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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 アドリアンは伯爵家の次男として産まれた。兄は普通に優秀で後継者は兄に決まっていた。そのためアドリアンの将来は騎士になるか王宮の文官になるか他の貴族に婿入りするか、自分で何か事業を興すかだった。


 アドリアンはそこそこ優秀だったし外見もまあまあだった。婿入りの打診も結構あったようだ。しかし両親は彼の選択に任せると言ってくれたので、彼は迷わず騎士になることを決めた。

 アドリアンは運動神経もいいし、貴族のしがらみも面倒だ。何よりデスクワークとか文官は自分には向かないだろうと思った。


 アドリアンの父には侯爵家に嫁いだ姉がいて、祖父母の話によると、なかなか争奪戦の激しい相手だったようだが、伯母が自ら勝ち取り結婚したと誇らしげに言っていた。

 父に言わせると「姉は趣味が悪い。俺はヤツに近寄りたくない」が本音らしい。そのお陰であまり親戚付き合いがなかったが、俺が騎士学校に進学する時に侯爵家の同じ歳の従兄弟も騎士学校に進むと聞いた。


 騎士学校で出会った俺の従兄弟ライオットは侯爵令息のクセに誰にでも気さくで明るい快活な男だった。成績も優秀でいつも学校では中心的な存在だった。

 俺も頑張ってはいたが、いつも次席でライオットには敵わなかった。だが不思議とライオットが憎いとか蹴落としてやりたいとか、そんなことを思うことはなかった。多分ライオットのさっぱりとした憎めない性格のせいだろうと思った。


 侯爵家は俺たち伯爵家とはあまり親交は無かったものの、侯爵の末の弟の子爵家とはかなり深く親交があったようで、ライオットは時々、年下の従姉妹たちが、それはそれは可愛いのだと言っていた。5人もいる従姉妹達にも驚いたが、ライオットの語る「水色のベル達が特に可愛い」と目尻を下げる姿には驚きを隠せなかった。

 

 後に子爵家は妖精一家として筆頭侯爵家が徹底して守っているのだと聞いた。父に言わせると「おかしな奴らだ。姉も」と言うことらしい。


 最高学年になると直ぐに希望の進路先を決めないといけない。なぜなら希望先によっては夏に仮入団したり、根回しをしないといけない騎士団もあるからだ。

 俺は随分と前から神殿聖騎士になりたいと思っていた。派手な王城よりも神殿の厳かな雰囲気と神官達の清廉な空気、何より聖女様の可憐なお姿に俺の進む道はここだ!と思ったのだ。そうなると主席のライオットの進路が気になった。


 俺は意を決してライオットに進路を聞くとライオットは近衛騎士になるのだと言う。何でも王弟殿下に「近衛になるのを待っている」と激励されたらしい。

 俺は正直安心した。ライオットも俺を応援すると言ってくれ、俺はその時、安心と嬉しさに久し振りに男泣きしたのだった。


 そうして俺達は無事にそれぞれの第一希望の騎士団に内定した。

祖父母も両親も兄も俺が聖騎士に決まった時は大喜びしてくれた。兄の婚約者が聖騎士様のサインをもらって来てねと言った。俺もなるんだが。

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