映画館 sideN
はじめまして
他の作品を知ってる人はお久しぶりです
新作始めてみました色々と問題はあるかもしれませんが応援よろしくお願いします
今日は2話更新します
アラート音。
「ちっ敵のミサイルか」
『751どうしますか』
「お前たちは機械に照準を預けてミサイルを迎撃」
『752了解』
『753了解〜』
アラート音を遮るようにブースター音が響く。
「前に出すぎるなよ」
そう通信機に向け叫び、パイルガン、巨大な杭発射装置、を構え、ミサイルに向けて放つ。
「弾がもったいない」
弾は少なくすべては迎撃できない、なので最低限を迎撃していく。後は避けていく。
「宇宙空間ならこれくらい」
人型戦闘用特殊車輌、通称戦車、の背部ブースターをメインに機体の至るところに付いているブースターで機体を滑るように動かし、回避を続ける。
『避けきれっ』
「くそッバズーカ」
味方の戦車が爆発、爆発音が響く。
『隊長〜』
「先行する」
追尾をしてくるミサイルの中に、まっすぐに飛ぶバズーカが混ざり、避けることが難しくなる。
「これくらいは」
だがそれを気にせず、まるで何もないように切り抜け続ける。
「余裕だ」
そしてヘルメット越しに主役のイケメンの顔がアップで写った。
「ぶっ」
吹き出してしまう。
「ナインうるさいのじゃ」
「すいませんシルビア女王陛下」
ここはとある場所の映画館、騎士である俺ことナインはシルビア女王陛下の護衛任務中である。
「せっかくの英雄ナカイの映画が完成したのじゃ、静かに見るのじゃ」
英雄ナカイ、ここ王国では名誉騎士ナカイ、そいつの活躍が映画となったのだ。
「妾も関わってるから楽しみだったのじゃ」
彼の活躍としては、この世界における初の惑星間戦争に初期から関わり、その後この王国で当時王女だったシルビア女王陛下を救い、戻った母国で内戦に関わり、そして平和を作ろうとする民衆のために、軍を裏切り戦争を止めるために活躍した兵士である。だがその兵士に関しては、軍を裏切ったことで、敵前逃亡罪、内乱誘発罪等々が適用され、内戦が終わる直前に処刑されてしまっていた。その死から1年たった今彼の活躍が3部作として映画化される予定で、その内の完成した第1部をシルビア女王陛下が見たいとのことなので、初日に映画館を貸しきり観賞していると言うわけだ。
「関わっていると言っても第2部からでしょう」
「それでも楽しみなものは楽しみなのじゃ」
「そうなんですか」
映画を見る、イケメンな主人公ナカイがばっさばっさと敵機を倒していく。
「ナカイは強いのじゃ」
「そうですね」
映画館に爆発音が響く。音響にこだわっているのだろうが、騎士として宇宙で戦ったことがあるために、コックピット内の場面で音がするのに違和感を感じながら見ていた。この国で言う騎士とは、言わば大隊の隊長であり8つの騎士団がある。だが実質活動しているのは7つであり、8つめの騎士団は名誉騎士ナカイの部隊、要するに名目上の部隊だ。だが最近惑星を統一したことで兵士の数が足りず、それを解消するために俺が騎士を務める第9騎士団を設立した。設立したと言っても先月からなので兵士は一個小隊、戦車が3機に移動指揮車が1台、だけであり騎士団としての活動は簡単な護衛任務くらいであった。
「おお映像が変わったのじゃ」
映画がフィクションではなく実際の戦闘記録に変わる。この場面だけは静かに一方的に敵をぼこぼこにしていた。ぼこぼこにしているのがナカイである。そうパンフレットに書かれていた。
「で実際にはどっちがナカイなのじゃ」
「どっちがってどうしてそれを」
「本人に聞くのが1番早いのじゃ」
「………………………本人は死んでますよ」
「建前じゃがな」
「………………はぁ後で宰相とメイド長に報告しとくからな、それで質問の回答としてはぼこぼこにされてる方だ」
「ううっ兄上とメイド長の報告するのは止めて欲しいのじゃ」
「………それでこの映画館への護衛任務をつけたのは何でなんだよシルビア」
敬意もないため口に変える。シルビア女王がナカイと呼んだのだ、騎士としてのナインではなく、一兵士としてのナカイと対応する。
「ナカイはそっちの口調の方が落ち着くのじゃ。それでな、ナインとして王立軍事学校の教師として赴任するのじゃ」
「はぁ」
そこまで言うと映画が終わる。
「詳しいことは兄上に聞くのじゃナイン」
「はっ了解しました」
宰相に話を聞くべきだと判断して、顔を隠すためのマスクをつけ、騎士の象徴である剣を腰に下げる。
「それじゃあ護衛頼んだのじゃ」
「はっ了解しました、シルビア女王陛下」
これが教師となる1ヵ月前の出来事であった。