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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 学院の寮は二人部屋で、僕の同室者は男爵家の令息だった。

 僕は彼といる時の方が気が安まるので、彼が同室で本当に良かったと思う。


 彼は最初、僕に会った時「えっ高位貴族?どうして僕と?」って勘違いしていたけど、僕が子爵家出身だと聞いて安心していた。

 それからはクラスが違っていても仲が良い。

 僕が学院内で殿下方と一緒にいることについては、ひどく同情してくれている。


 夏を過ぎた辺りに、殿下にそれとなく「僕のような下位貴族を側に置かれなくても良いのではありませんか?」とお聞きしてみたが、殿下は「君は私といた方がいいと思う」と仰った。


 僕はその言葉の意味がよく分からなかったが、婚約者の令嬢も隣で頷いておられたので、そうなのかと思って、これからも殿下から言われるまではお側にいようと思った。

 その頃には殿下のお側にいることにも随分慣れてしまっていた。


 寮の部屋で同室の令息に「殿下のお言葉はどういう意味だろう?」と相談してみたら「そりゃあ、殿下の側は目立つだろうけど一番安全だろう?」とそう言われた。

 僕が首を傾げていると「ほらっそういうところだよ!全く無自覚だな。殿下は君を守って下さっているんだよ」とそう言った。


 殿下には学院の中まで護衛騎士は付かないが、代わりに腕の立つ騎士の家の令息が付いている。

 彼の父君は現在、陛下の警護にあたる近衛騎士をしているそうで、自分も将来は殿下の近衛騎士になりたかったが、殿下の学院生活のために自分は騎士学校には進まず、学院に入学したのだと言っていた。


 騎士になるためには騎士学校を卒業していることが、この国では必須だ。代わりに護衛もできる侍従に取り立てが決まっているからいいんだと教えてくれた。

「それに殿下が幼い頃から護衛を任されているライオット卿には敵わないしな」と言っていた。

 

 ライオット卿は、僕の年の離れた従兄弟だった。

 いつも馬車で殿下の送り迎えに来ている。

 僕は寮だけど、殿下が帰る時は馬車乗り場まで、いつも側近の皆とお見送りをしていて、ライオット卿とは頻繁に会う。


 ライオット卿はいつも僕にも声を掛けてくれる。

「やあ緑色のベル、今日もご苦労だな」と。

 時には子供の頃と同じように、頭をワシャワシャされる。

 だけど殿下は分かってらっしゃらないのか「ハハハッ、ベルは皆に可愛がられるな」って言ってる。


 ライオット卿が僕のことを言っていないなら、敢えて殿下に言う必要はないか…でもその緑色って、毎回何なのだろうか?

 多分、瞳の色なんだろうと想像はつくけど。

 それに僕達の子爵家、祖父母以外は全員名前にベルが付く。

 だから色分けしているのだろうか?

 水色と緑色の2択なのに。

 

 殿下を見送った後、僕は騎士の家の令息といつも寮に戻る。

 本当は彼の家は王都にあるので寮に住まなくてもいいのだが「登校される殿下をお迎えに上がるには寮が便利だろ?」って言って笑っていた。

 確かに寮は学院の敷地内だから便利だけど、僕は知っている。

 殿下を迎える前、殿下をお見送りした後、彼は鍛錬を欠かしたことがない。

 きっと時間を惜しんで、騎士でなくとも自分を鍛えているんだ。

 

 殿下の為には色々頑張っている人が多いのだと学ぶ。

 時には自分の人生を犠牲のようにして王族を支えるのだ。

 僕は将来はまだ何も決めていないけど、頑張らないといけないなと思うのだった。

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― 新着の感想 ―
そりゃあ、綺麗な新入生男子を集団で手籠めにする高学年男子ってのは、毎年では無いけれど定期的に一定数現れるからね。 特に寄宿舎は。 そんな可能性がある者は保護しないと
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