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1話掲載漏れをしてしまいました。本当は18話と19話の間の話となる予定でした。18話の後に加えましたので宜しければご覧下さい。編集を繰り返しておりますが読み難い点が多く申し訳ありません。

 それからまた3ヶ月、寒さが厳しい真冬の真っ只中、そのビッグニュースは飛び込んで来た。

 それは情報通のアイリーン様からだった。いつものメンバーで勉強しようと集まった時、

「マリベルさん、もう連絡は来ているかしら?お姉様のララベル様がご懐妊なさって学院を退学なさるそうよ」

 マリベルは驚きのあまり口を開けて一瞬固まる。


 姉も孕ませた男も一体何てことをしでかしたのか!

 その男の人間性は大丈夫なのか?と憤る。まだ結婚どころか婚約もしていないはずなのに貴族令嬢が妊娠するなんて前代未聞だった。


 しかし、ソフィーナ様が、

 「そう。予定調和よ。さすが時期王妃だわ徹底してるわ」

と呟いた。それを聞いて、ビアンカ様も、

 「まさか殿下の婚約者様のご指示だったのですか?」

と驚きを隠せない。

 姉は臨時教師になった伯爵家次男様と婚約寸前で、もう周囲には迷惑をかけていなかったのではないのか?兄からも、姉が王太子殿下の周囲に侍ることもなくなったと手紙をもらって安心していたのに。

 マリベルもさすがにショックで子爵家に手紙を送る。


 後日、筆頭侯爵家三男で外交官のエリオット様が隣国から臨時帰国されており、マリベルに子爵家からの返事を持って、休息日に合わせ面会に来てくれた。応接室に入って、待っていたエリオットに挨拶をする。

 「やあ、マリベル随分と久しぶりだ。以前会った時はマリィをまだ抱っこできる年だったが、今は立派なレディになったね」

と言ってエリオットはマリベルに歩み寄る。


 「ご無沙汰しておりましたエリオット様。せっかく帰国されていたのに、わざわざ子爵家の手紙を持って来て下さるなんて」

とスカートを摘み礼を取ると、エリオットはスマートにマリベルの手を取りソファに座らせながら、自分も隣に座る。

 「お兄様だよマリィ、昔は僕のこともお兄様と呼んでくれただろ?あ、それと今回のことは僕も全くの無関係では無いんだよ」

と苦笑いをする。この人もか!


 「結論から言うとララベルの妊娠が安定期に入ったら、彼と一緒にララベルも隣国に連れて行くよ。彼は公爵家の命令で学校の臨時教師をしていたけど、元々は僕の補佐官でね。任務が終わったので彼を返してもらう事にしたんだ」


 「エリオットお兄様、補佐官様のお姉様に対する任務とは、どこまでだったのでしょうか?」

 マリベルはすかさず尋ねる。


 「マリィ、彼は公爵家の傘下の伯爵家でね。王太子殿下の婚約者である令嬢の依頼を断れなかったのもあるし、この件を成功させた褒美で公爵から男爵位を授かったんだよ」

 「姉様を妊娠させて学院を退学させることも成功なのですか?」マリベルは涙ぐんで訴える。

 「あーマリィっ泣かないで!」

 エリオット様は大慌てでハンカチを出してマリベルの涙を拭う。気づいたらマリベルは、エリオット様のお膝の上だ。

 やはりこの方も距離感がおかしい。借りたハンカチで鼻をかんでやる。お陰で涙はあっという間に引っ込んだ。

 頭への頬擦りは要らないです。


 「うーん、ある程度、強引にでも誘惑しろとは言われていたようだよ。でもそれ以上のことは2人の意思だよ」

 「ではお姉様も同意の上ということですか?」

 「そうだね。今は伯爵家に滞在しているよ。僕も様子を何度か見に行ったけど、大切に可愛がられていたよ。特に伯爵家ご夫妻に」


 そう言えば伯爵家が姉との婚姻に乗り気だったって聞いていたっけ。あまり落ち込むようなことではないのだろうか?

 「随分と心配かけたようだね。申し訳なかったよ、マリィ。でもララのことは安心して欲しい。僕もいるからね」

と言ってエリオット様は、マリベルに大量の隣国の高級菓子を置いて去っていった。


 子爵家の返事には姉がとても幸せだと思っていること。勉強はあまり好きではないので学校を辞めることも惜しいと思っていないこと、隣国に渡ることは寂しいが、ダンナ様と子供と乗り越えてみせると張り切っていることなど、姉の様子が書いてあり、両親も姉の好きなようにさせるつもりだと書いてあった。


 マリベルが心配に思うことは、ほとんど無さそうだったが、なんて人騒がせな人なのだろうか。姉はきっとマリベルがこんなに心配しているなんて、これっぽっちも思っていないのだろう。

 いつもマリベルが勝手に一人で心配しているだけなのだ。


 兄妹の真ん中の性なのか上にも下にも気を遣い、損な性格だと自分でも思う。それでも自分は自分だ。

 女神様、私はこれでいいんですよね?とマリベルは今は自分を自分で認めてあげるしかなかった。


 春になって姉はエリオット様と夫となった男爵様と一緒に隣国に渡って行った。エリオット様は戻る前にもう一度マリベルに会いに来てくれた。その時はビアンカ様もいて一緒にお茶をした。

 ビアンカ様のお父様の侯爵様は外務大臣だ。その縁でエリオット様とも少し面識があったそうで話が弾まれていた。


 ビアンカ様には年の離れた異母弟がいらっしゃる。王太子殿下の婚約者候補の選考の時期にはまだ異母弟が産まれておらず、ビアンカ様が侯爵家の後継の予定だったそうだ。

 その後、弟君がお産まれになって後継者からも外されることになり、今度は継母に怪しげな男と婚約を結ばされそうになったそうだ。それがきっかけで聖女候補に立候補したのだと仰ってらした。


 エリオット様はそれをお聞きになって、

 「良かったら僕が手を回そうか?」と悪者の顔で仰り、ビアンカ様も、「良いのですか?」と目を輝かせて仰ってらした。

 マリベルは少し2人のことが怖くなってしまったので、詳しくは聞かないようにしておいた。


 そしてベルトルトお兄様も学院を卒業し、王太子殿下の侍従に決まり王城勤めになった。

 ベルトルトお兄様も王城に入る前にマリベルに会いに来てくれた。お兄様は、あの姉の兄でありながら殿下の婚約者様には気に入られているようで、アイリーン様宛のお手紙を預かってきていた。

 ソフィーナ様への手紙は無いのかしら?と思ったけど、なんと婚約者様とアイリーン様は、こちらも従姉妹同士なのだそうで幼い頃からソフィーナ様よりご一緒に過ごされていたのだそうだ。


 兄は直接アイリーン様に手紙を渡すよう言われたそうで、アイリーン様、兄、マリベルという不思議な組み合わせのお茶会になった。でもアイリーン様は「緑色のベルなのね!」と何だか嬉しそうに兄を見ていて兄をひたすら恐縮させていた。

 「あぁ!私の前に二人も揃っているわ!皆に自慢できるわね」と先程から、お一人で悶えてらっしゃるのだが。そのずっと前から気になっているのだけど、水色とか緑色とかの色分けは何なのか?

目の色なんだろうとは思っているのだけど。いつかライオット様辺りに聞いてみるか。


 そうこうしているうちに第一王子殿下が聖騎士として神殿に入られた。殿下は以前から大神殿によく礼拝にいらしており、騎士を目指されていることもあり、いずれ聖騎士になるのではないかと噂されていたそうだ。

 殿下がアドリアン様とご一緒に聖女候補達に挨拶をしに来られた。


 第一王子殿下はキラキラしい王太子殿下に比べて、金髪だが色合いが淡く主張も薄いが体格は鍛えていらっしゃるのが分かる細マッチョだった。

 「殿下と呼ばれるのは好きじゃないから“ラント”と気軽に呼んでくれ」と仰った。

 

 伯爵令嬢の候補者2人の目の色がギラリと変わった瞬間をマリベルは目撃した。うん怖い。他にも2人の新人聖騎士様がご挨拶にいらした。

 今年は多いのね。やはり高齢化が深刻なのかな?と真剣に考えるマリベルの横で平民侍女の2人の目もギラギラしていたのをマリベルは見逃していた。

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