脱出戦7 sideN
黒い騎士と向き合う。と言っても一瞬だが。すぐに砲撃を避けるために機体を。
「って目の前」
『どうしたナイン、何かおかしいことでも』
そいつはこちらの適当な回避に合わせついてくる、ストーカーかよと叫びたかったが、これだけアクティブなストーカーは嫌だったので叫ぶのをやめる。
『隊長無事ですか』
「変態に付きまとわれてる」
『ナカイにはぴったりじゃない』
「ぴったりじゃない」
『だってそいつナカイの狂気的なファンなんでしょ』
「俺だってファンくらい選びたい」
『選べるものではないのでは』
爆風に紛れながら振り切ろうとするのだが、黒いのはどこまでもついてくる。
『いつまでちょこまかと逃げるつもりかな、ナイン騎士』
「何でついてこれるんだよ」
わざと爆風に飛び込んだりしながら避けていたのだが、それでもついてきていて、気がつくと砲撃が止んでいた。
『これでのんびりと戦えるだろう』
「752、756状況は」
トワ達に呼び掛けるが通信が働かない、機器を操作するが何も変わらない。
『砲撃と共にチャフとジャミングをを撒かせてもらった』
ジャミングは電波を狂わせ、チャフは金属片をばらまき通信を阻害する。最悪な組み合わせだ。だがこれなら敵味方関係なく通信が阻害されるはずなのだが。
「っ有線」
『よく気づ』
後ろに飛び退く、黒いのは動くことはなく、通信が途切れる。危機が静まり返るメインカメラは不鮮明に、レーダーは敵だらけで、砲撃に突っ込んでた為か機体状況はそれほどよくなく、撤退命令は未だに出ない。状況は最悪、こいつともに基地ごと吹っ飛ばすプランもあるが最後の手段し、砲撃され過ぎて爆薬がどれだけ意味あるかわからないし、さらに言えば爆薬へと通信する発信器は死んでいる。
「はぁ、ここまでかな」
1対1で目の前にやつに勝てる自信もなければ、友軍が来る当てもない、たぶん死ぬ。だから遺書を。
「残すわけにはいかないか」
剣を構える、パイルガンはいつの間にかなくなっていた、迫撃砲により吹き飛んだのかもしれない。しかし無くてもやるしかない。ついでせめてだれかに気づいてもらうために機体の各部にあるライトを光らせる。短く3回、長く3回を何度も光らせる、これで用意は完了だ。さらに独り言だが名乗りをあげる。
「さてとナイン、いやここはあえて名誉騎士ナカイと名乗っておこうか」
俺にしかわからない嫌がらせだ、ナカイ騎士団最強の兵士がナカイを討つと言う笑い話にするために、つけていた仮面をはずす、これで用意完了。敵も意図を察したのか、構える。お互いに向かい合う。そして。
「やってられるか」
持っていた剣を投げつけると、再度逃走を再開した。




