第11話 愉快な学校のお化け達
ようやくの更新です。
毎度毎度更新が遅くて申し訳ありません。
最近、更新が遅くてこの物語を読んでくださっている皆様に不快な思いをさせていないかと心配です。
もしもそうであるなら、謝ります。申し訳ありません。
なんか、毎回毎回謝ってばかりでホントみっともないですね。
では、どうぞ!
「ちょっと! これは一体どういう事よ! ちゃんと説明しなさい!」
「わ、わ、分かり、ました、から、とり、あえず、その、手を、離してくだ、さ、い」
私の声がどうやらやっと真琴さんの耳に届いたらしく、真琴さんは「あっ、ごめん」と言いつつ私の胸倉から手を離し、ようやくぶんぶんと私の頭を振り回すのを止めてくれた。
私が真琴さんと“あの子”の衝突を決死の思いで止めてから、数分。私は後頭部をはじめとする数々の激痛が癒えぬまま、今の今まで真琴さんの質問攻め――というより拷問を受けていました。
正直、死ぬかと思いましたよ。いやいや、マジで。
「で? あれは一体何よ!! 安全ってどういう事!?」
そう言って、真琴さんは私達から少し離れたところに居る彼らを指差す。
いつもの強気な態度はどこへやら、今の真琴さんは彼らに完全にビビッてしまっている。げんに、彼らを指差す指もかなり震えているし、声も心なしか震えている気がする。
まぁ、無理も無いか……
私は心の中でそう呟く。
幾らなんでも、あの登場の仕方だと彼らを恐がってしまって当然ですよね……
内心、ため息をつきたくてしょうがないのを、ぐっ、と堪えつつ、少しでも彼女から恐怖心取り除こうと笑顔で話しかける。
「まあまあ、ちゃんと説明しますから、まずは落ち着いて下さい。? ほら、深呼吸です」
そうね、と言ってラジオ体操のときのように大げさな深呼吸を繰り返す真琴さん。
「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー―――」
って、ええぇぇぇぇ!!
そ、それ、ラマーズ法ですよねっ!! 確かに深呼吸と似たような呼吸の仕方をしますけど、真琴さんそれは妊婦さんがご出産される時にする呼吸法ですよ!!
ハッ!! ま、まさかまさか真琴さん………
いやいやいやいや、落ち着け私。そんなはず無い、そんなはず無い。今回は真琴さんもちょっとテンパっているだけだ。
そうだよっ! そんなはずは無い!! そう、です、よ、ね……真琴さん?
「おっ、落ち着きましたか……」
「う、うん。さっきよりは幾らかマシになったわ」
「そっ、そうですか……うん、そうですよね!」
「ヒカリ?」
まっさかね〜。真琴さんに限ってそんな事ありえないですよ。うん。大丈夫だ。
………それにしても、何故、私はこんなにも焦っているんだろう………
しかし、結局その答えは出てこなかった。
その時、私の左頬に暖かな温もりを感じた。
驚いて見てみると、私の目の前に心配そうな顔をした真琴さんがいた。
「ヒカリ、どうしたの? なんか顔色悪いわよ」
左頬の暖かな温もりは、心配そうな表情を浮かべた彼女の右手によるもの。
そうと気がついた途端、顔が一気に熱くなる。
「ななななんでもないです! 全然大丈夫ですよ」
私が慌ててそう言うと、真琴さんは少しだけ眉を顰めた。
しかし、私は焦りのあまりそんな僅かな変化に気がつく事が出来なかった。
「……まっ、いいわ。で? あっちにいる“あれ”は何?」
何かを諦めた様にため息をつくと、真琴さんは彼らの方を指指し私に尋ねてきた。
「は、はい。そうでしたね」
私はそう言うと、ここから少し離れたところで、輪になってなにかをしている彼らの方へ身体を向ける。
見るとどうやら彼らはお互いに何か言い合っているようだ。
その時、ふと、私が彼らのほうへ身体を向けたせいなのか、彼らの会話が聞こえてきた。
「うぅ〜。まだ頭がズキズキするよぉ〜」
「ダイ、ジョウ、ブ」
「カタカタ、カタッカン」
この会話から推測すると、どうやら前回真琴さんのカカト落としを受けた“あの子”を他の二人が心配して声をかけているみたいだった。
ただ……これはおそらく言ってはいけない事なんだろうけど………
と、私は彼らの方を見ながら一人心の中でそっと呟いた。
内蔵が丸見えの“彼”と人の骨格だけの“彼女”が心配そうな顔(私の勝手な解釈)で、雪のように真っ白な長髪の女の子に声をかけているというこの構図は―――
―――なんと言いますか、ものすっごく不気味です。
と言うかこれはもはや変です。だってだって、女の子にガイコツに内蔵オープンですよ!? 想像出来ますか!?
そ・れ・に、ですよ!! 内臓オープンがしゃがみこんで下から女の子を心配そうな眼差しで見詰めていて、その上ガイコツが女の子の頭に出来た特大のたんこぶを擦っているんですよ!? これを不気味と呼ばずに何と呼ぶんですか!
………て言うか、内臓オープンって……なんかのサービスでしょうか?
『ほら、今日は特別に内臓全部見せちゃうぞ♪』みたいな? 出血大サービスのノリで。
………………
怖ッ!! て言うか、キモッ!! 一瞬でも想像してしまった私がバカでした。ホントなんですか、真面目に気持ち悪いですよ! それからいい加減、“彼”の名前を出してあげようよ!
そんな事を思いつつ、彼らの元へと行こうと私は歩き出そう―――として失敗した。他でもない真琴さんの手によって。
「ちょ、ちょっと! どこに行くつもりよ!?」
そう言って私の腕を持つ真琴さん。その時、腕に柔らかい感触感じ思わず、ドキッ、としてしまった。そして、脳裏にも前回の映像と感触が蘇ってきた。
顔をはじめとする体中が熱くなる。それに加えて心臓の鼓動も早くなる。
私も一応男なんで……
私は出来る限りの平静を保ちつつ、真琴さんに問いかける。
「ど、どこにって、そんなの彼らのところに決まってるじゃないですか」
「絶ッッッ対イヤ!! あんなお化けみたいなのがいるところになんて絶対イヤよ!!」
あの……あれは紛れも無くお化けですよ、真琴さん?
「え? でも、さっきあの人たちの事を説明しろとかなんとか言っていませんでしたっけ?」
「言ったわよ! でも、わざわざ向こうに行く必要無いじゃない!!」
「で、でも――」
「い・い・か・ら、ここで“あれ”の事を教えて!!」
「………りょ、了解しましたです、はい」
こ、怖いです! 恐ろしいです! まさに鬼です! 口が裂けても言えませんが………
「えっと、あの人達はですね――」
「ちょっと待ったぁぁぁ!!」
私が彼らの事を説明しようとしたら、突然、真琴さんでもましてや私でもない、甲高い声が私の話しを途中で強制的に遮る。
その声に驚き、声のした方を見やると前回真琴さんのカカト落としを食らって、特大のたんこぶを作ってしまった女の子が怒ったように腰に手を当てて私達を見ていた。
それに気づいた真琴さんは小さく「ヒッ!」と悲鳴を上げると、すぐさま私の背後に逃げ込んでしまった。
何もそこまで怖がらなくたって……
「どうしてあたし達に断り無く、あたし達の事をその暴力野郎に教えようとしてるの?」
そう言いながら、後ろの二人を引き連れて私の前まで来て、私を睨み上げる女の子。
身長は大体150センチより少し大きいくらい。腰まで伸びた雪のような真っ白な髪の毛を括るでもなく、無造作に靡かせている。また、肌も髪と同様で雪を思い出させるほど白い。そして、最も目を引くのが、彼女の目だ。
まるで新緑思わせる碧の瞳。小さな顔には大きすぎるんじゃないかと思えるほどの、とても大きなバッチリとした目。かといって、まったくそれが不自然に見えず、寧ろそれがごく自然でぴったりと言える。
まさに絵に描いたような西洋人形を思い出させる、真琴さんにも負けず劣らずの美少女だった。
「ひかりん、知ってる? お化けにもちゃんとプライバシーってもんがあるんだよ?」
そう言いながら、尚も睨み上げてくる女の子。
そして、あんな事を言われれば当然、勝手に彼らの名前を出すわけにはいかなくなってしまった。
未だ真琴さんは彼らの方を見向きもせず、私の服を握り締めている。
一体私はどうすればいいのですか?
「ご、ごめんなさい。でも、こちらの真琴さんがあなた方の事をどうしても知りたいと言っていたので」
「どうしてもなんて、一言も言ってない!!」
後ろで私にしがみ付いている真琴さんが大きな声で反論してきた。
“あの子”は一瞬、キョトンとした表情を浮かべたが、直ぐに「ふ〜ん」とか呟きながら、私の後ろに隠れている真琴さんの顔を見ようと、横から後ろにいる真琴さんの方へ顔を覗かせる。
それに気づいた真琴さんは、一瞬だけ“あの子”と顔を合わせると、直ぐに“あの子”から離れようと、当然私の服を掴みながら身体を引く。
同時に私も激しく振り回される事になってしまったが、“あの子”はそんな私たちには目もくれず、両手を、ポン、と合わせるとまるで面白いものを見ているときのように楽しそうに話し始めた。
「あっ! 道理で似たような顔をしている人を恐がらせているなぁ〜、と思ってたらさっき恐がらせた人と同じ人じゃん♪」
そう言うとキャッキャッと喜んで、後ろにいる二人に声をかける。
「は?」
え? さっきも恐がらせたって? 何、どういう事?
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜」
と、困惑したような表情を私がしている事に“あの子”が気づき、満面の笑みを浮かべて、まるで今日学校であった事を母親に楽しそうに話し始める小学生みたいに私に話しかけてきた。
「ついさっきも、この女の人を恐がらせたんだよ!! も〜、すっごく面白かったんだよっ!! それにね、聞いてよひかりん! 最後はとぉ〜ても大きな声で『キャァァァァアアア』て叫んだんだよっ!!」
あの悲鳴は貴方たちの仕業かぁぁぁぁあああ!!
私に楽しそうに言った後、“あの子”はその時の事を思い出したようで、更に愉快そうに笑い出した。
まったく、この子は………
私は思わず右手で顔を覆うとため息をついた。
「まっ、いっか!」
一頻り笑った後、“あの子”は自分の胸を指差し、高らかに宣言した。
「あたしの名前は、メリーさん。夜の学校の、みんなのアイドルだよ♪」
ここまで読んで下さり有り難うございます!!
ちょっと前回があまりにも自己満足みたいな形になってしまったと思ったので、今回はそんな事がないように心掛けました。が、本当に自己満足みたいになっていないかどうか心配です。あんまり自信がないので(苦笑)
それに、今回はタイトルがあれなのに、肝心のお化け達があまり活躍しませんでしたね(汗)
ですが、ようやく役者も揃ってきたので、この話も段々と賑やかになっていきますよ。まだ、全員出てきた訳じゃありませんが……
それはそうと大変な事が二つ。
一つ目。肝心のキャラがただの一度も出ていない事。
なんと、この物語はタイトルに『妖魔封印』と書いているにもかかわらず、肝心の妖魔が全然出てきていないんですよ!!(文章として出てきていても、本体は一度も出てきていないんですよね)
マズイです。これじゃ、この話が成り立たん!!
一応、次回にちょろと出てくる予定にはなっているのですが………どうなるんでしょう(汗)
二つ目。また更新が著しく遅くなる事。
これは僕の学校がもうじき学年末試験に突入するからです。只でさえ遅くて、皆様にご迷惑をお掛けしているのに………
でも、きっと現実逃避も兼ねて、少なからずあと一話はテスト期間中に更新すると思います。気長にお待ち下さると幸いです。
なんだか、今回の後書きはいつも以上にまとまりのない上に、無駄に長くなってしまいましたね。
それでは改めまして、ここまで読んで下さり有り難うございました。
また、無駄に長々と申し訳ありませんでした。
次回も例のごと遅くなるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。