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布告 sideS

「出るっす」

 ウトさんが来たのはちょうど3日目だ。

「緊急の用件があるっすから駆け足っす」

「「了解」」

 久しぶりの駆け足だ、かなりすがすがしかった。なぜなら営倉の中ではレックスと2人きりであり、話すことがなく壁を見ているだけで、楽しみは食事だけであった。その食事もフェザーが賭けで勝った初日以外は粗末なものであり、大分堪えていた。駆け足で向かった先は外であり、曇っているようだった。そこにクラスメイトが多数に、ナイン騎士、ロワさん、エムさんがいるようであった。

「全員そろったようだな」

「はっ呼んで来たっす」

「ナイン騎士より布告があります、全員傾聴するように」

 そう言われるとナイン騎士がいつの間にかおかれていた台に上がる。

「諸君、戦争の時間だ」

 動揺が走る、あわただしくなる、ナイン騎士が何を言っているのかが分からない。

「諸君らに学んでもらったのは生活をする術ではなく、戦場に立つ術だ。それを発揮してもらおうと思う」

 彼はそんなことを気にせずに話し続ける。

「敵は英雄ナカイ名誉騎士の名を使い、我々騎士を殺し、自分たちの好きなような国を作るつもりだ。そんなことは絶対に許されない」

 ナカイ名誉騎士の名が出た時にさらに混乱が広がる、その名を借りているのであれば実情はどうあれ、敵は民のために戦っているのだろう。

「それにナカイ名誉騎士を掲げているようだが、あれはそんな高等な考えは持っていなかった。だから奴らの考えなど気にすることなく屠れ」

 知り合いだったのだろうか。

「そのために、シルビア女王陛下の名において諸君らを第9騎士団に編入する。諸君らの健闘を期待する」

 それだけを言うと台から降りると代わりにロワさんが台に上がる。

「さらに付け加えます、あなた方には2つの選択肢があります、除隊しここから逃げ去るのと編入しテロリストと戦うかです、1時間後にここに輸送機を着陸させるので、除隊する人はそれに乗ってください、それ以外の方は除隊者出立後、新たに編隊を組みなおしますので集合してください」

 逃げるか戦うか、その2つを突き付けられた。だが俺には選択肢は1つしかない。

「以上解散」

 それだけを言うとナイン騎士たちは話し合いながら去っていく、何か策を立てるのだろうか。そんなことはどうでもよく、俺はほかのスラム仲間に声をかける、と言っても2人しかいないが。

「アレン」

「あっサイ出られたんだ」

「お前はどうするんだ」

「サイと一緒だよ、僕も逃げられないよ」

「私も」

「フェザーか」

 そうアレンが言ったようにスラム出身者は逃げられない。正確に言うとスラムに逆戻りするしかなく。逆戻りしたところで、今度は奨学金と呼ばれる借金がついて回ることになる。それを抱えたままでは生きていくことすら難しい。

「おうお前らどうするんだよ、って逃げられないか」

 俺の小隊の中での唯一の平民出身アンドレアスだ。

「お前はどうするんだ」

「へっこんな面白そうなことから逃げられるかよ」

「面白くはない」

「フェザーちゃんはお堅いねぇ、何事も楽しまねぇと。まっそんなことはここから早く離れようぜ、いきなりの実戦でファッションで入った奴らが駄目そうだ」

「ファッション、何のことだ」

「ナカイにあこがれたのか、ほかに憧れたのかしらねぇけど遊びで入ってたやつらだなまっそんなことより中入ろうぜ、どんなふうに小隊組まれるかしらねぇけど解散式でもしようぜ」

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