最終決戦5 sideN
投げたヒートスティックは当たり、学生に切りかかろうとした機体は動きを止め、それと同じくして飛び出してきたもう1機の学生機が、その機体にとどめを刺す。そこまではよかっただが。
「ぶつかっちまう」
急制動、スラスター全開で止まる、衝撃がひどい。
「うぐっ」
締め付けられ肺から空気が漏れる、体が投げ出されそうになる勢いだ。
「ナカイ隊長」
「だっ大丈夫だ」
『ナカイ騎士』
辺りを見渡す動きを止めてしまったために、俺の首をとろうとどんどんと敵が集まる。
「上からだって来てるんだが」
「ここで隊長を討てばどうにかなると思っているのでは」
「どうにもなんねえよ、武器は」
「予備のヒートスティックだします」
手持ちの札は手負いの学生2人に手負いのエセ騎士が1機、見る限りではそのどれもが武器をほぼ失い接近武器のみと来ている。
「両手あげたいんだが」
投降したいのだがムリだろう1兵士の時ならまだしも、名目上は伝説の騎士だ投降しても口封じかどこぞに幽閉か。
「幽閉がいいな」
「なにいってるんですか隊長」
トワに叱られる、まあ当たり前だろう投降したいエースって言うのはなんなんだろう。
「まあいい学生武器は」
『ヒートスティックだけです』
『私の方は動けません』
「ならコックピット内で待機してろ」
トワがいるので無茶をやり助けられるかもしれないが、それよりはまだコックピットの方が安全だろう。そんなやり取りをしている内に囲まれてしまう。
「切り抜けるのは無理だよなぁ」
「そうすると2人が、いえ確実にひとりは死にますよ」
「だよなぁ、まあ援軍も続々と来てるみたいだしできる限り耐えてみるとしますか」
そう言って武器を構えた。