表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/117

最終決戦11 sideN

 生命維持も脱出装置も使えなくなる。そこまで削って稼ぎだしたのは。

「1歩分かよ」

 そうわずかに移動しただけでもはや燃料がつきたのだ。機体が倒れる、衝撃で揺さぶられる。

「何度目だと思ってるんだ」

 パイロットスーツについている通信機に声をかける。

「チバ、脱出する」

『無理ですそんな戦況で』

「仕方ねえだろう、走って逃げた方がまだ生存できる、トワにげるぞん」

 変な語尾になる、それは仕方がなかった。後ろでトワが黒煙を吹いていた。

「おいっ」

 体に刺さっているケーブルを引っこ抜く、どうせメインはすべて落ちたのだ問題はないはずだ。

「………………隊長」

「なんだよ、早く逃げるぞ」

「私をおいてってください」

 いつか言われると思っていた言葉、命令であれば従う、それが兵士だ、涙を飲んででもそれには従うしかない。だが今は。

「断る」

 上位存在である騎士だ、ついでに俺は隊長でこいつは部下だ。だから命令は聞かない。聞く気はない。シートに備え付けられたPDW、自分の身を守るための最後の武器を手にいれる。

「私をおいて」

「断るっ」

 有無を言わさずトワを担ぐ、正直重い。だが動けなくなると言うほどではない。

「くそっなんで黒煙なんて出てんだよ」

「私が機、体のメインシステムを肩代、わりしていたので、焼き付いたので、しょう」

「ああもうめんどくせぇ、バカかよそこまでする必要ないだろうがもう」

 最終手段である、緊急時用開放システムの用意をする。こいつはコックピットのハッチを吹き飛ばすようであり、ただただ火薬に点火するだけだ。

「私は戦闘用の試作型アンドロイドですよ」

「知るかよっ、お前はただの傭兵だ」

 彼女はその名目で部隊に入った。

「捨てられたって」

「命は大切にしろよ、と言うか今さらだけどなんでこんなところで戦争してんだ、予定だと年金暮らししてるはずだろう」

 こんなんでも英雄なのだ、退役軍人だろうがそれなりにはもらえるはずだ、と言うか貰いたかったのだが。

「なんだよ、生きてんのに何回葬儀されてんだよ」

 なのに貰えるのは俺の死亡通知書ばかり、お金らしいお金など貰えるわけもなく、更に言えば死んでいるのでお給料も入っていない。いやナインとしては入っていたのだが、それもなくなった。

「それは」

「年金が貰えるように戦争するかもしれないから、そんときまでは生きてろよ、今はいきることだけ考えろ」

 爆発、コックピットのハッチが吹き飛ぶ。

『ナカイなにやってんの、お姉ちゃんが』

「なら守れよ、ふざけんな」

 もはや叫び声だ、トワを担ぎながら外に出る。激戦の戦場だ。踏みつけられる恐れや、流れ弾、ただの爆発でも死ねる、だが生きるためには。

「学生脱出しろ、逃げるぞっ」

『りょ了解』

 また爆発、倒れていた学生が脱出したのだろう。

『守りたいけどこいつら、うざい』

「了解っ、聞いてたか学生、俺らを守って後退しろ」

 後は1人の学生に託された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ