後始末第2弾 sideN
「さぁってとどうしよう」
「やり過ぎですね」
『機体回収します』
「ロワ頼む」
『お姉ちゃんがやるなら』
「ロノは訓練、そういえばロノって言いづらくない」
『お姉ちゃんと似たような名前がいいの』
まあそれはいいとして、片づけだ。いくら訓練用の低パワーにしても壊れるものは壊れる。今回はメインカメラだ。精密機械の塊だ。何気にコストがかかる。コストがかかるので報告は正確になる。正確になるというと。
「今回の件は表に出しちゃまずいよな」
「まずいですかね」
「問題はないかもしれないが書類が増える」
「ごまかすのもごまかすので問題じゃないですか」
『機体回収しました』
「助かる、機体状態は」
『サイ機はヘッドパーツを全面交換、レックス機は胸部装甲を交換ですね』
「了解、はぁ補給品、補給品」
「ないよりはましだよ」
「ましだけどさ、はぁ戦争が懐かしい」
あの時はどれだけ消耗しようが、機体を失おうが、無意味に装備を無くそうがひとまずは問題なく補給された。できないときは補給品が届かない時だけだ。上層部は違っていたのかもしれないが、下の兵隊はそうだった。だが今では俺がその上層部になり補給ひとつ、いやねじ1本動かすのだけで報告書がいる。さすがにそれは言い過ぎだろうが、過言ではないような気がする。
「さすがに過言じゃ、私も訓練に戻りますね」
「ああわかった」
報告書に申請書、今回は言い訳に嘘を書き込み、問題ないようにする。それに学生の報告書を採点し、それを評価し、また報告書を作る。そして今度は。
「専属教師か」
たぶんフランカのだろう。
「候補は誰なのじゃ」
「候補は一人だけだから彼女だな」
「彼女………嘘なのじゃ、どうしてクリスなのじゃ」
「手が空いてたとか」
「それは…そうなのじゃ」
クリス、職業メイド、と言っても女王シルビア付きのメイドであり、たぶんであるが王国で1番暇な人だろう。シルビア女王は一応行方不明だし、捜索もされているかもしれないが、居場所は判明しているのですることはないはずだ。そうじゃなければ来ることはできないだろう。と言うわけで。
「クリスは怖いのじゃ」
「そうか」
一度会ったことはあるがそこまで言うほどではなかったはずだ。と言うか。
「クリスさんなら秘書」
「それなのじゃ」
「さすがにダメ」
「無理でも不可能にするのが妾なのじゃ」
「あっはい」




