最終決戦10 sideS
憧れと現実は違う。だが憧れていたナカイ騎士がただの兵士、それもまるですぐにでもやられてしまいそうな兵士であると言う事実はどうすればいいのだろうか。
『どうした黙って、ああ失望したか、当たり前だよな』
ナカイ騎士はそれでもそう切り出す。
『だかな理想を抱いて死ぬやつの方が大勢だ、むしろ理想を抱いたところで死ななくなるわけがない。生き残るのはただただ運がいいかそれとも絶対級の腕を持つやつだけだ。だから理想を捨てろとは言わないが捨てる覚悟だけはしろ、それができないやつが死にやすい』
『ナカイうっさい、そんなことよりお姉ちゃんは』
『うっさいとはなんだ、トワは後ろでシステム弄ってる』
『なんでいっつもいっつもナカイばっかり』
『死にそうだからじゃないか』
『ずーるーいー』
運がいいやつか絶対的な腕持つか、できれば後者になりたい。
『あといっておくが絶対的な腕なんてもはや生まれつきレベルだから諦めろ、後天的に何とかすることもできるかもしれないが、まあ諦めろ』
『そうですね、諦めた方がいいかと』
「なんで」
なぜ止めるのだろうか。
『あなたはアンドロイドになる気はありますか、それか薬物を大量摂取するからだになるか』
前者はともかく後者はいやだ、薬物と言われてるスラムの片隅で死にかける人の顔が出てくる。スラムではなんでもあった、それこそなんでもだ。
『体は大切にしてください、私たちの裏事情だったりします、要は使い捨ての実験部隊だったんです』
トワさんの話が始まる。
『隊長の最初の任務は私の疑似ターゲットです』
『「えっ」』
『隊長は驚かないでください、そのあとは囮をやり、見捨てられ、また拾われ突撃させられました。そして公式的な最後の任務では使い捨てられます。あなたはそれでも英雄を目指しますか』
『俺ターゲットだったの、半ば気づいていたけど実際言われるとマジでへこむよ』
『あとついで言うと燃料が』
『あと削れるところは』
『生命維持装置と脱出装置です』
『マジかよ、ギリギリまで耐えるぞ、学生へこんでるかもしれないがまだ耐えるぞ』