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音精の加護  作者: こう
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山で迷い込みました

ぼちぼち書いていきます。ストックはありません…。

「雪人、お前に山一つやろうと思うんやが。」

「ええん?くれはるなら喜んで貰うけど。」

「まぁ、ほっといても荒れるだけやし、植わってる木も二束三文やしなぁ。好きにしぃ。」


 田坂雪人は24歳になった日、祖父から山を一つ生前相続した。特に資産価値が高くは無いが、山菜が採れ、猪や鹿も居る。

 自分の好きに出来る場所は良いものだ。雪人は山や自然に敬意を払いつつ、週末には山に通った。

 車は山の2割位までしか入れない。そこから30分ほど登った、開けた場所に趣味の空間を広げていった。

 沢水を引き、濾過槽を作り、飲み水を確保したり、テントを張りやすい東屋のようなものを建てたり、かまどを作って煮炊きしたり。山菜にとどまらず、知人に師事し、罠猟師の資格を得て、猪や鹿も捕った。

 両親は山通いを余り良くは思わなかったが、四季折々の山の幸で説得した。


 採取に並ぶ雪人の大切な場所は弓を練習出来る安土、つまり的を付ける為の盛り土だ。屋根等は無く、幅も何とか的を二つ付けられる程度だ。

 大学生活6年の間、一時期は弓に心奪われ、進級が危うい事も有ったが、今は折り合いがついている。

 20射18中位で、先生方には射形も中々良いと言われている。

 ちなみに矢を動物に向けた事は無い。法律に障るし、彼の中では修養の為の、ある意味、神具だと思っているからだ。

 また矢も高い。ジュラルミンのシャフトで、一番安い矢羽のものでも6本で一万円以上する。これで狩猟しようとするのは、中々奇特な方だろう。


 山を相続して5年目の盛夏、本人は弦音(つるね)を気にしている。弦音とは矢が弓から発射される時に鳴る音だ。

 正しく行射されれば、的に(あた)るし、その弦音も冴え、えもいわれぬ余韻を残す。

 日曜の午前中、ゆっくり40射かけた。

「まぁ、こんなもんかな。最後の一射は良い出来やったし、ぼちぼち帰る準備せななぁ…。」 


 荷物をまとめ、下山する途中にわかにバケツをひっくり返したような雨が降り出した。

「しもたぁ、傘置いてきた。弓は弓合羽に入ってるけど、全身ずぶ濡れで車乗るんはかなんしな。」

 辺りを見回すと少し登った斜面に立って入れそうな洞が口を開けていた。

「あんなん有ったっけ?まあええ、過ぎるまであそこにおらして貰おか。」


 洞窟の中は雨は入って来ない。タオルを出して全身をさっと拭き、懐中電灯を取り出すべく更に荷物を探る。途中で合羽を見つけたがそれを着て外に出る様子は無い。

 やはり探検するつもりらしい。

 洞窟は人工的に感じるほど一定の高さで、やや登りながら奥に続いている。

 奥に行くにつれ、外で感じて居た湿気は薄れ、静謐さを感じさせる。まるで参道やなと雪人は思った。


 5分か10分か、時間が判らなくなりそうな一定した見掛けの道を進むと明るくなり、開けた場所にでた。

 大人2人が手を繋いで何とか抱えられそうな石の円柱が約3mおきに円形に立ち並び、上から光が差し込む。

 ぞくりとするほどの神々しさを感じる場所だった。

 不意に柱の陰から人影が現れる。

 緩くウェーブの掛かった茶色の髪、真っ青な目、ゆったりした空色の衣、年上にも下にも見える。女性らしい綺麗な人だ。

 雪人は山の中でこんな場所が、こんな人が居るはずが無い事は理解していたが、洞窟を進み始めた時から常ならざる事が起きる予感もあり、どこか納得していた。


「ほう、かような所に人間が来るとはのぅ」

落ち着いた大人の女の人の声だ。ビオラのように耳に心地よく響く。

「お姉さん、すんません、此処は竜宮か何処かなんやろか?」

雪人が声を掛けると、驚いたような返事が返って来た。

「そなた、わらわが見えるのかえ?」

「何か古風で異国風で…、よう見たら透けてはるけど…?」

「透けっ、て、え?見、見たのかえ?…なれば責任をとって貰おうぞ!」

胸を隠し、上目遣いの彼女を見て雪人が可愛いと思ったのも束の間、彼女は既に目の前に迫り、首に手を回されている。

「え、ちょっと待って、見たって、着物は透けてへんよ?って、うぐっ!?」

雪人は口づけられているが力が抜けて行くようで、抵抗出来ない。抵抗したくも無いが正しいのかも知れないが。


 暫くして解放された雪人は力無く床にへたりこんだ。女性は淡く光り、徐々に実体を持っていく。あぐらをかいている雪人の右腿に座り、再び首に手を回す。

「何とわらわを実体にするほどとはのぅ!」

 嬉々としてどこか妖艶に微笑む。

「てゆうか、お姉さんはどちらさん?お名前聞いてもええ…?」

 女性は妖艶な笑みを消し真正面な顔で問い返す。

「我を求む者よ、汝の名を明かせ。」

ぼうっとした頭のまま雪人は答え続ける。

「僕は田坂雪人や。」

「真名明かせし者よ、音統べる我は汝に名を賜らん。」

「名前付けぇて事?…ほなハーモニアさん。」

「契約は成された。我が名はハーモニア。汝が命有る限り我は共に在らん…。よろしくの、主殿?」

「あるじ…て?」

不意に抱き着かれ、イロイロと限界の雪人はバタリと後ろに倒れ込んだ。


 無理矢理契約されたのは、最上級の音精さんでした


駄文ですが、続けてみたく思います…。お目汚しすみません。

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