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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 休息日、またいつものメンバーで集まっていた時のこと「あっ」とココット様から声が上がる。ココット様が読んでいた本の紙で指を切られたようだ。

 人差し指に薄っすらと血を滲ませておいでだった。


 侍女のユリアさんがハンカチでサッと指を覆って「救急箱を取って来ます」とドアに向かうが、マリベルが立ち上がってココット様の切り傷に治癒魔法をかける。

 あっという間に傷は塞がり綺麗な指に戻る。

 ついでにハンカチも浄化して畳んでユリアさんにお返しする。


 一連の流れを見てソフィーナ様は溜息を吐き、ビアンカ様はまたかという顔をし、アイリーン様は面白そうに見ている。

 部屋の隅に立っているアドリアン様とラント様は無言で壁になり切っている。


「傷は浅かったですし、少し汚れたくらいのハンカチであれば…「いいのよマリベル」

 とソフィーナ様がマリベルの発言を止めて微笑む。


 切り傷くらいの治癒魔法はとても簡単なのだが、治癒や回復魔法は神殿の特権のようなもので、聖女様を始め神官様しか使えず普通の人はまず使えない。


 だが子爵家では祖母と父と私は使えた。

 末の妹も練習中だったはずだ。

 この魔法を使えるお陰で子爵家は、貧乏でも医者要らずだったのだ。

 祖母曰く「息子が女神様に頼んで授けて下さったのよ、だから大事に使わせてもらいましょう」だ。


 要は神官様の回復魔法を見ていたら、信仰心が厚く要領の良い三人は身に付けてしまったというだけの話だ。

 恐らく公になっていないだけで、そういう人は少なからずいるんだと思う。


「ソフィーナ様、でも私はまだ防御壁は張れません」

 と言うと、ビアンカ様に、余計なことを言った!という顔をされた。

 ガーン!マリベルは空気を読める侍女だったはずなのに!


 聖女候補達は今、防御壁を張る魔法の練習中だ。

「でもまたマリベルが一番最初に張れるようになりそうよね」

 とアイリーン様が楽しそうに仰る。

「そうね障壁を張れるようになれば、回復魔法はあっという間に使えるようになるわよと聖女様が仰っていたわね」

「マリベルは順番が逆ね」


「障壁を張る魔法は見たことがないので」

 とマリベルが言うと「見たら使えるの?」とビアンカ様に聞かれたので「多分?」とマリベルは首を傾げる。

「‥‥‥」


 休息日明け、マリベルを中心に、また聖女候補達の防御壁魔を張るための魔法の自主練が始まるのだった。

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