、メリーさんは私のこの状態を楽しんでいるように見える。現に口元に手を当てて、笑いを堪えている。肩がプルプルと震えているのが何よりの証拠だ。なんと腹立たしい。
「貴女こそ、うるさいわね! 第一、貴女なんかに言われたくないわよ! ふん、何がメリーさんで夜の学校のアイドルよ。学校のお化けで一番有名なお化けの女の子は、普通トイレの花子さんでしょ! それに比べたらあなたは知名度の低い脇役じゃない!!」
「あぁ〜、あたしが一番きにしていることをよくも言ったなぁ〜! なによ、どうしてみんなあんなトイレに居る、陰湿でジメジメしたカビの生えてそうな女の方がいいみたいな事言うのよっ!!」
私に最も言われたくない事を言われたせいか、今度はメリーさんが怒り出した。いい気味だわ。
「ふん、陰湿なのは貴女だって一緒じゃない。わざわざ人の携帯に自分の居場所を教えるような電話なんかしてきて。そっちの方がよっぽど陰湿だし、性質が悪いわよ!!」
「なによなによぉ〜! あたしはただ親切に『これからメリーさんがあなたの目の前に現れますよ☆』って教えてあげてるだけじゃない!!」
「だからそれを性質が悪いって言うのよっ!!」
「ちょ、ちょっと二人とも!!」
横でヒカリが何かを言っている気がするけど今はそれど頃ではない。
「あぁ〜、せっかくあたしが親切に教えてあげたってのにぃ〜!! なによ、さっきなんてあんなに悲鳴を上げて今にも泣きそうな顔していたくせに!!」
「あんなの誰だって怖いに決まってるじゃない。そもそも、あんな風に人を怖がらすあなた達が悪いのよっ!!」
「言ったなぁ〜」
そう言いながらメリーさんは床に悔しそうに片足で足踏みする。でも、直ぐにそれを止めると、ピシッ、という音が付くくらいの勢いで私を指差す。
「じゃぁ聞くけどさぁ――――学校のお化けが夜の学校に忍び込んだ学生を怖がらせなくってどうするのよっ!!」
「うっ!!」
これには参った。思わず、私は次の言葉を飲み込んでしまう。それでも、目だけはしっかりとメリーさんを睨む。
「ほっ、ほら、真琴さんも雪ちゃんも落ち着いてください」
ヒカリが必死に私たちを止めようとしている。けれども、私たちはお互いに睨み合ったままその場にじっとしていた。
――その時だった。
「危ないっ!!」
「「えっ!?」」
不意にヒカリから放たれた警告。私とメリーさんの声が見事に重なる。
次の瞬間、ヒカリはそんな私たちを無視したまま、私たちの間に割り込むと、両手を前に何も見えない廊下の向こうがへ突き出した。
『我を護る聖なる光よ その大いなる力を持って彼の者から我を護る盾となれ』
ヒカリはいきなりそう大声で呪文のような言葉を唱えた。
その直後、何も見えなかった廊下の向こう側から白い線のようなものが伸びてきた。
間一髪。ヒカリが前に突き出した両手からまばゆい光が溢れ出てきて、その白い線から私たちをまるで盾のように防いだ。
私は突然の事に目を大きく見開く。
何にも考えられない。ただ、目の前の光景が信じられなかった。
「そこから出てきたらどうです?」
ヒカリが光の盾をと解きながら、白い線が伸びてきた暗闇に向かって、普段は聞く事の出来ない低い声で訊ねる。
暫しの間の後、暗闇から声が聞こえてきた。
「ほぉ、我が糸をいとも容易く防ぐとは。なかなかやるではないか、人の子よ」
そのこんな場所でなければ思わず聞きほれていたに違いない綺麗な声とともに、暗闇から女の人がゆっくりとこちらに向かって歩いてきた。
全身に見たこともないような服を纏い、腰に届いていそうなほどに長い綺麗な漆黒の髪を無造作に下へと垂らしている。また、肌は辺りが暗くてよく見えないはずなのにその白さが確認できるほどその白さが確認できるほど白い。
顔は長く綺麗な眉毛に、若干つりあがった目。瞳の色は黒。筋の通った鼻に、薄い唇。それら他の顔のパーツも合わせた各部分が絶妙な位置にそれぞれあり、何ともいえない美しく妖艶な顔を形作っていた。
そこにはまさに、絶世の美女と呼ぶに相応しい女性が立っていた。
私は思わずその場で大きく息を呑む。姿は確認できないが、メリーさん達も大きく息を呑むんで驚いているのがわかる。
「ふむ。これは驚いた。人の子にしては大層な霊力を持っておる。気に入った。どうじゃ? 我の糧となる気はないか?」
そう言いながら、その女性は、クックックッ、とひとりさも愉快そうに笑う。
「真琴さんたちは少し後ろに下がっていてください」
そう言うが早いか、ヒカリは数歩前に歩き、私たちから距離をとった。
背を向けているため表情を見ることは出来ないが、その小さな体からは只ならぬ雰囲気を放出されている。
「生憎、私にはそんな趣味はありません。…………ここで、あなたを倒します」
私たちから数歩先で立ち止まったヒカリが、暗闇から出てきたあの女性に向けて、低い声でそう力強く宣言した。
すると、その女性はまたもや、クックックッ、と愉快そうに笑った。
「面白い事をいうのぉ、人の子よ。そのちっぽけな力で我を倒すとな。おもしろい。相手になってやろう」
女の人はそう言い返すと、ヒカリを嘲笑うかのように笑った。
「行きます」
それを合図に、ヒカリはその女性の元へ向かって突然走り出した。
ここまで読んでいただき有り難うございます。
やりました! 遂にこの話のある意味では最も重要な人物を出す事に成功しました!!
長かった……本当に長かった(しみじみ)
なにせ、彼女は本来第10話に登場する予定でしたからね!!(と言いましても、最後に無理やり入れた感じになってしまいましたが)
何と酷い事でしょう。自分の文章力のなさを本気で呪いたいです。
まぁ、道のりは長かったですけど、これでやっと次回からこの話の真の本番がスタートする事になります。
え? 今までのはなんだったんだですって?
もちろん、今までも本番ちゃんとした本番でしたよ。
でも、次からが真の本番(←意味わからん)
なんか、今回の後書きはうざったらしくて、本当に申し訳ありません。
ですが、ちょっとテンションが上がってしまっているもので(苦笑)
学年末は終わったし、心配だった赤点も一つもないし、もう半分春休みだし(笑)
ということで、更新の方をしっかりと頑張ります。えぇ、それはもう、今までを取り戻す勢いで。
あ、ですがさっそく次回は少し遅れるかもしれません(いきなり前言を撤回してしまってすみません)
その理由は……長くなりそうなのでまた次回という事で、勘弁してください(土下座)
あっ、それともう一点皆様に謝らなくてはいけないことがありました。
それは『詳しい真琴の説明』です。
実はとあるきっかけまで、真琴の容姿云々を全くと言っていいほど書いていない事に気がつきませんでした。本当に申し訳ないです。
なので、最後にちょろっと書きますね! 勿論、別にいらないと思われましたら、飛ばしてくださって結構です。
それでは改めまして、ここまで読んで下さり有り難うございました。
次回は今までも大してなかったコメディーが完全にない、純戦闘になりそうですが、どうぞ読んでやってください。
【白羽真琴】
年齢:15歳
性別:女性
身長:大体170センチくらい
容姿:彼女を一言で表すなら、少し気の強い美少女。しかし、美少女とは言っても見ようによっては美男子にも見えなくはないような容姿をしている。そのため時折、初めて出会った人には男子だと間違われる事もしばしば。(例:今回の話やヒカリと初めて出逢ったとき^^)
長く綺麗な眉。気の強そうな目。筋の通った鼻に、桜色の薄い唇。髪の色は黒と茶色の間と言ったところ。その髪の長さは、肩に掛かるか掛からないといったぐらい。(ちなみに、地毛)
肌の色は特別白ということはないが、それなりに白い。(外などで運動をしているため。本当は雪のように白い)
ふぅ、こんな感じですかね。その他各部分は皆様の想像にお任せします。それと性格はあんな感じです(笑)
それではまた次回、出来るだけパッパッと仕上げますので、今回はこの辺で失礼します。