営倉 sideS
「と言うわけでここに入ってるっす」
そう言って案内されたのは営倉、簡単に言えば牢屋だ。営倉は窓がなく、寝具もなく、何もない部屋だった。
「特に何かしてろっては言わないっすが、騒いでたら日数増やすっすよ」
そう言われて、営倉に放り込まれた。2人一緒に。
「そんじゃあ夕食になったら何か持って来るっす、反省してるっすよ」
それだけを言われると暗い部屋に2人だけ残される。ただただ気まずい空気が流れる。ここに3日いなければいけないと思うだけですごく嫌になってくる。
「…………………………………」
無言で過ごす。それだけをしているのは嫌なので、さっきの戦闘の反省をしていく。さっきの戦闘は俺の勝ちだった。だが負けだろう、決闘だったので1対1だったからよかったが、もし多数対多数だったら1機倒して、戦死。脱出できたとしても基地まで逃げなけれならなかっただろう。つまり負けだったと言ってもいいだろう。
「………………悪かったな」
「何が」
「何でもねえよ」
「あっそ」
謝られたが気にしない、そんなことよりも戦闘の反省だ。決闘の時よりもその前の強襲戦だ。機体性能、いや武器性能の差は大きかっただろうが、それを卑怯だなんて言っても死ぬだけだ。
「ひとまず情報収集、いやフェザーが戦死した後の立て直しか」
情報収集に問題があるといってしまえばそこで終了だが、問題は俺自身の指揮能力だろう。ファザーが死んだ地点で、敵の攻撃が来ることさえわかっていたら、回避行動をとりながら進むことでもっと接近することができたかもしれない。
「いや無理か」
それでも当ててくるのがエースなのだろう。それでも兵士、いや騎士を目指すうえではそんな敵と当ろうが勝っていくしかない。
「けど」
そこで思う、そんな2人のエースを差し置いて、騎士になったナインはどれだけ強いのだろうかと。彼の戦績を指し示すものは何もなく、正体不明の仮面の騎士だ。騎士団は4人しかおらず、仕事もしていなかった。完璧に謎の人物だろう。そんなことを悶々と考えてるうちにドアが叩かれる。
「サイ食事」
フェザーだ。彼女はそう言ってドアを開ける。持ってきた食事はパンにスープ、それに干し肉。それがたくさんあった、罰則中かわからなくなる量だ。
「この量は」
「賭けに買ってそのお礼」
「あっそ」
彼女たちは賭けをしていたらしかったが、俺の方の倍率は異常なほどになっていたらしい。
「まあいいかありがとう」
「サイ早く出てきてね」
「ああ」




