警備 sideS
「はぁ」
armyに乗り込み、外を眺める。今日から3日間は8時間警備だ。今日は0900から1700までだ。長くはないのだが、昨日の疲れが残っているので正直眠い。眠いのだが。
『お姉ちゃん』
ときどき混じるロノさんの小声によって目が覚めている。そのついでとロノさんの機体へと視線を向ける、彼女の機体は通常型ではなく、足回りが太く、右肩に大型のキャノンのようなものを1門背負ってるだけであった。完璧な狙撃用、と言うよりも砲撃戦用の機体であった。
『あんなにちっちゃいのに』
『なんだアランはロリコンなのかよ』
『そんなわけないよ』
『へへっどうだか』
『そういうアンドレアスはどうなのさ』
『俺か、そうだなロワさんといやぁ、あのお姉さんっぷりとか』
『私のお姉ちゃんがどうしたの』
『あっ、いえね誰がタイプっていう話になって俺はロワさんが』
『シネ』
ロノさんの機体が。
『止まってください』
『………ごめん』
フェザーが口を挟みとめる。止めなければ戦死者が1人出ていたかもしれない。
『でサイは誰がタイプなんだよ』
「おれ」
『アランも俺も答えたぞ』
『えっ僕も』
『ああ答えただろ』
『いや僕は』
『と言うわけでサイだ』
「タイプねぇ」
そういってクラスメイトを思い浮かべるが、フェザーを除き差別的な視線しか向けられていなかったので切り捨て、ナイン騎士の女性陣を思い浮かべる。
「エムさんとか」
『母性的な幼馴染がいいと』
「まあ」
否定はしなかった。
『サイはエムが好きなの』
ロノさんが話に乗ってくる。
「いいんですか警戒してなくて」
『別にいいよどうせ敵なんていないし、ナインは何も考えてないし、お姉ちゃんはいないからどうでもいい』
ぶっちゃけられてしまう。
『903どうでもいいわけないです』
『903了解、エムは真面目なんだから』
『903』
『はーい』
そんな喧嘩の様な通信を聞きながら、周囲を。
「………輸送機」
『ナイト騎士輸送機が』
来ることは予想済みだったのだろう、ナイト騎士に通信が渡る。
「あれの中身は」
『気にしなくていいんじゃない』
『それだけ機密なのかよ』
『私も知らないし』
『それでいいの』
『私にはお姉ちゃんのことだけで精いっぱいなの』
「おいおい」
不安になるようなことしか、ロノさんは言わなかった。そのことに不安を感じつつ着陸する輸送機を眺めていた。