騎士の戦争2
『何で来たんだ』
『出撃したいと言う要望を止められませんでした、叱責は後で受ける次第です』
マップに援軍が現れる、それは奇襲作戦に参加しなかった部隊であり学生や負傷兵の集団である。それは戦場で見えた輝かしい光景ではあるが、それだけだ。その部隊に対し、敵の動きのいい部隊が接近していく。
『まだつかないのか』
『後30分もあるっすよ』
『キャノンに積み替えて、そしたら少し早く援護できる』
『それだと』
『私ならなしでも行ける』
『お姉ちゃん』
『ここで諦めるわけにはいかない』
『了解キャノンに積み替えます、ついでに射撃可能点を算出』
ロワさんの装備が切り替わっていくのだが。
「生身で降下って可能なんですか」
『慣れれば』
『やめた方がいいっすよ、タイミングミスれば衝撃で死ねるっす』
『算出完了残り17分30秒に変更』
10分ほど縮まる。
『ですが味方の消耗率が』
モニターの味方の表示が消えていく、殺られているのだ。
『どうしたのかね女王よ、あなたの騎士団はそろそろ限界のようだね』
『このままでは後7分ほどで全滅します』
『妾は逃げるつもりはない、つもりはないのじゃが切りたくない札を切らないといけないのじゃ』
そう言うと映像が途切れる。
『逃げたか、まぁこんな状況でも切りたくない札なんて持っているのかね』
『後15分っす』
『消耗率拡大、全滅予想まで後5分』
『くそっ』
『そろそろ限界かもな、シルビア女王陛下申し訳ございません』
『バカなことを言うな、最速の部隊はまだつかないのか』
もはやダメだ、間に合わない。戦争は祈りは通じない。
『更に被害大』
『もういい下がれ』
『下がれない、っこいつ強い』
『っ騎士長』
願っても変わらない。
『後13分っす』
『2番機通信途絶』
『間に合わないわけがない、急げ』
『キャノン用意、曲射でやれば』
『弾道計算』
マップの味方は消え、敵に埋め尽くされていく。その速度はだんだんと早くなっていく。
『くそがっ、せめてお前だけでも』
『あの女王は逃げたのではないかね、ふっ口だけのようだ』
そして。
『残存機5』
『残り12分』
『悪いもう』
『いえ、1機また増援、これって』
『女王陛下申し訳ございません』
誰もが諦めかけたとき。
『遅いのじゃ』
敵の動きが止まる。
『なぜ』
「あれって」
『みんな妾の為に……………………わかっておったのじゃが』
『なぜだ』
『悔しいものは悔しいのじゃ』
『どうして』
『こんなことならなりふり構わず切っておけばよかったのじゃ』
『後11分っす』
『きさまっ』
『後は頼んだのじゃ』
『手負いの雑魚はいい、あの』
『っ後退する、すぐ戻ります』
現れたのはたった1機、それが敵の目前に現れたときから敵の動きがおかしくなる、勝利は目前なのに、時間をかければ増援で負けるのに。だが止まる。止まらざるをえないなぜなら現れたのは。
『ナカイ名誉騎士の機体を潰せ、たった1機だぞ』
掲げた旗印にしていた人物を象徴する機体なのだ。
『後10分っす』




