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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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マリベルの初仕事のお話です。2話予定です。

 マリベルが聖女になって初めての大きなお仕事は、来月の頭に控えている元聖女様と王弟である公爵様との結婚式だった。

 もちろん日々の祈りや防護壁の点検等は通常業務なので、当たり前なのだが、この国の正式な結婚には女神様の代理人である神官の立ち会いは欠かせない。

 大貴族であれば大神官が立ち会うが、王族ともなれば聖女が立ち会うこともある。ましてや前聖女様の結婚なのだ。マリベルは聖女様から立ち会いをお願いされた時は、あまりの大役に震えがきたが、それと同時にとても嬉しかった。


 前聖女様は元々は地方の小さな男爵の令嬢だったのだそうだ。

 病気がちの父親と身体の弱い母親を助け、日々、家族の健康を女神様に祈る毎日だったそうだ。

 

 しかしお兄様が学院に上がったのを機に、お父上の男爵位を狙う弟の叔父が聖女様の家族に嫌がらせをするようになり、聖女様はお兄様が戻るまで、男爵家を守らなければと必死になって毎日、女神様に祈ったそうだ。

 3年が経ち、やっとお兄様が男爵家に戻って来ると思っていた、そんなある日、聖女様が神殿で祈っている最中に疲れ果てて居眠りをしてしまった。その時に夢の中に女神様が現れて「王都に行って聖女を目指しなさい」と言われたのだそうだ。


 聖女様は驚いて神官様に夢の内容を伝えたが、神官様は、

 「確かに現聖女様の交代が近々あるが、既に候補は出揃っていると聞いているので、その夢は間違いなのではないか?」と仰ったそうだ。

 聖女様もただ自分に都合の良い夢を見ただけなんだと納得し、その日は帰宅をしたそうだ。

 しかし3日後、女神様が神官様に、

 「男爵令嬢を連れて王都に向い、聖女候補に加えなさい」

と夢でお告げをしたのだそうだ。

 

 神官様は慌てて大神殿に連絡をやり、聖女様を連れて王都に向かったそうだ。大神殿に到着した時、まだ聖女教育は始まる前だったが、聖女候補はすでに6名揃っており、男爵令嬢ということもあって「侍女の間違えではないのか?」と騒ぎになったが、その時、聖女候補の1人にあり得ないことが起こった。


 何と親に反対されていた結婚が許されたのだという。

 候補の伯爵令嬢は学院で出会った男爵令息と恋に落ちたが、田舎の貧乏貴族で両親に反対されていたのだが、どういう訳か急遽、結婚が許されたのだそうだ。

 

 そうして聖女様は空いた聖女候補の枠に無事に入ることができた。伯爵令嬢は聖女候補になる為に学院を中退していたが、そのまま愛しい男爵令息の元に嫁いで行ったのだという。

 そして、なんとその男爵令息とは聖女様のお兄様だったのだそうだ。伯爵令嬢の妻をもらったお兄様は奥様の実家の協力もあり、無事に男爵位を狙う叔父を撃退し、ご両親を助け領地を盛り上げてらっしゃるらしい。


 「なんてなんて素敵な身の上話なの!」うちの両親の恋愛話の何倍も素敵な話ではないか。

 マリベルは聖女様のお話を聞きながら途中で涙も鼻水も止まらなかった。しかも、その後、王弟殿下に見染められて結婚するのだ。 

 まさにサクセスストーリーではないか!


 マリベルはこの話だけで今後10年は泣けるだろうと思ったくらいだ。自分が聖女様の幸せのお手伝いをできるなんて、こんなに嬉しいことはないと感じたのだった。

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