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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 3つ目は侯爵令嬢のビアンカの件だ。彼女の父は外務大臣だ。外交は王太子と自分にとって重要なポジションでもある。外務大臣はエリオットの上司で彼の外交手腕を高く買っている。もしビアンカがエリオットと婚姻したなら、元々ビアンカが侯爵家の後継として教育を受けていたのだ。再度、後継の座がビアンカに戻ってくるに違いない。


「侯爵家三男のエリオット様にはビアンカ令嬢と婚姻していただいて侯爵家の後継に入って欲しい」と告げる。


 継母は自分の息子のためにビアンカを排除しようと良からぬ縁談を企む女狐だ。それに継母の息子は甘やかされて我が儘だという評判だ。ビアンカとエリオットの2人であれば上手く継母と息子の2人をやり込めることができるだろう。


 侯爵は「侯爵令嬢も聖女の座には未練無しか?」と聞いてくる。

マレシアナはビアンカも継母から逃れる為の聖女候補だと伝える。

「エリオットは今、滞在国の姫君に秋波を送られているようだが。エリオットには王族との婚姻の方がメリットではないか?」まるで、他国の情勢を知っているか確認する王妃教育の問答のようだ。


「彼の国の姫君にはすでに決まった婚約者がおられると存じます。破棄できるような方ではなかったかと」姫君の婚約者は更に隣国の王族だ。国家間の婚約破棄は国の信頼に値する。

 まあ王族と言っても王位から遠い王族だ。エリオットが本気になれば、どうとでもできそうだが。


 侯爵は真剣にマレシアナの提案を検討しているように見える。

そして「子爵家はどうやって伯爵家になる?」と聞いてきた。


 4つ目は従姉妹のアイリーンの為だ。アイリーンは王太子は好みではないと言っていた。

 彼女の好みは美しくも儚い男性だ。つまり侯爵の甥の子爵令息がそれに当てはまる。彼は殿下のお気に入りでもある。彼は美しいが、それを鼻にかけず謙虚で真面目だ。自分も好感を持っている。

 彼は将来、王太子の侍従になるだろう。ただし王族と縁戚でもある侯爵令嬢のアイリーンが嫁ぐには子爵家では弱い。

 そこで王太子の侍従という地位と妹が聖女になった家として子爵家を伯爵に陞爵しようという話だ。これは自分が王妃にかけ合えば王妃の権限で叶うだろう。陛下も了承して下さるはずだ。


 ここで侯爵は初めて目を見開き反応する。そこか!とマレシアナは少し呆れる。

 侯爵は独り言のように「子爵家のままの方が目立たず良いが…」と呟く。

 しかし徐ろに「令嬢はマリベルが聖女になるとお考えか?彼女は侍女だが?」と聞いてきた。


「聖女様は人が決めるのではなく女神様がお決めになるのです。彼女の信仰心は聖女候補も敵わないと聞いておりますよ」2人の聖女候補からの情報以外にも、大神官に公爵家所縁の者がいる。それらの情報を集約するなら誰が聖女になるのか今の段階でも容易に判断できる。

前例は無いが。


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