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脱出戦6 sideS

 遠くで響く爆発音、それを聞きながら俺は無力感を味わっていた。

『941遅れぎみだ』

「了解」

 ほぼ学生の脱出戦、それはなにも起こらずただただ足を動かすだけのものになっていた。

「なぁ」

『戻ってもできることなんてない』

 フェザーに声をかけるが見透かされたように返される。

「そんなことは」

『ある』

 断言される。だがわかっている戻っても騎士のようには戦えない、10時間の特訓で適切なカスタムを見つけ出したが、それでも生存時間を伸ばせただけだ生き残れたわけじゃない。生き残れないやつがいてもただの的にしかならない。わかっている、わかってはいる。頭でわかっていても体が言うことを聞かない。気を抜けば基地に戻ろうと機体を動かそうとする。死ぬとわかっていても戦場に行こうとする。

『それにまた仲間が死ぬのをみたくない』

「それは」

『兵士であれば仕方ないし、昔みたいに死ぬことはなくなったけど。それでも死ぬところはみたくない』

 昔、多分スラムでの時の事だろう。スラムでは簡単に人が死ぬ。一気に大勢は死なないがそれでも確実に死へと近づいていく。そんなことを考えていると前方から味方の反応。

『ナイン騎士の部隊のものか』

『はっ』

『第2騎士部隊の者だ後はこちらが警護する、ご苦労だった』

 いつの間にかたどり着いていた、何事もなく味方と合流できた。後は引き継げば終了だ。だがこれでいいのだろうが、なにもせずに戦闘が終わる。なにもできずに。

『通信不能』

『再度試すっすよ』

『こちらの基地の大型通信機でも』

『経由していますが通信が』

『何が起こったのじゃ』

『ナイン騎士たちと通信がとれません』

 ジャミング、そんな考えがよぎる。もしかしたら違うかもしれないしそうじゃないかもしれない。だが、動くなら今だ。

「俺が呼びにいきます」

『941』

「俺がいきます、後は任せました」

『941とま』

『行くのじゃ、941妾が命じるナイン騎士に撤退命令を伝えるのじゃ』

「了解」

『支援する』

 フェザーと共に基地に戻る。

『最低限の』

『っ、数不明の敵機、ここから離れます』

『ちっ』

『後は任せたっす』

『くそっ』

「邪魔だ」

 パイルガンを乱射しながらいつの間にか集まっていた包囲網を抜け、基地に向けて進んでいった。

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