初陣1 sideS
初陣だ、頑張れよ。そう言われ、俺は今戦場に来ている。
『N92ステルスして先行、N93はN94にシステムリンクしてもらいつつ、タイミング合わせて砲撃、敵に戦力を把握させるなよ』
『N92了解』
『えぇ私お姉ちゃんと一緒が』
『N93』
『お姉ちゃんごめん』
ナイン騎士が下した命令は二言、命令に従い、着いて来い、それだけだった。その命令に従いナイン騎士機を先頭に進軍しているのだが、訓練とは変わらず、ただ前に進んでいた。
「942、943状況は」
942はアレンで、943はフェザーのコールサインだ。
『何とかついてってるよ』
『大丈夫』
「944敵までの距離は」
944はアンドレアスのコールサインであり、特別編入部隊第4小隊の完成である。これの上にナイン騎士たちの部隊が乗っかり計20人が第9騎士団特別編隊の完成である。
『941着いて来られるか』
「はっ大丈夫であります」
『そうかならいい、N94、941以下3機の機体状況知らせ』
『機体状況共にアクティブ、オールグリーンです』
『そうか、敵までの距離は』
先頭を行くナイン騎士の機体は特殊だ。armyのような迷彩色ではなく、白一色のカラーリング特殊加工され防御機能がわずかながらにあるマント。まさしく騎士を体現している機体だ。
『後5分』
『N92は』
『通信不能ですが、先ほど短通1確認目標まで接近を確認』
『了解した、手はず通り仕掛ける。アクティブカメラのリンク状態は』
『情報量多すぎなんですけど』
『N94』
『何とかやってます』
『そいつが切り札になりうるはずだから、ばれないようにな』
『了解』
『N95は』
『何とか用意したっすけど、腕前は応急措置クラスっすから期待しないでくれっすよ』
『それくらいで大丈夫だ』
そんな感じで連絡を取りつつ、ナイン騎士は前に進んでいく。だからそれに。
『敵、回避』
そう叫ばれ、回避行動を。足が動かない。
「えっ」
声が漏れる。
『941右腕被弾』
『カバー』
『サイ』
機体に揺れ。そこで体が動く。
『敵9機』
『動け、動かないとやられる』
「りょ、了解」
大丈夫、動く、機体も、体も。モニターにロックオンされていると表示される、だが反抗する手段はない、ついでに右腕もない。あるのはチェーンソーだけだ。だからモニターに表示される回避運動を頼りに回避する。
「はぁはぁはぁはぁ」
これが実戦だった。実戦を舐めていた。モニターにはほかの機体とデータがリンクされ見えていない敵が見える。
『N92、1機撃破』
『ねぇまだ駄目なの』
『N93敵は弱い、撃たなくて十分対応可能だ』
『了解、ならサボってる』
『サボるな』
ナイン騎士曰く敵は弱い、回避するだけで手一杯の敵を的確に仕留めていく。ナイン騎士は指揮を執りながら戦っているためか、撃破する速度はロワ機に後れを取っているが。
「そんなこと気にしてられるほど」
『943、1機撃破』
『941回避』
「えっ」
急にモニターにロックオン反応。右から。だから銃を。
横を向く。銃口と目が合う。駄目だ。
避け切れない。回避は、 無理。




