ジャングル sideS
「くそっ」
サバイバルキットからナイフを取り出し、パラシュートの紐を切る。空から落ちてきた俺は、パラシュートが木に引っ掛かり、宙吊りになっていた。
「これも実習なのか」
受け身をとりながら地面に落ち、そのまま倒れこむ。
「さてと荷物の点検だ」
何があるかを確認しなければならない。サバイバルキットの中身を確認する。
「ナイフに拳銃、メディカルキット、レーション5食、地図とコンパスにメモか」
必要最低限な物しか入っていなかった。なのでメモを見る。
「えっと警備は明日の0900から第1小隊から行うか」
その一言が書いてあるだけだった。要するに。
「つまりこの時間まで基地にたどり着けってことか」
多分これも訓練なのだろう、そう考える。
「まず自分の位置を確認、基地に向かうか」
だが木が繁っていてわかりずらい。
「くそっ落下中に基地の方向見とけばよかった」
それがわからなければ。
「いや待て、あの輸送機は基地に向かってたわけだからここは基地の手前な訳だ」
コンパスと地図を取り出す。
「つまり方角を確認して基地の方に歩いていけばなにか痕跡くらいあるか」
だが。
「どっちの方に飛んでた」
それもわからない。
「ああ、くそっ」
「あっ」
「誰だ」
急に声が聞こえ、拳銃を向ける。
「ごめん、急に」
フェザーだ。
「こっちこそわりぃ」
多分味方だろう。まぁ敵なんて居ないだろうが。
「それでフェザーなんのようだ」
「基地があっちの方向」
そう言ってフェザーが来た方向の反対側を指差す。
「本当に」
「うん」
何も分からないなら信じてみてもいいだろう、そう思う。
「なら案内を」
「うん」
と言うわけでフェザーを信じ基地があると思われる方向に歩き始める。