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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 聖女様からの引き継ぎが終わり、春の盛りにマリベルの聖女としてのお披露目が大神殿で行われることになった。


 “侍女から聖女に選ばれた”と、その知らせは国中を駆け巡り、マリベルのお披露目には想像以上の人々が集まるだろうと予想されていた。その為、可能な限りの聖騎士達が王都に集められ、王城にも治安維持の騎士の要請がされた。


 何より貴族中にも“天使と妖精の娘”が聖女になったと情報が広まっている。それもあって国中が上も下も巻き込んで大騒ぎとなっていた。

 そんなことも知らないのは相変わらず世情に疎いマリベルぐらいだった。


「義母上、本当に一緒に王都には行かれないのですか?侯爵家から長距離用の馬車を出してくれるそうですよ」ベルモントが声を掛ける。

「私はここで爺様とお祝いして女神様に感謝の祈りを捧げるから、あなた達だけで行ってらっしゃい。あ、マリィの聖女の絵姿が売っていたらお土産に買って来てちょうだい」と言って義母は義父が世話をしている菜園に向かって行ってしまった。

 

 我が家はもう両親以外は私とベル、リリベルの3人しかいない。ベルナルドとは侯爵家で会えるだろう。

 我々はマリベルのお披露目に合わせて20年ぶりに王都へ向かうことになった。お披露目の神殿広場には席は無いが、大ホールで行われる聖女の継承式には親族席がある。

 王族と公、侯爵、親族のみ席が用意され、あとは立ち見だがそれでも伯爵位から埋まっていく。今年は特に席が足りないと噂だ。


 子爵領から王都まで侯爵家の馬車を使っても一週間はかかる。下位貴族にしては近い方だ。子爵家には王都に別邸は無いから侯爵家に世話になる。王都と同じくらい久しぶりの実家だ。

 そう思っていると「久しぶりの王都ね」と横に座るクララベルが言った。

 

 王都まであと半日という距離に来ている。今日は泊まるより夜通し駆け抜ける方が早いだろうと侯爵家の優秀な御者が言うので夜の道を進んでいるが、もうこの辺りからは道も舗装され揺れも少ない。

 ただ王都周辺に馬車が集まって来ているので、この時間でも渋滞が始まるかもしれないと御者が心配している。

 向かいに座るリリベルは初めての長旅に疲れ切って座席を1列使い眠っている。起きるまでに侯爵邸に着くといいが。

 

 少し遅れたが「そう王都は久しぶりだね」と僕はクララベルに返事を返す。

 

 マリベルの聖女の継承式とお披露目への参加が目的の上京だが、子爵家の我々に対して、すでに茶会や舞踏会の誘いが山程来ている。

 マリベルの聖女効果なのか、今だに僕達に興味があるのか、その両方か、どう断ろうか理由を考えている。

 「子爵様、まだ渋滞は大丈夫です。あと侯爵邸まで3時間程で着きそうです」御者が知らせてくれる。

 「ありがとう」と言って自分も一眠りすることにする。

理由はどうでもいいか。どうせ長兄が上手く断ってくれるだろう。

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