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初陣3 sideS

「くっそ、くそ」

 壁を殴る。何度も何度も。

「サイそろそろやめた方が」

「アレンに俺の気持ちがわかるかよ」

 また壁を殴る。俺の初陣は、散々なものであった。撃破はなし、機体は損傷、そしてナイン騎士にかばわれるという失態も犯してしまった。俺たち騎士以外の兵士の仕事は簡単に言えば露払い兼護衛だ、そう学校で教えられてきた。なのに、なのにだ。俺はかばわれ、ナイン騎士のknightを損傷させてしまった。あの時とっさに反撃するのではなく、回避に転じていれば避けられたかもしれないのにだ。その怒りで壁を殴る。

「そういえばフェザーちゃんは」

「知るかよ」

 彼女は基地に戻り次第、ナイン騎士に呼ばれていった。何の話をするのだろうか。迷惑をかけたと思う俺とアレン、アンドレアスは待機だ。体を休めろと言う事だろう。そのことが俺をさらにみじめにする。へこんでくる。壁を殴りたくなる。

「はぁ何やってるっすか」

「あ、ウトさん」

 誰かが来たようだ、だが気にせず壁を殴るのをやめない。

「説明するっす」

「いえそれがさっきの戦闘で」

「ああ、そういう事っすか」

「聞いてたんですか」

「今は雑用っすけど、俺もいろいろ戦闘に関われるっすからね」

 誰かが近づく。なので振り返り殴りかかる。

「近づ」

 景色が回る。大きな音。

「うるさいっす」

 いつの間にか地面に叩き付けられる。叩き付けて相手は軍服を着ているが、見たことがある、ウトさんだ。

「今何が」

「うるさいし殴り掛かってきたんで倒したっす、詳しい説明聞くっすか」

「ぜひ」

 そうして話し始めたのはウトさんの過去話と言っても過言ではなかった。とは言ってもarmy以外の軍用機の操縦方法を学び、その過程で歩兵としての訓練を少しかじり、ナイン騎士に拾われたというだけではあったが。ようは彼もかなり強いのだろう。そうでなければ騎士団に入れられたりはしない。それでもって俺を倒したのは、柔道と呼ばれる武術らしい。実戦では基本的に使えない品でもあるらしいが。

「まぁけど壁を殴るのやめるっすよ、うるさくて仕方ないっす」

「すいません」

「分かればいいっす、それでどうしたっすか」

 そう尋ねられ、思ったことを口に出してしまう。

「俺、どうしてこんなに弱いんですかね、どうしてこんなに」

「知らないっす」

 心に思ったことを瞬殺される。

「けど弱ければ訓練すればいいっすよ、ナイン騎士だって…………なんでもないっす」

「ナイン騎士も弱かったのですか」

「うわぁ、やばいっすよ……………はぁもう仕方ないっす、ええナイン騎士は弱いっすよ。騎士の中では1番」

「ならそんな人がどうして」

「いろいろあったんすよ、いろいろ」

 そこから先は何も語ってはくれなかった。

「いいっすか他言無用っすよ」

「はっ」

 そうしてウトさんが去っていき、その代わりとしてフェザーが来た。

「サイ何してたの」

「いや」

「壁殴ってたんだよ」

「アレン、でフェザーは何を」

「機体撃破の特別給金の支払先の口座の開設手続きしてきた」

「何それ詳しく」

「緊急時の給金は一時的に止まるらしいんだけど、撃破報酬は別らしくてそのために口座作ってきた」

「なるほど」

「けどこれだけあれば家族が楽できる」

「そんなに」

「うん」

 かなり貰えるらしい。

「後は休んでろってナイン騎士からの命令」

「そうか、後アレン悪かった」

「いやいいよ、食事にしようよ」

「そうだな」

 と言うわけで食堂へと歩いて行った。

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