脱出戦1 sideS
『全員落ち着いて聞いてくれ』
シュミレーターから降りる、ナイン騎士からの通達だ。
『この基地を放棄する』
「放棄」
『戦闘可能、いや死ぬかもしれない作戦に参加できるものは格納庫に集合、それ以外は滑走路に待機させてある輸送車に乗り込め、1時間以内だ』
ふらふらとふらつく足で格納庫へと向かう。
「サイ」
「なんだよフェザー」
そんな慌ただしい中、フェザーが駆け寄ってくる。
「ふらついてるみたいだけどどこに」
「格納庫に、アレンを殺したやつはみんな殺さないと」
「気持ちはわかるけど」
そう言ってくる、だから俺は声を荒らげる。
「気持ちが分かるだと、俺はあいつが殺された後、あいつらを殺すため訓練を」
「10時間程度でしょ」
時間がなかったからその程度ではあるが飲まず食わずでやって来たのだ10時間前の俺とは違う。
「それくらいで変われるの」
「変われる、変われるさ。どれだけ必死になってやったかたでな」
そう叫ぶように答える、自分に言い聞かせるように叫ぶ。フェザーに言われるまでもなくわかっている、10時間程度ではなにも変わらない、変わるはずがないのだがやらずにはいられない、だからやった、だから自分に言い聞かせる、10時間の訓練で変わったのだ、変わったんだ、強くなったんだ。そう言い聞かせる、そう思い込む。そう思い込みながら格納庫へ向かう。向かった格納庫にはほとんど人はおらず、数名の学生と、仮面の男、ナイン騎士がいた。
「これだけか」
来たのは俺たちも含め8人ほど。
「まあ仕方ないか」
誰が来ているかなど今はどうでもいい、今気にしたいのは作戦がどんなのになるかだけだ。
「君達には輸送車2台を護送してもらいたい」
作戦は逃げろだ。
「俺は賛成しません」
そう声をあげる。
「なぜか聞かせてもらおうか」
「俺は復讐したいんです、殺したいんですあいつらを」
「そうか、却下する。それだけか」
却下する、その一言だけで切り捨てられる。怒りがわいてくる。その一言でアレンの仇がとれなくなるのだ、ふざけるな。殺してやりたくなる、殺してしまえばいいかもしれない。そうだ殺して。
「動くな」
後頭部に冷たいものを当てられる、右手には鉄が触れている。
「ナイン騎士こんなのも使うのは危険なのでは」
「部下をこんなのとか言うな、危険かもしれんが遊ばせられる戦力はない」
「それは」
「それにオート自爆システムなんて積んでいる余裕もないからな、だからそいつから拳銃を取り上げるだけにしておいてくれ」
「了解しました」
鉄に触れている右手を払われ、拳銃が抜かれる。
「まあ話を続けるぞ、ドライバー2人にはルートを示してあるが、ルートはこんな感じだ」
地図を見せられながら説明されると、ジグザグに進むことで方向を狂わせ、敵の視界を振り切りつつも最短距離で後方にある大きな補給基地に向かうと言う作戦だ。
「後方の補給基地に連絡はいってる、正規騎士団に部隊を派遣するように手配してもらっているから彼らに護衛を引き継ぐまでが任務となる、わかったな」
「引き継ぎ場所は」
「ランデブーポイントはここだが」
そう言って指し示されたポイントは、後方の基地とこの基地との3分の2の場所だ。つまりそこまで護衛しなければならない。
「質問は以上か」
誰もなにも言わない。
「なら以上解散、諸君らの善戦とこれからの活躍を期待する」
そういわれ敬礼を送られた。




