指揮官 sideN
「それで、それで何をするのじゃ」
「何をって、はぁ」
頭が痛くなるものを前にして頭を抱える。
「それでどうするんっすか」
「どうするも何も、いったん預かるって話になってんだよ」
「まさか兄上に何か言われたのか、吐くのじゃナイン」
「吐くも何も報告するだろう、で宰相閣下から鍛えてやれってさ。どんな扱いでも黙認するらしい」
「つまりはどういう事なのじゃ」
「外の連中と同じ扱いでも構わないってことだろう」
と言って窓から外を指す、外では学生が走りこまされている。
「いやなのじゃ、せっかく逃げ出せたんじゃからもっと楽なことをするのじゃ」
「楽って」
とは言われても、仕事と言えば毎日提出させる訓練の報告書の確認であったり、物資の要求、訓練の計画、その他もろもろであり、正直構ってはいられない。
「指揮官の訓練をするのじゃ、ナインは士官なのじゃろう」
「士官つってもパイロット用の訓練しか受けてないんだが」
俺の学生時代は士官学校ではあったのだが、戦車、ここではarmyのパイロットはすべて少尉スタートのため士官と言っても1兵卒くらいの知識しかない。
「なら小隊用の知識なのじゃ」
「それくらいならいいけど、パイロット知識も必要になるぞ」
小隊長ではあったが、俺はいつも変わらないメンバーのみで、緊急時にもこの4人以上の部下を持ったことはない。
「けどナインはあの内戦の時、部下が多くいたんじゃ」
「あの時は、レジスタンスは別指揮系統だったから指揮取ってないし。それにあれ内戦じゃなくてほぼテロだし」
あの時は指揮系統が2つあり俺は自分の部隊しか指揮をとっていなかった。
「本当なのじゃ」
「嘘ついてどうするんだよ」
「本には」
「と言うかなんだよその本」
シルビア女王、いやフランカが取り出した本を取り上げる。
「何するのじゃ」
「いいの、この基地においてはシルビア女王は居なくて、新兵のフランカしか来てないことになってるのだからこれくらいってえっ」
本に書かれてある名前を見る。
「どうかしたのじゃ」
「いや知り合いが書いてた」
「そうなのじゃその本ナカイ小隊の隊員である、シノダが書いているのじゃ」
いくらか持っているとはいえ正確なわけだ、何せ元部下兼テロ行為の首謀者なのだから。
「まあこれはいい」
本の件は置いとくとして、フランカをどうするかなのだが。
「ひとまず教材でも渡しておくか」
そういって、指揮官用の教材を渡す。
「ここでこれをやっとけよ、もしいやなら送り返す」
「えぇなのじゃ」
「文句言わない、ウト監視頼む」
「了解っす」
と言うわけで、司令官室に人が増えたのであった。