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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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アイリーンちゃんとベルトルト兄のお話です。2話予定です。

 アイリーンは、今、マリベルの兄ベルトルトと対面していた。

 会うのは2回目だが、今回は結婚前提の対面である。一見、見合いのようでもあるが、結婚はほぼ決定のようなものだ。

 なんせ彼の場合、王太子の命令でもあり、アイリーンと結婚することで伯爵位が得られるようなものだからだ。


 彼は断れない結婚のことをどう思っているのだろうか?

 アイリーンはもちろん望んでいるが、彼が嫌々だったりしたら、ちょっとどころかかなり凹むな〜と思って王太子宮の庭園にいる。

 

 この場所は王太子の侍従をしている彼の仕事に配慮して決まった場所だ。アイリーンも王太子の元婚約者候補だったから何度も来たことがある。

 彼は今日はお休みらしいから、別に他の場所でも良かったのだけど、まだお互いにデートをするような感じでもない。でも庭園は春の花が満開で、さすが王太子の住まいだ。とても美しい。

 

 そして彼もとても美しい。背景の花々とマッチして本当に妖精のようだった。淡い金の髪がキラキラしてエメラルドグリーンの瞳と風景が、まるで一枚の名画のようにアイリーンの目の前にあった。


 「本当に眼福!」アイリーンは呟く。先程、挨拶は終えてお互い席に着いている。ただアイリーンはひたすら彼の美しさを堪能するしかしてなかった。

 彼はお茶をサッと淹れてくれる。普段、殿下にも淹れているのだろう。所作も美しく洗練されている。

 お茶も美味しい。あれ?でも今日は彼が淹れなくても、ここには他の侍女もいるし、アイリーンも侍女を連れて来ている。って、全員彼に見惚れていて動きを止めている。なんてこった!と思ったその時、彼が口を開いた。

 「あの、アイリーン嬢は僕との結婚…本当に大丈夫なんですか?」って。

 「ええっ?」っと思っていると彼は申し訳なさそうに、

 「だって、令嬢は侯爵令嬢で、聖女候補でらしたし、殿下の婚約者候補でもあったし…僕はただの子爵家出身で」

 「迷惑ってことですか?」アイリーンがしょんぼりして聞くと、

 「えっいやとんでもない!僕が殿下の侍従を続ける為にアイリーン嬢が結婚を無理強いされたのじゃないかと思って」

と慌てて言ってきた。


 わあ、この人、何にも聞かされていないんだ。別に何かある訳ではないけど、ただ従姉妹のマレシアナの計らいで整った結婚ではある。


 アイリーンの父はマレシアナの母の弟だった。王太子殿下の婚約者候補を募るにあたり、アイリーンも候補として加わるようにと姉から指示が来たと聞いた。

 婚約者はほぼマレシアナに決定しているというのに何故アイリーンが?

 決まっている。他の有力な婚約者候補を牽制する役目だ。他にも傘下の令嬢達が集められていた。


 初めての婚約者候補達が集まったお茶会には、名だたる家門の令嬢が我こそはと参加していた。しかし、

 「可哀想に皆。婚約者はマレシアナに決まっている出来レースなのに」

とアイリーンは周囲を見渡しながら思った。

 

 案の定、茶会に現れた殿下はマレシアナしか見ていなかった。

 自分が出て行かなくても大丈夫じゃん?って思うほど、それだけでどんどん候補者は減っていった。

 でも中には強かな令嬢もいて頑張って殿下の目に止まろうとしていた。

 そんな時にアイリーン達が出て行って令嬢達にそれとなく候補を降りるように仕向けるのだ。

 最初はソフィーナもその類いの令嬢だと思っていた。なんせ彼女の父親は強突く張りで有名だったからだ。

 さすがにソフィーナの相手は傘下の令嬢には厳しいだろう。

 「公爵令嬢か〜。ふう。さすがに荷が重い」

でも行かないといけない。アイリーンは思い切って声を掛ける。

 

 ソフィーナはアイリーンが思っていたような令嬢とは全く違っていた。よく考えたら彼女は最初から殿下に対して消極的だった。

 常に凛として美しく佇んでいて、どちらかといえば他の令嬢達と交流を図っているようにも見えた。

 最初はそれが勢力作りかとも思われたが、そうでも無かった。ソフィーナはちゃんとマレシアナの事を認識していて、あの父親のせいで候補を降りることが許されないのだと分かったのだ。


 “何だ父親に強制されている自分と同じじゃん”

 

 候補者がソフィーナと数名になったところで傘下の令嬢達は候補を降りることを許された。

 しかし自分はソフィーナが降りるまでは許されないと言われた。

 

 アイリーンは反発してマレシアナに直接掛け合った。自分の事だけじゃなくソフィーナの事も。賢い従姉妹は、

 「ゴメンね。分かっているわ」とそう言った。

 「でも逆に変な婚約者を充てがわれるよりは、あと1年ここに居なさい。そしてソフィーナにもそう伝えて」と。


 私達は王太子妃の教育を少しずつ受けながらも、お互い似たもの同士として一緒にいた。

 そしてソフィーナは殿下の護衛のライオット卿に恋をしていることが分かった。私は時々マレシアナに

 「殿下はタイプじゃない。もっと繊細な雰囲気の人がいいなー私がこんなだからさ」ってよく話していた。

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