逃走2 sideS
暗くなったジャングルを2人で歩く、風で木が揺れる音すら怖い。
「なぁフェザーはこれが終わったらどうするんだ」
「さぁサイは」
「俺は騎士を目指す」
「そ」
「そ、って聞いてきたのそっちだろう」
「なれるわけないよ。騎士になれるのは貴族の方だけ私たちスラム出身者がなれるわけない」
「なれないわけないだろう、何せナカイさんも騎士になれたんだ。あの人は他国の軍人なのに騎士になれたんだ、スラム出身の俺だってなれるさ」
「無理だよ、あの人はすごいけど他国の人だからしがらみないし。と言うかあの人最後には命令違反でしょ軍人としては」
フェザーは何かをあきらめているようだった。だがそんなことは気にしていられない、尊敬している人を馬鹿にされているのだ、声を荒らげる。
「軍人としては悪い人かもしれないけど、あの人は自国の国民を救うために立ち上がったんだ、人としては間違ったことはしてない。あの人がいなかったらあの戦争はまだ続いて、国民はさらに苦しんでいたかもしれない。だからあれは敵前逃亡じゃない」
そうナカイの戦闘記録最後には敵前逃亡により銃殺刑に処され死んだ。敵前逃亡だったために特進はなく少尉だったらしい。
「敵前逃亡じゃないって」
「あれは反乱軍のほうによって裁かれたものだし、正規軍なら違っていたはずだ。だからあの人を悪く言うな」
『悪く言うなはいいが動くな』
知らない人の声、駆動音。
『こちら902ロワ、2名確保』
こちらに手を伸ばされ捕えられてしまった。要するに基地にたどり着くことに失敗したのであった。その手の中でロワさんが話かけてきた。
『ナカイの話か』
「ええ」
『そうか』
「そういえば、ロワさんは以前はどこにいたんですか」
『機密事項だ』
「ナカイさんを知ってたりは」
『機密事項だ』
「そうですか」
機密事項と言われてしまえば、何も聞き返すことができず。後は無言で基地へと運ばれていった。




