決闘 sideS
『それではレックス対サイの決闘を始めます』
そんなロワさんの声が響き渡ると、警備にあたっている第2小隊を除き見学に来ている学生が盛り上がる。
『使用武器はヒートステッィクのみ、時間無制限』
『おい屑が』
「ああっお前の方が屑だろ、あんなところで拳銃抜くなんてよ」
『だまれ』
「事実だろ」
『勝敗は投降か有効打撃、簡単に言えばコックピットへの1撃でつけます両者理解しましたか』
「はっ」
『了解』
『今回はナイン騎士が来ておられますので、ひと声いただこうと思います。よろしいですか』
『まあいいだろ、では2人にはこれだけを言っておく、全力でやれ、以上だ』
『ナイン騎士ありがとうございます、それでは両者入場』
その声と共に、armyを前に動かし滑走路の中央で向い合せる。機体の状態は良好、問題はどこにもない。気力も十分だ、負けるわけにはいかない。
「ふぅーーー」
息を吐く、いつもより緊張している。
『戦闘開始』
ロワさんが叫ぶと同時に横に飛ぶ、接近戦とはいえ近づくタイミングを失敗すれば、振り下げたヒートステッィクの下に機体を滑り込ませることになり、そのまま敗北となる。それは避けたかった。
『ビビりが』
「言ってろ」
『お互い様子見から入るようだー、この勝負どうなっていくのかナレーションはバッカーで解説は』
『ロノが担当します、めんどくさい』
『まあまあそう言わないで、本職がしてくれないと分かりにくいこともあるんじゃないかなって』
『お前たちもプロでしょ』
『いやいや、とそんなことを言っているうちに状況が動いたー』
通信がうるさい。レックスはこのクラス1の強者だ今回はヒートステッィクのみなので問題ないが、なんでもありなら接近戦を維持しておきたい。だが接近戦が俺も得意だとはいえ。
「隙がない」
飛び込む隙がなく、一定の距離を保つ。
『どうした屑近づかないのか』
『レックス機の周りをサイ機がぐるぐる回っているようなんですがこれはいったい』
『隙でもうかがってるんじゃないの、隙だらけに見えるけど。はぁなんでこんなことしてるんだろ』
『そうなんですか』
『早く終わらしてくれない』
『ぶっちゃけすぎです、それはそうと隙だらけには見えないいのですが』
『お姉ちゃんなら開幕同時でコックピット一突きで終わりよ』
『お姉さんとと言うとロワさん』
『えぇそれでね』
隙だらけとロノさんは言う、だが隙が分からない。隙がないようにしか見えない、だから周りをまわり続ける。
『バターにでもなる気かよ、こっちから行くぜ』
これまで動かなかったレックス機が動く。
『自慢話はこれくらいにしてレックス機が動き出したー』
『死ね』
振りかかってくるヒートステッィクを同じくヒートステッィクで受ける。あとは相手に合わせるように受け続ける。
『死ね、死ね』
受け続けるといっても、機体は動かし続け、一方的にやられないようにする。
『おおサイ機が鋭い反撃を』
『鋭くないんじゃない、ナ』
『ロノ』
『ごめんお姉ちゃん』
敵の動きがある程度分かるようになってきた。隙をつけるかもしれない。だから飛び込む。
「隙あり」
『隙はお前だ』
その言葉と共に、機体内のモニターが消える。機体を後ろに飛びのかせる。機体状況を確認する。
「メインカメラが」
サブカメラに切り替える。モニターが再び灯る。レックス機が駆け寄っている。だからまた飛び退く。
『甘い』
今度は足をやられる。そのせいで機体が倒れる。
『ほぉらお前の負け』
だが倒れたことに気をよくしたのか無防備に近寄る、だからコックピットに向けてヒートステッィクを無理や叩き込んだ。
『試合終了、勝者サイ』




