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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 ベルトルトはララベルの気持ちも考える。華やかな王都に出て来て少し浮かれたんだろう。それに殿下や高位貴族達にも気に入られて、きっと嬉しかったに違いない。

 何より彼女は両親のように学院で恋愛することに憧れていた。


 それ以来、僕が殿下の側にいることもあり、ララベルもどんどん殿下達の中に加わることが増えてきた。

 殿下も嬉しそうにされているので、止める側近も少しずついなくなっていった。ただ婚約者の令嬢だけが、またかという顔をされ、その状況を静観なさっていた。

 僕は多分、この状況は良くないに違いないと思っていたが、何もできずに1年が過ぎた。


 僕と殿下が最高学年に上がって1ヶ月経った頃、マリベルから侯爵家の名前で手紙が来た。マリベルは学院に進学せず、聖女様の侍女になるため神殿に入っていた。

 マリベルが学院に入ってくれていたら一緒にララベルを止める手立てを考えてくれたかもしれないのに。あの子は兄妹の中で一番しっかりしているからな。

 ああ、だから進学ではなく聖女の侍女を選んだのだろうな。家のためなのだろうと思う。あの子は家族のためなら躊躇なく自分を犠牲にする子だ。

 

 手紙を読むと、お前は何をやってるんだ!体を張って姉を止めろ。子爵家を没落させる気か?と心配と怒りの内容だった。

 神殿のマリベルにまで、この状況が伝わっているのか。僕はマリベルに頼ろうとしていたこれまでの気持ちや、心配をかけていることを激しく悔いた。

 マリベルが心配せずに侍女の仕事に集中できるようにしてやらねば。僕は同室の男爵令息の協力を得て、今後のマリベルからの手紙は彼宛にするよう返事をした。

 

 そして僕は殿下の婚約者の令嬢の所に飛んでいった。令嬢は最近、殿下の側でなく学院内の高位貴族専用のサロンで過ごされていた。多分、妹や妹に惚れ込んでいる側近たちを見ていたくないのだろう。

 子爵家の僕では通してもらえるか分からないが何かしなくてはと気持ちが急く。令嬢なら何か策をお持ちかもしれない。


 サロンの扉をノックすると令嬢の友人の伯爵令嬢が出てくる「マレシアナ様は今、あなたの顔を見たいかしらね?」と嫌味を言われるが「妹をどうにかしたいので力をお借りしたいんです」と言うと「あなた、マレシアナ様に動けと仰るの?」と。

 めちゃくちゃ怖い。でも「僕の妹だから僕がどうにかしないと」と言うと「入りなさい」と公爵令嬢の声が聞こえた。

 

 僕は不満そうな伯爵令嬢にサロンに通してもらう。公爵令嬢は窓辺の椅子に腰掛けて外を見ていた。

 僕が何か話そうとした時「ねぇ。もう手を打ったわ。あとは待つだけだけど、あなたは邪魔をしないでねぇ」と外を見たまま仰った。

「何か僕ができることは…」さすが、将来、王妃になる人だ後姿だけでも迫力が凄い。

「そうねぇ。これから臨時の教師が来るから、あなたはその人と妹の接点をまず作りなさい。そして2人の仲を取り持つのよ。あいつらが来ても徹底的に邪魔をして!殿下にも妹と教師が良い仲だと吹き込むのよ。やれるかしら?」令嬢はこちらを振り返り、僕を見て言う。

 あいつらとは妹と仲の良い側近達だろう。「やります!!」僕は妹を陥れる覚悟を決めた。


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