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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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ライオットとソフィーナのお話です。3話程の予定です。

 ライオットはよく脳筋と言われるが、自分では動く前にはきちんと考えるし、周囲の意見も聞くし、殿下の周辺には特に慎重だ。ただ人の裏を取ったり、根回しのような細かい芸当があまり得意ではない(父と違って)だけだと思っている。


 恋愛に関しては、家でも学校でも職場でも男ばかりの環境で生きてきたので、単に縁が無かったのだと思っていた。

 両親は「好きにしろ、だが、いつかは結婚しろ」のスタンスで25歳を過ぎてもうるさく言うことはなかった。


 従兄弟のベル達を可愛がるのは、例えが悪いがペットに近い感覚があったんだと思う。

 なんせ綺麗な子達なのだ。現実離れしていて、どこか同じ人間とは思えないところもあったのかもしれない。周囲が言う「妖精」はあながち間違っていないと感じていた。


 王太子の幼馴染みの令嬢に「ソフィーナのこと、どう思う?」と一度聞かれた事がある。


 殿下の婚約者候補であったが、「自分にも懐いてくれている可愛い女の子」と返したと思う。なんせ彼女は当時13歳くらいだ。殿下は主人だが彼女が従兄弟達と同じ枠内なのは当然だろう。


 令嬢が「私が殿下の婚約者に正式に決まったら、彼女はきっと良からぬ権力者に嫁がされると思うわ」と言った。確かに彼女の父親は権力思考の強い公爵家当主だった。

 だが今、殿下の側に侍っている彼女の兄はナヨっとした頼りなさそうな令息だ。よっぽど妹が公爵家を継いだ方がマシだろうがと思ったので「どうだろうな」と返事をしておいた。

 父や弟ならまだしも自分は裏から手を回して何かをすることに向いていない。それに他家の話だし口を出すものではないだろうと思ったからだ。


 それから1年後に幼馴染みの令嬢が正式に婚約者として決まり、ソフィーナ嬢の事は心配していたが、それから更に1年後に彼女が聖女候補として神殿に入ったと聞いて少し安心した。

 侍女として神殿にいるマリベルからの手紙にも、他の候補や侍女、ソフィーナ嬢とも仲良くしているとあり、良かったなと思っていた。


 彼女達が神殿入りしてから1年と少し経った頃、アドリアンからのいつもの手紙に気になる内容が書かれていた。タイミングを同じくして殿下の婚約者令嬢から、

 「そろそろ結婚の意思はないの?」と聞かれた。

 俺は「相手もまだいないのにな〜」と濁したら、令嬢は単刀直入に「ソフィーナはどうか?」と聞いてきた。


 アドリアンの手紙と令嬢の結婚の打診、俺は何かピンときた。

ソフィーナ嬢は16歳だ。聖女候補を降りる頃には17歳になる。もうあの頃の子供ではないだろう。


 更に数ヶ月後、アドリアンからの手紙に覚悟を決めて、侯爵の父親の元を訪ねると、父も俺を待っていたようだった。

 「やっと結婚する気になったか?ベル達のせいでお前が結婚相手のハードルを上げているのは知っていたが、元王太子妃候補で聖女候補だった彼女なら十分じゃないか?」と言った。


 「親父にはお見通しだった訳か。だが別に結婚相手のハードルを上げてたつもりはなかったのだが」と父に言うと「お前、自覚無しか」と言われた。


 殿下の婚約者令嬢にも結婚の意思を報告すると

 「やっとね。安心したわ」と言った。

 俺は別に結婚に興味が無かった訳じゃないのだけど、縁が無かっただけだと伝えたら、令嬢が、

 「あなた従姉妹以外の女性は、皆、案山子だと思ってたんじゃないの?」と言われた。

 それが王城内の独身女性の一致した見解だったそうだ。

 “ベルが基準なら無理だ” と。


 俺は冬に入って直ぐにソフィーナ嬢の実家の公爵家に挨拶に行った。

 親父のヤツ「もう婚約の書類は完成しているぞ」って手順が逆だろう!!

 公爵家に着くと、公爵本人が迎えてくれた。「よく来たねぇ」って。俺は「遅いだろ」と怒られると思っていたのだが。

 それにこの人、以前会った時より毒気が抜かれてんな。

 

 俺は柄にもなく緊張していたのか「お義父さんって呼んでいいですか?」なんて、間抜けな第一声を言ってしまった。

だって結婚の挨拶なんて、何を言えばいいのか分からなかったし。

 

 だから脳筋って言われるのか?

リリベルの話は長くなりそうでしたので、新規のお話で投稿しました。読んで頂けると幸いです。

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