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第1話 私は……私は……


この小説を開いてくださり、誠にありがとうございます。灯月公夜と申すものです。


一応、皆様が開いてくださった今作が、僕の処女作となります。

なので、少々どころかかなり至らないところがあるかと思います。

特にはじめのほうは、それが目にかけて酷いところがございます。後半に行けば行くほど、その点は改善されていると思うのですが、残念ながら現段階ではまだ最初の方は直しきれていません。

ちょくちょくと直しつつ、のろまな亀ながらも最後まで執筆していきます。

時々重い話もあるかと思いますが、それでも僕の持てる限りで頑張りたいと思います。


どうか、このひと時が楽しいものでありますように……

「まいたなぁ〜」

 そう静かに私は思わず溜息を零してしまった。

 只今の時刻は午前零時を少し回ったところ。

 そんなとても遅い時間帯に私は今年入学したばかりの高校の校門の前に立っています。

――袴姿で……

――それも、神社の巫女さんが着る赤い袴で……

 もちろん、こんな時間にこんな犯罪の匂いのする変態衣装を着ているのもそれなりのワケが有るわけで。

 それというのも、私の家は由緒ある有名な神社で、昔から妖怪や物の怪の類といった霊的悪霊の退治、人や土地に取り付いてしまった霊の供養、浄霊を生業として来ました。

 そのため私達一族は人の倍以上に鋭い霊感と霊力を生まれながらにして身に付けています。それが原因なのか、祖先の誰かが禁忌を犯したのか理由は定かでは無いですけど、私達一族には昔からある“呪い”がかけられています。


 一族全員例外なく……


 もちろん、私自身も小さい頃から霊や妖怪の類は日常的に見えていましたし、何度も浄霊や退治をしたこともあります。

 それから当然のごとく私も一族からの“呪い”を受けています。たぶん、ですけど。

 それはつまり、私の場合はその“呪い”が一族の中で唯一例外な『不確か』だという事です。そして、だからこそ私は“忌み子”と幼少より呼ばれているわけなんですが。

 まぁ、その原因が私の霊力が強すぎるのせいなのか(母上曰わく、『霊力』だけならば私は歴代でもトップクラスだとか)、呪いが解けたのかは理由はわかりませんけど、とにかく私は小さい頃から“忌み子”と言われ、母上を除く一族のほぼ全員から奇異の目で見られて来ました。今はそんもの慣れてしまいましたけどね。

 更に、家に幾つかあるしきたりのせいで散々笑われたり、バカにされたり、恥ずかしい思いをしたりして来ました。

 さて、コホン、え〜これで私が、何故こんな遅い時間に学校の校門前にいるのか判ってもらえたかと思います。

 つまり、私の通っている高校に出る、人に害をなす霊の退治、いわゆる悪霊退治を依頼された訳なんですよ!

 現在最強と言われる『あの』理事長さまに……



◆◆◆◆◆



『ピン、ポン、パン、ポ〜ン、は〜い生徒の呼び出しをしま〜す。1年C組の神寺光く〜ん。直ぐに理事長室まで来てくださ〜い。至急頼みたいことがありま〜すっ!』


 その日、私は午前中の授業が終わって、これから昼休みになるときに、突然放送で呼び出された。

 そのため、私は何事かと訝しみつつ、内心では相当焦りながら急いで理事長室まで駆けて行った。


 私が通っているの高校は、私立白羽しらばね学院といいます。この学院は、かの世界的にも有名な超巨大コングロマリット、白羽グループが管理・運営を行っており、その多大なる財力によって10年ほど前に設立されました。白羽学院は、創立して間もないにもかかわらず、その学力・スポーツ・就職率などどれを取っても日本の頂点に君臨していて、今やその知名度は日本のみならず世界中に名を轟かすまでに至っています。

 更に、この白羽学院を管理・運営している白羽グループもまた、世界中にその名を知らない者はいないとまで言われ、その影響力は今や日本と肩を並べられるとまで言われています。現に白羽グループの財力は日本の国家予算と同額かそれ以上と言われ、ITなどの電気製品をはじめとした鉄道などの交通機関、家具や食品といった日々の生活において必要不可欠なもの、デパート、不動産、マルチメディアに海運業、全ての産業、更には政界にも強力無比な影響力を持っています。ハッキリ言って、日本人の約40パーセントの生活は白羽グループによって支えられ、生かされていると言っても全く過言ではありません。

 そんな世界に名だ駆る白羽グループが管理・運営をしているここ、私立白羽学院。

 当然ながらこの学院の最高権力者である理事長も白羽グループがやっているのですが、なんとその任に就いているのが、現当主の息子の妻である白羽彩花しらばねあやかさんご本人だそうなんです!



 今私は理事長室の扉の前にたどり着いたのはいいのだけれど、そこで立ち往生してした。理事長室の堅く、重量感のある、見るからに高そうな扉の前で遂には行ったり来たりとせわしなく動いてみたりする。

 理由は簡単!

なんてたって、天下の白羽グループの次期総裁の奥様が、何の前触れもなく突然私のことを名指しで呼んだのだ。

 当然ながら頭の中で廻っているのは、ここ最近の私の行動。

 だって、天下の白羽グループの奥様が直々に、しかも名指しで呼んだんだよ!

 何か私がイケないことでもしたに違いないじゃないですか!

 あ〜、どうしようどうしよう、どうしようーー!!

 で、でも! 私、何も悪いことしてないし、至って普通の生徒のようにしていたばず。

 ……もしかして、あの事がバレちゃったのかな? いやいや、ちゃんと許可は取ったはず!

 だとすると、何か私は凄いことをしたのでしょうか? 例えば、入学前の宿題で描いた絵が全国高校コンクールで金賞を受賞したとか、能力を認められて将来は白羽グループで働かないかとか……

 いや、絶対ない!! そんな事は現実的に考えて絶っ対にありえませんっ!!

 なら、どうして私は呼ばれたんでしょうか?

 あーー、どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう…………どなたでも構いませんっ! 神様仏様天照大神様、どなたか私を助けてください!!

 なんて、ひとり扉の前で悶々と頭を抱えていると、不意に、ガチャ、という音とともに目の前の扉が開かれた。

 思わず私はその場に凍り付いて身動きがとれなくなってしまう。

 しかし、扉の中から出てきたのは、ぱっと見、中学一年生にも、ヘタをすれば小学生にも見える幼そうな少女だった。

 と言うより小学生じゃないですか、これは!!

 身長は、私がおよそ160前半で、その私よりも二周りほど小さいから140前半と言ったところだろう。

 顔は見事なまでに整っていて、見るからにして幼女に見える童顔だった。髪は、背中あたりまで伸びている髪を後ろで一本に束ねている私と違い、ストレートなセミロング。それがなた、妙に大人っぽい印象を与えるのだが、この幼顔にも関わらずまったくと言っていいほど違和感を感じられなかった。むしろ、それが当たり前といった印象を受ける。そして、思わず抱き締めたくなる程に、かわいらしい。

 そうやって扉から出て来た少女を観察しながら、私はまだショックが抜けず固まったままだった。

 そんな私を見て、その少女はにっこりと微笑んだ。

 うわぁ、バックに花が咲いてます!

 私がその少女に見とれていると、彼女は微笑んだ表情のまま私に声をかけてきた。


「こんにちは。あなたがヒカリ君ね!」


 あぁ、声もとってもかわいらしい。このまま聴いていたい……じゃなくて!


「あっ、はい! そうです」

「やっぱりー! どうぞ。中に入って」


 そう言って目の前の少女は扉を更に大きく広げて脇によけた。


「は、はい。あの……失礼します」


 私は言われたとおりその少女の隣を通り扉の中に入ってまたもや驚き、思わず立ち止まってしまった。

 扉の中はとても広く、高級そうな年代物がズラリと広がっていた。しかし、それでいてどれもとても質素で落ち着いた空間が私の目の前に広がる。

 中でも特に目を引いたのが、入って目の前にある大きな理事長の机だった。なんだか見ているだけでその雄々しいオーラに呑まれて仕舞いそうになってしまう。


「……凄い」

「うふふ、ありがとう」


 いつの間にか立ち止まっている私の隣にあの少女が立っていた。

 ここで私は今まで疑問に思っていたことをその少女に尋ねてみることにする。


「あの、ところで理事長はどちらにいらっしゃるのですか?」


 そう、それだ! 一体私を呼ばれた理事長はどこに行かれたのだろう?

 まさかとは思うが、私が余りにも遅かったから怒ってどこに行ってしまったのではないだろうか……

 だったら非常にマズイ! 15歳にして人生最大のピンチ!


「あらあら。じゃあ、今、あなたの目の前にいるのは誰かしら?」


 はぃ……?


「じ、じゃ、あなたはもしかして……」


 まさか……だってどう見ても小学生女子にしか見え――


「うふふ、正解♪」


 ――ないですよ、ってマジですか!!


「え、や、いくら何でも違いますよね! だって、こんなに若くて、可愛らしくて、どう見たったて小学生女子のあなたが―――」


 しまった! 気が動転して、つい本音が……


 ドゴォォォオオオオン!!


「――った!」

「もう! オマセさんね!」


 そう言いつつも、その少女きゃっきゃと手を頬に当てて身をくねらせ始めた。

 や、今更顔を真っ赤にして頬に手を当てながら言われたって、私の頭を殴る瞬間の目がマジでしたって!!

それにわざわざジャンプしながら思い切り殴りましたよね!!


「あれ? ヒカリ君大丈夫? なんか頭から煙が上がってるよ?」


 それは今し方、あなたに頭が膝にぶつかるくらいに思い切り殴られたからです!! ……とは流石に……


「はい、大丈夫ですよ……頭が割れそうなほど痛くて熱いですが、何とも無いですよ」

「良かった♪ 大丈夫そうで」


 くっ、よくも私の精一杯の皮肉をいともたやすく……、と思ったのもつかの間。目の前にいる少女の綺麗な笑顔から、一瞬得体の知れない寒気を私は感じ取った。はっきり言って、普通の一般人が出せる領域ではないとさえ、思わずにはいられないほどの。しかし、それはそれこそ一瞬の事で、次の瞬間には綺麗さっぱり消えていた。

 き、気のせいですよね? そ、そうですよね?

 不覚にも少し怖気づいてしまった私は、そう心の中で冷や汗をかいた。


「それじゃ、そろそろ立ち話もなんだし、あそこの椅子に座ってくれる?」


 そう言って、彩花あやかさんは理事長の大きな机の前に用意してある椅子を指差した。


「分かりました」


 反対側で彩花さんもいかにも高級そうな椅子に静かに腰掛けた。

 うわぁ。流石は天下の白羽グループの次期総裁の妻が座る椅子だ。見るかに豪勢で座り心地の良さそうな椅子からは、威厳のようなものを感じずにはいられない。そこに深く腰掛けた彩花さんは、正直言って体格からして似合ってないと言わざるを得ないと思います。むしろ、ちっちゃな子が、おっきな椅子に足をぶらつかせながら座るさまは、すこぶる和むものがある。

 それを思いつつも、いいなぁ、と私は心中で呟いた。本音をいうと、一度で良いからあんな椅子に座ってみたいものです。

 などと私が考えていると、花を後ろで満開に咲かせながら、笑顔の彩花さんが口を開いた。


「因みに、この椅子をあなた“ごとき”に指一本触れさせはしないわよ」


 その言葉に固まる私を他所に、それから彩花さんはまた、にこっ、とほんわかとした天使を思わせる満面の笑みを浮かべた。

 って可愛い笑顔見せられても! と私は思わずにはいられなかった。

 というより、彩子さん何気に酷くないです! 確かに少し違うけど一般市民である私には到底手に入れることの出来ない高級な物なんだろうけど、触るぐらいしたって――


「因みにの因みにこの椅子、九千万だから♪」


 ――スミマセン! 私にはとてもじゃないけど、触れることの出来ない代物です――ていうか、何さっきからこの人私の心読んでいるんでうか!! もしや、この人。いわゆる、エスパーとか呼ばれる人なのでしょうか?


「残念ながら、私はエスパーでも何でもないわよ」


 凄い。またこの人、人の心読んでるし……って、え? エスパーじゃないの? じゃ―――


「じゃどうして私の心が読めるんですか?」

「決まっているじゃない。読心術よ読心術。きみの考えなんて、すべてお見通しなのよ」


 そう彩花さんは嬉しそうに暴露してくださると、またにっこりと微笑んでくれた。

 うわぁ、怖っ!! 何が怖いってあなたのそのキュートな笑顔の裏が物凄く恐いのですが。わかりました。彩花さんが、いわゆる『腹黒』なんですね。今の一言で、おなかの中が真っ黒な気がしましたもの。典型的な綺麗な花には毒があるという奴ですね。小学生女子みたいな姿なのに、恐ろしいったらありゃしません。人は見かけによりませんね。


「ヒ・カ・リく〜ん? 教えなかったかな? 私、きみの考えている事が“全部”お見通しだって。もう、筒抜けも筒抜け。ばっちりよ?」


 笑顔は決して崩れない。

 けれど、後ろに悪魔が眼光をぎらつかせて私を睨んでいます!!

 寒い寒い寒い寒い寒い寒い! なんですか、この殺気を含んだ恐ろしい威圧感は!! と、とにかくこれはもう全力で謝らなければ――


「スミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセン!! 私ごときが大それた事申し上げました!! 本当に本当に申し訳ありません!! どうかお許し下さ―――」


「やだなぁ〜、そんなに謝らなくても許してあげるよ!」


 よ、良かった……


「あ、ありがとうござ――」

「た・だ・し、次はないからね♪」


 机の上に置いた両手に顎を乗せた彩花さんが極上の微笑を浮かべている。


「は、はい……了解しました……」


 私はこの瞬間、絶対にこの人の敵に成るまいと誓った。


「そんな事より――」


 私がこの人の恐さを感じ、二度と逆らうまいと思っていると、突然彩花さんが私に話しかけてきた。


「ヒカリ君もそんな格好で大変ね」

「えぇ。まぁ、慣れっこですし……それにもう諦めてますから……」


 もちろん彩花さんの言っている『そんな格好』とは、今私が着ている制服の事です。

 別にどこの学校でも大して変わらない女子が着るスカートを着用しているのですが、一つ問題があるんです。

 そう……私がこれを着るにあたってとても大きな大きな問題が……

 ひょっとしたらこれまでの会話で気がついた方もおられるのでは無いでしょうか?

 その問題とは――


 ――――私が、“男”だと言うことです。


 そう! 私は正真正銘男なんです!!

 例え、街を歩けば、道行くすれ違う男共の10人中9人がまず確実に振り向いてこようとも! 今までにナンパされた数が軽く二桁代だとしても!

 私は正真正銘の男なんだーーーー!!

 ゼェ、ゼェ、一応言っておきますが私に女装癖は無い!! 断じてありません!! 女子生徒の制服を着ている時点でアウトとか、まったく聞こえません!! 聞こえないったら聞こえません!! ちなみに、あっちの“気”もありません!! 全身全霊で否定します!!

 じゃ、どうしてこんな服を着ているかって?

 名誉ある御家のしきたりだからです……

 すると、ある疑問が出てきますね?

『一体何故、そんなおかしなしきたりがあるのか』と……

 別に、女物を着なければならない、っていうしきたりなんて本当は無いんですよ。

 ただ、皆さんは覚えて頂けているでしょうか? 私には遠い先祖から続く“呪い”があることを……

 その呪いの名は『女爾生呪』

 つまり、私の家には女性“だけ”しか生まれないんです。

 でも、産まれてきた後継者である私は男の子でした。

 そのため、当時は一族総出の物凄い騒ぎになったそうです。

 なにしろ何百年ぶりの男。

 当然のごとく呪いが解けたと喜ぶ者(しかし実際、私はこんな顔立ちや女の子みたいな体つきだから、一応呪いは受け継いでいるのであろうと思われます)もいれば、なんの前触れもなく産まれてきた私を忌み子だとして悪く言う者もいました。

 そのため、私に対する陰口やあからさまな嫌がらせを受けたことも多々有りました。加えて、私の大叔母様が私を『男などとは認めん!!』とかなんとか言って、これまで全ての一族の女性が行ってきた事をしきたりとほぼ独断で決めてしまったそうです。

 お陰様で私は今こんな有様ですし……

 それに――と私は過去を振り返る。



 小学生の時。


「うげぇ!! 気持ち悪ぃ!!」

「なにお前、女みたいな格好してんだ?へーんたーい」

「イヤーい、イヤーい!! おとこ女、おとこ女」

「違うよ! それじゃ、男みたいな女になるじゃん! コイツの場合はおんな男だよ!!」

「「「そっか」」」

「「「「イヤーい、イヤーい、ヒカリのおんな男!!」」」



 中学生の時。


「うわぁ!! コイツ男のくせにスカート履いてるぜ!!」

「えぇ〜、キモ〜い!! ちょっと、こっちに近ずかないでよ!!」

「わぁ〜、可愛いでちゅね〜、女装好きのボクチャン!!」

「ねぇ、ねぇ、キミかわいいねぇ〜。名前、何て〜の?」

「止めとけ、止めとけ。コイツ、男だぜ!!」

「えっ、あっ!! そうだった。ごめんね〜、光チャン!!」

「「ギャハハハ!!」」



 以上、その他諸々。

 これが私の小・中学生の頃の生活の片鱗です。

 ハァ。もうため息と涙しか出てきませんよ。

 でも、よく頑張った私!! よくぞグレずに今日まで生きて来た!! エラいぞ、私!! 我ながら抱き締めてやりたいぞ、私!!

 ――と、自分自身を励ましてみるも、なにやら無性に空しくなり、私は先程よりも更に深く思いため息をついた。

 そもそも、どうして私がこんな常識はずれなことが出来るのかと言うと、御家の関係も少しありますが、目の前にいる白羽学院理事長である彩花さんがコレを許可したからです。

 この学校は主に理事長である彩花さんの独断と気まぐれで管理されていて、行事ごとなんかその殆どがそれで、ついこの間なんか、新入生を記念して『白羽学院。全校生徒一斉ダンスパーティー』などといったダンスパーティーが夜中の12時頃まで開かれる、と言うことがありました。

 なんと言いますか。この学校は『理事長がこの学校の全てのルール』みたいな感じです。

 時々、『良いのかコレ?』と思うときもありましたが、最近では『これはこれで面白いかも!』と思うようになって来ました。


「それじゃ、そろそろ本題に入りましょうか」

「はっ、はい!!」


 私がこれまでの人生を振り返って独り静かに涙していると、さっきまでとは打って変わって真剣な表情になった彩花さんが同じく真剣な声色で話し始めた。


「ヒカリ君。最近ウチの生徒達や先生が“事件”に巻き込まれ“原因不明の病”に掛かって学校を休んでいることは知っているかしら?」

「……はい。あの何人もの人達が謎の糸に巻き付かれ、衰弱仕切って発見された事ですね」


 私が確認のため尋ねると、彩花さんはゆっくりと頷いた。

 もちろん私はその事は知っている。

 数日前、ある警備員が体中に白くてネバネバした糸のような物に巻き付かれた状態で見つかった。彼は学校の夜の警備を行っていたそうだ。彼に目立った外傷は無く、無傷同然であったが、顔は血の気を失い死人のように青白く、体の至る所を震わせ仕切りに『……真っ赤な目が……真っ赤な目が来る……』と呟いていた。誰の目から見ても彼は衰弱しきり、今にも死にそうだったそうだ。

 原因は不明。

 どんな調査も検査もその原因を見つけることは出来なかった。

 警備員が見つかった次の日、また新たな犠牲者が見つかった。今度は三年生の女子生徒だった。彼女は夜、忘れ物を取りに学校に戻り、それっきり何時になっても戻らなかったため、心配した彼女の両親が学校に電話しその時発見されたそうだ。彼女もまた、全身に糸のような物が巻きつき、警備員と同じように衰弱仕切っていた。

 そして、それから今日までに毎日のように次々と新たな犠牲者が出ている。


「こっちとしても、以前よりも警備を強化しているだけど全く持って効果がないみたいだし、逆にその警備に当たっている警備員さん達が“原因不明の病”に掛かってしまう始末。加えてその時被害者がどういう目に合い、何をされたのかもその病についても全くもって分からずじまい。……で、ひょっとしたらと思ってあなたに頼もうと思ったの」

「……つまり、私にこの出来事の真相を見つけ、この事件のの根源であろうその正体を突き止めて、場合によっては“退治”しろ、ということですね?」

「そう言うこと。お願い出来るかしら」


 ここまで話を聞く前に、それを頼まれると思いましたよ。でも、もう私の心は決まっている。


「分かりました。今夜中にでも調べてみます」

「ごめんなさいね。無理なことを頼んでしまって」

「いえ、気にしないで下さい。私も前々から気になっていたので、彩花さんに頼まれなくても近々勝手にしていたと思います」

「そう。……それなら、お願いするわ。くれぐれも危ないマネはしないでね」

「はい。ありがとうございます。……それでは失礼します」


 私は椅子を立ち、彩花さんに軽く礼をした後、ドアのほうへ体を向ける。


「ええ、時間を取らせてしまって、ごめんなさいね」

「いえ、そんな。……では、明日改めて連絡に参ります」

「そうね。そうして貰えると助かるわ」

「はい。では、失礼します」


 私は入ってきたドアのところへ歩いていた。

 ドアの取っ手を掴み開けようとして私はあることに気がつき、後ろいる彩花さん尋ねることにした。


「ところで、彩花さんはどうして私がそういうことが出来ると知っていたのですか?」


 すると、満面の笑顔をしながら、右手の人差し指を立てて左右に振りながら、


「チッ、チッ、チッ。白羽グループ情報網を舐めて貰っちゃ困るわね」


 そして、今度こそ今まで以上の微笑を称えつつ答えてくれ。

 そんな彩花さんを見て、私は背筋に何かとてつもなく嫌な寒気を感じつつも、失礼します、と一言言って理事長室を後にした。



◆◆◆◆◆



 それから、今に至る。

 なんだか我ながら、長い回想でしたね。


「よし! 何はともあれ、頼まれたからには頑張らなくっちゃ!!」


 私は頬を2、3回叩いた後、決意を新たに校門を開けて夜の闇にすっかり溶けきった校舎へ向かって歩き始めた。



 その先に、何が待っているかは知らずに……



ここまで目を通してくださり、ありがとうございました!!


既に修正する前の話を読まれたことがある皆さまに気に入って貰えるよう頑張ってちょくちょくと治して行こうと思います。


また、初めてこれを読んでくださった皆さま。

本当にありがとうございます。更新ははっきり言って亀やカタツムリ並みに遅いです。下手をすれば、軽く一ヶ月ほど放置してしまうようなほど、僕は書くのが遅いです。それでも、僕は僕なりに全力でこれを書ききろうと思っています。もしも気に入ってくださったのならば、完結までお付き合いしていたあけると、大変ありがたいです。どうぞ、よろしくお願いいたします。


感想・評価などなどは、随時募集しています。ほんの一言でもいいので、皆さまの感想をメッセージのほうなどに送っていただけると、ものすっごく嬉しいです。本音を暴露しますと、楽しみで楽しみでしかたありません(笑)


これから幾つか話を直して行きますが、前書きと後書きは書き換えるつもりはありません。ご了承ください。


それでは、ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました!!

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