コックリさん狩りしませんか?
「何でこんな事するだって?」
お面の少女は、今までの子供みたいな声は、嘘だったのか、低くかすれた声で俺に答える。
「お前たちが約束を破ったからだ」
「約束?」
「お前たちは6年前、私を呼んだくせに――手を放した」
「な……。そんな事で?」
そんな些細なルールの為に、雪は殺されたのか?
俊介は自分の命を賭けたのか?
賢人は俺を守ったのか……。
「ふざ……けんなよ!」
俺は少女の胸倉を掴もうとするが触ることが出来ずに、伸ばした手は空を切って、派手に転んでしまう。
「返せよ……」
俺の友人を返してくれ。
「お前が悪い」
あの時――手を放したのは俺だった。
「だからって、何もここまでしなくても――俺だけ悪いなら、俺だけ」
「あの場所にいた。それが罪だ」
「んな訳あるか! こんな下らないゲームに巻き込んで……!」
「どうせ殺すなら、希望と絶望に満ちた顔が見たかった」
お面の少女曰く。
自身が消えないためには人の魂を喰らわなければいけない。
希望と絶望の心を食わねばならない。
その為に少女は色々と試したと言う。
ある時、こっくりさんをやっていた少女をいきなり殺した。
ある時は人間に憑りついて殺し合いさせた。
だけど――このやり方が一番美味い魂を喰らえるとの事だった。
「じゃあ、最初に拓海を殺したのは……?」
「あれは不味かったよ」
食事はメインだけ食べるなと子供のころから言われては来たが、そんな理由で人を殺すのか。
俺はもうどうでも良くなった。
「だが、最後にこれだけ聞かせてくれ――何で俺達だったんだ?」
ルールを破る人間は多いはずだ。その中で何で俺達は選ばれたのか、その理由が知りたかった。
「たまたま」
「は?」
「たまたまだよ」
だろうな。
俺は怒りもしなかった――そんな事だろうとは思っていたからだ。
「殺せ」
「あなたは無事にクリアーした」
命を諦めた俺に少女は言った。
「俺一人……助かりたくねえよ」
「誰が助けるって言った?」
お面を外した少女。
彼女の姿は継ぎ接ぎで、剥いで着けた――大勢の人間がいた。
誰の目だろう。
彼女の顔に目は二つじゃなかった。
誰の耳だろう。
彼女は手にも耳が憑いてた。
誰の鼻だろう。
彼女の指は鼻だった。
誰の口だろう。
彼女の鈍く鋭いその口で――がぶりと俺の首元に噛みついた。
それから6年。
自分にとって小さなことが、相手にとって大きいかもしれない。だから、気安くやっては行けなかったんだ。
俺は今もそう思う。
俺はコックリさん。
右手に狐、顔に狗、左手に狸の面を付けた俺は――4人の少女にこう言った。
『コックリさん狩りしませんか?』




