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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 公爵令嬢マレシアナは王太子殿下とは産まれた時から一緒に育った幼馴染だった。隣国から頼れる知り合いもなく15歳で王家に嫁いで来た王女様に、友達として力になってあげて欲しいと王妃様から当時の母に依頼があったのだ。それ故、母は王太子妃となられた王女殿下と早くから友達として付き合いがあった。


 母は子供ができない間も王太子妃様に寄り添い、王太子妃様が妊娠した時も、同時期に母が私を妊娠したこともあって、益々、仲を深めていた。

 王太子妃様の子が王子で、母の子が娘であったことから、内々に婚約したようなものだった。だから私は殿下が3歳になる頃から一緒に王族の教育を受けることになった。

 私達は厳しい王族の教育を2人で励まし合い、共に助け合いながら乗り越えてきた同志でもあった。


 陛下、当時の王太子様には側妃様との間に第一王子殿下がいた。良いとも悪いとも噂の聞かない王子だったが、彼が次の王太子になったとしても、私は殿下を選び生涯お支えしようと思っていた。

 王太子様が国王に即位したと同時に王太子妃様がお産みになった私の殿下が王太子に立太子した。それと同時に王太子殿下の婚約者を決めるための候補者が集められた。

 私がいるのになぜそんな事をするのか?いくつかの貴族の家がうるさくて殿下に他の令嬢も会わせて決めるよう言ってきたのだそうだ。すでに王族の教育を受けている私に敵うはずもないのに。


 実際に殿下は私を優先して下さり、どんどん候補者が減っていった。従姉妹のアイリーンも「私では実力が足りないし、お姉様の殿下を奪いたくないです。それに殿下はあまり好みではないです」と言って早めに候補を降りた。

 しかし公爵家のソフィーナはなかなか手強かった。2歳年下とはいえ彼女は美しく賢く十分に王妃の素質を持っていた。更に性格も良く、私の存在を知っていながら家のために退けない様子を見せていた。


 だが彼女はしばらくすると殿下ではなく、殿下を警護する近衛騎士を見るようになっていた。彼は10歳以上も歳上だったが面倒見が良く、侯爵家出身ということもあってか私達にも物怖じせず、殿下も私も兄のように慕っていた騎士だった。


 彼はよく、たまにしか会えない親戚の歳の離れた従姉妹達が可愛くて仕方ないのだと言っていた。だから私達の事も同じように見ていたのだと思うけれど、だったらそれにソフィーナを加えてもいいのではないか?ソフィーナもその内、好意を隠すことなく彼に接するようになった。彼女の場合は恋だったが。


 だが彼女の家の公爵家は能力も無いクセに権力指向ばかり強い当主の家だった。だから侯爵家とはいえ次男の彼との婚姻は難しいと思えた。可哀想なソフィーナ。

 きっと殿下との婚姻がまとまらなければ、どこか良からぬ権力者に嫁がされるのだろう。どうにかならないものかと私はずっと思案していた。


 私と殿下が学院に進学した頃、聖女様の交代の話を耳にした。

聖女になれば8年は結婚できない。当時22歳になったばかりの王弟とは違う。ライオットとの婚姻は叶えてあげられそうもないが、望まぬ結婚は避けることができるかもしれない。私はソフィーナに聖女候補の話を持っていった。

彼女ほどの才女ならば絶対に聖女に選ばれるだろう。


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