終戦 sideS
戦争が終わったと実感したのは最後の戦いから3日ほどたった後だった。
「どうしたのサイ」
「いや」
その3日間は忙しすぎた、戦地の片付けに戦死した兵士の追悼式、それに捕虜の扱いに関しての取り決め、アンドレアスが言っていたのだが後方担当はここから忙しいらしいが、パイロットの仕事は終わりだ。だからやっとの事でアレンの墓の前に来ることができた。
「墓なんて何で残すのかって思ってたけどな」
アレンの墓に花に添える、ふと顔をあげると他の墓にもにたようなことをしたり、泣き崩れたり、色々な人がいた。そのなかでもひときわ大きいのは。
「ナカイ騎士」
最終決戦の最後から2番目の死者であるナカイ騎士の墓には大勢の人が来ている。ひどい言い方だが何かの観光地のごとく人が集まっているのだ。そのナカイ騎士の墓には、花やら食べ物やらが多く置かれ、その真ん中に冴えない1人の男の写真が置かれている。その写真は連日ニュースなどで取り上げられている、ナカイ騎士唯一の写真だ。軍登録時に撮られた写真なのだろう、少し固い表情の写真になっている。
「サイも花添えてく」
「いやいいよ」
アレンの墓に花を供える。報告したいことはそれなりにあった。例えば第8騎士団が一時解体され、第8後方任務部隊としてトワ隊長が就任したと言うことやその部隊に自分達が配属されたことなんかだが。
「いつか報告するよ」
「サイ」
「えっとフェザー次の任務なんだった」
「オフだったはず」
「そっか」
兵士の1番重要で1番やりたくない仕事である戦闘行為はこれで終了だ、これからも戦闘を行うこともあるかもしれないが、その時に備え。
「なら訓練しようか」
「了解」
だがその訓練はできず、トワ隊長からの電話で召集されることになったのだが、それもこれからやっていく兵士の仕事だろう。
報告書 氏名サイ
スラム出身のパイロットであり、学生時に内戦に巻き込まれ頭角を示す。内戦終了以降は第8後方任務部隊として後方任務、または小規模任務に当たり戦績を伸ばし、第8後方任務部隊の2代目隊長に就任する。
「と言うわけで映画を作るのじゃ」
「あのですね、シルビア女王陛下」
「戦闘の見せ場は最終決戦の大将同士の一騎討ちじゃから燃える展開じゃろ」
「いえその」
「せっかくナカイが活躍した国として全宇宙に知られたのじゃ、活用しない訳には」
「はぁ」
「なんじゃトワ乗り気じゃないのか」
「いえ第8後方任務部隊の」
「なら任務として撮影に協力するのじゃ」
「いいじゃんお姉ちゃん、お姉ちゃんが映画に」
「スタンドマンだから出ないのじゃ」
「本人出すっすよ」
「と言うより後方任務ってシルビア女王陛下のお守りなんじゃ」
「そうだったんですか」
「そうなのじゃ、妾の特権なのじゃ、じゃないとナカイのように」
「嫌々死んでないっすよ」
「へっそうなのじゃ」
「サトウっ」
「あっ」
「もうばれたのなら話していいのでは」
「はぁ」
「お姉ちゃんが隊長に就任した直後にナカイなんて拾わなくてよかったのに」
「そのまま病院送りで面会拒絶っすからね、拾わないと」
「待て待て待て、聞いてないのじゃ」
「話してなかったので」
「えっ妾女王じゃぞ」
「私は傭兵なので話す義務は特にないです」
「いやいやいや、つまりナカイは」
「2度目の葬儀ですね、まあそれはいいとして新入りも呼びますね」
最終話です
これまで読んでくれた皆さんありがとうございます
これからも別の作品でお会いしたら応援よろしくお願いします